中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

日本企業のマネジメント不在

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で936人、そのうち東京209人、神奈川141人、埼玉41人、千葉91人、愛知46人、大阪57人、兵庫21人、京都9人、広島22人、副科23人、沖縄54人、北海道74人などとなっています。休日のデータとはいえ大幅な減少が却って気になります。東京五輪開催のため、IOCの「はったり男爵」コーツ副会長来日に合わせ、緊急事態宣言解除に向けて着々と裏で工作が進んでいるように思えます。オリンピック開催には反対ですが、いくら国民が声を上げても強行開催されることは間違いありません。強行開催させるならワクチン接種を加速させることです。新型コロナワクチンの職域接種も始まりつつありますが、ワクチン接種率に各都道府県で大きな差があります。佐賀県(全国1位)では65歳以上の高齢者の50%が接種したのに、東京約35%(全国21位)、大阪約29%(全国36位)です。こうした地域格差は準備不足に起因しているように思います。しっかりとワクチン接種の体制を作った自治体が成果を上げています。こうした地域格差は協力金支給にも表れています。時短要請・休業要請を出しながら協力金の支給が大幅に遅れています。これでは反発が出るのも当然です。特に大阪はひどいです。大阪では約50%の支給率で、その原因として膨大な申請数やそれに伴う申請書類の不備、不正請求を巡る精査などが挙げられていますが、大阪の2倍状の申請数がる東京では約90%が支給されていますので、大阪府が挙げる理由は理由になりません。これも準備不足、知事以下公務員の質の悪さなどが原因です。先ずは支給することが先決、不正請求を巡る問題はあとから刑事・民事を含め厳粛に対処すればいいだけです。支給の遅れにより潰れなくてもいい店が潰れたり廃業に追い込まれた時、吉村知事はどう責任を取るのでしょうか。

さて、今日はダイヤモンドオンラインの「日本企業の95%は『井の中の蛙』、なぜマネジメントが不在なのか」という記事を取り上げます。

日本企業の多くは、令和になり新型コロナで疲弊するなかでも、平成時代の経営を引き継いだままで、変化やチャレンジには臆病になっています。この記事は、東京都立大学の松田千恵子教授(専攻:経営戦略)に日本企業の「マネジメント不足」について聞いた内容をまとめたものです。

松田教授は、日本企業は二極化が進んでいて意味ある変革の渦中にある企業も増えているものの、進化する企業は5%程度で、残りの95%は相変わらず「井の中の蛙」だと言います。しかも、両者に共通する加地は共通で『マネジメント不足』なのです。

昭和から平成にかけての成長期では、企業を取り巻く環境も、カネの面ではメインバンクシステム、ヒトの面では終身雇用や年功序列という日本型経営システムによって安定しており、経営者は事業拡大に集中していればよかったのです。今は批判される多様性の欠如も均一性の高さと評価され、効率を上げるのに役立ちました。しかも、国内市場は比較的大きく多くの企業が十分食べて行ける状況でした。現在求められているようなマネジメントなど必要がなかったのです。確かにおマネジメントには歴史もあり、昭和の経営者たちもマネジメントを学んでいましたが、現実にそれを使う必要がないというか、使う場がなかったのです。

1.マネジメントの3つの要諦

 マネジメントには大きく言って3つの要素があります。それは 戦略、経営管理、経営人材の3つです。日本にはこの3つが欠けています。 

  1. 戦略・・・マイケル・ポーターは「日本の大企業には戦略がない」と常に言っていました。これは経営者が仕事をしていないと言われたようなものです。
  2. 経営管理・・・財務経理部門を例にとれば、ファイナンスの視点でバランスシートをマネジメントできる人材が不足しているということです。
  3. 経営人材・・・日本では出世街道を上って経営者になりますが、そういう人たちが経験してきたのはオペレーションであってマネジメントではありません。オペレーション管理とマネジメントでは視点やスキル、使い方が違います。

2.3つの欠如に対する解

 90年代後半の金融ビッグバン以降、日本企業も変革を求めるようになり、欧米型の経営への関心が高まってきました。しかし、それは一種「流行り」のようなもので、その裏にある本質的なところを理解し進めていかないと意味はありません。表面だけを真似て、マネジメントがうまくできていないという状況なのです。

 これまで出世街道を上りながらオペレーションのスキルは磨いていても、マネジメントについて学んだり悩んだりしたことがない人が「さあ、マネジメントするぞ」となっても経験がないのでゴールが見えないし、ゴールが見えないからやるべきことの手順を理解できないのです。だから取り組みが中途半端になり、行動変革が起こらず、人気が短いので尻切れトンボで次にバトンタッチという状況が繰り返されるのです。

 本人は真剣に取り組んでいるのでしょうが、客観的に見れば危機感とスピード感が不足しています。真面目な人ほど「まずは勉強してから」となります。しかし、学習することとそれが現場で役に立つかは全く別次元の話です。座学の勉強をしても実際の経営にそのまま役立つとは思えません。机上の学問では意味がありません。進化する企業は、将来のマネジメント人材を選抜して、例えば海外法人のマネジメントポジションを経験させるなど、修羅場で鍛えています。そうしたジョブローテーションを戦略的に行って行くことが大切です。

3.子会社の経営を任せて、マネジメント・トレーニングをする

 多くの企業では、成功したはずの執行役員が、失敗が怖くてチャレンジできない、経営トップの意に沿う行動しかしないというのが現状です。それでは多様な視点を取り入れた健全な議論のない中で経営トップの意志決定に追従するだけになってしまいます。変化だ、チャレンジだ、多様性・ダイバーシティだが叫ばれていますが、組織にいる安心感や組織の慣性に引っ張られ、結局、同調圧力が働きマネジメントは変わらないということになります。

 しかし、一部には、失敗を糧にワールドクラスに比肩するマネジメントを再構築している企業があります。斬新な発想をする役員が率いる企業は進化しています。そのホトンだが海外拠点で組織の長を経験しています。組織を統率する権限と責任を駆使してグローバル市場で戦い、日々修羅場を生き抜く中でマネジメント・トレーニングをしてきたのです。海外の子会社はマネジメントスキルがしd津最適な場なのかもしれません。しかし、中小企業では海外に拠点がないという企業も多いのです。こうした場合には、国内の子会社や特定の部署を完全に任せてみるということでも、マネジメント・トレーニングはできるはずです。それには、自分で考え、自分で決めて組織を動かすという経験をさせることです。これは人を育てるということです。能力の高い人材を選抜する、適切な場を与える、という当たり前のことを粛々と行っていくことで、若い人材も育つのです。トップが代わると、戦略も人材育成方針も変わるようではいけません。仕組み化するということが重要です。

4.戦略とは、取捨選択である

 松田教授は、「戦略とは取捨選択である」と言います。複数のオプションを準備して、検討を重ねて、1つを選んだら他は捨てる、これが戦略です。それができないから、あれもこれもと中途半端になってしまうのです。

 松田教授が言われる通り、戦略は取捨選択です。しかし、選んだものが正しいとは限りません。リスクのない確実な意思決定はありませんし、当然、確実な戦略もありません。間違えたら、気づいた時点で柔軟に対応して、修正していけばいいのです。

 松田教授は、「戦略策定の勉強と、意思決定のオプション準備と、リスクをとる胆力が備われば、あとは行動あるのみ」と言っています。先ずは行動を起こして場数を踏んで経験していくこと、その先にリーダーとしての責任、リスクをどうとるかの解が見えてきます。 

 

上司と部下のすれ違いが起きたときこそ対話のチャンス

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1387人、そのうち東京304人、神奈川170人、埼玉65人、千葉105人、愛知102人、大阪96人、兵庫24人、京都23人、広島40人、福岡37人、沖縄104人、北海道82人などとなっています。休日ということもあって減少していますが、昨年の東京オリンピック延期決定前後のような数字の操作だけはしてほしくありません。G7サミットが終了し、菅首相は「各国首脳から開催への支持を得られた」と胸を張りましたが、バイデン米大統領は、安全を確保するための公衆衛生措置を課す必要性を強調し、いわば条件付き指示と言っていいのです。お題目のように「安心安全」を唱えるだけの菅首相には、安全安心に開催するために具体的に何を為すべきかが問われます。万が一、不十分な対策しかできなければ各国は開催反対に方向転換し、強行開催した日本にすべての批判が集まります。菅首相には日本国民を犠牲にIOCと心中する覚悟があるのかということです。開催を強行するならば、国民に対し、なぜ開催しなければならないのかという開催の意義を国民が納得できるように説明し、万が一感染拡大を引き起こし多くの人命を失わせるような事態になった場合には自ら責任を取らなければなりません。その責任の取り方は、単に首相を辞める、議員を辞めるという程度の覚悟では足りません。自決する(命をかけるくらいの)覚悟が必要です。それが政治家、一国のリーダーとしての覚悟です。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「なぜ、上司と部下のすれ違いが起きたときこそ、対話のチャンスなのか?」という記事を取り上げます。またしても、対話の話ですが、対話や雑談の重要性は何度語っても語り尽くせません。今回も、「組織の慢性疾患」の治療法を訴える経営学者の宇田川元一氏の説明です。

宇田川氏は、職場に活気がない、新しいアイデアが生まれない、職場がギスギスしている、忙しいのに数字が上がらない、病欠・離職者が多いなど、組織が硬直化し閉塞感が漂っている状況を「組織の慢性疾患」と呼び、その対処法として「対話」の重要性を指摘しています。

宇田川氏が提唱する「対話」の方法は、4人1組で行う「2on2」という対話方式です。表面的な問題の裏にある真の問題を明らかにし、改善を図る画期的な方法だと言われています。1on1は、上司が部下の成長を対話を通じて支援するものですが、2on2は、今ある困ったことや日々モヤモヤしながら問題だと感じていることに、他者の視点を加えることで解決するものです。

2on2で重要なことは、「人はそれぞれの『ナラティブ(捉え方の枠組み、物語)』がある」ということです。見ている景色が違えば考え方が違うのは当然ですし、人それぞれ様々な歴史があるわけで、そういう前提を意識するだけで、人との関係をよりよくしていくことができます。

また、自分も問題の一部であると認識することも大切です。何か問題があれば、誰かのせいにしたくなりますが、自分もその問題の真っただ中にいてその一部になっているのだと認識すれば、問題の対処法も自ずから違ってくるはずです。

問題や課題がある場合、どうしても物事を単純化して対処の方法や解決策を考えようとしてしまいます。物事を単純化すれば、その場は対処できるように思えますが、実際には何らの解決になっていないことが多いのです。問題の単純化を避け、物事を具体的に考えていくことで対処や解決が容易になるのです。

ここで大切なことは、どのような場合に問題の単純化が起きるのかという傾向を予め把握して、その対策を講じておくことです。仮に十分にその対策ができていなくても、「今はこういう状況だから問題の単純化が起きているのだな」と自覚でき、問題の全体像の捉え方も違ってきます。

日ごろからどのように問題の単純化が起き、慢性疾患が悪化するのかについて理解を深めておくことができれば、形を変えた似たような問題が起きたときも対処しやすくなります。

例えば会議で部下が積極的に発言しないということがよくあります。上司は部下の意欲が低いと考え、部下は自ら発言すべきでないと思っています。こういうすれ違いが起きたときこそ、対話のチャンスなのです。

対話というのは、単なるコミュニケーションの手法ではなく、「新しい関係性を構築すること」です。対話は、①同じものを見ていてもそれぞれの捉え方に異なる部分があることを認め、②それぞれの捉え方の背景を相互に語り取り入れあうことで、③双方が、同じ状況でも以前と異なる角度で物事を捉えられるようになることです。

現在の職場は、変化するビジネス環境や多様化する従業員、働き方など様々な要因が絡み合って複雑化し、問題を捉えることすら難しくなっています。コロナ禍でリモートワークが導入され、今後さらに複雑化し、上司が部下をマネジメントすることが困難になりつつあります。そうした中、重要なのは対話であり、雑談であり、これらを通じてより良い人間関係を築き上げることではないでしょうか。 

休日の本棚 猿の部長

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1944人、そのうち東京467人、神奈川247人、埼玉83人、千葉79人、愛知123人、大阪126人、兵庫38人、京都35人、広島33人、福岡47人、沖縄157人、北海道125人などとなっています。一部地域で下げ止まっているものの全国的に減少傾向にありますが、東京では30日ぶりに(5月13日以来)前の週の同じ曜日よりを上回りました。東京都は「感染力の強い変異株に流行の主体が置き換わっていることや繁華街での人流の増加が影響している」とし「レジャーや会食を控えてほしい」と訴えています。それならば、まずオリンピックを中止することです。ここまで国民に犠牲を強いて開催すべきことではありません。先ずは、しっかりとした新型コロナ感染対策です。

さて、今日は昨日の「戦略課長」に続いて、竹内謙礼・青木寿幸著「猿の部長」(PHP文庫)を紹介します。昨日も書きましたが、この「猿の部長」は営業戦略ノベル、マーケティング戦略を主題とするビジネス小説です。

アメリカでMBAを取得した滝川は、中堅商社への入社直前、猿ヶ島での祭礼中に気を失ってしまいます。目覚めると、そこは経済の中枢を猿が牛耳るパラレルワールド、まるで「猿の惑星」の世界です。部長以上は全員が猿、猿が部下の人間をこき使う世界です。滝川は、ライフ商事の5つの事業部で、猿の部長たちにマーケティング戦略を提案し、年間利益10億円を目指します。果たして目標は達成できるのでしょうか? さらに滝川は元の世界に戻ることができるのでしょうか? 最後まで目が離せない笑いと恐怖の営業戦略ノベルです。面白く読みながらマーケティングの基本を学べます。

小説なので、ネタバレにならない範囲で紹介します。

まずは、各章は次のような構成になっています。

第1章 一戸建てを「即完売」させることが、なぜいけないのか?

     ー儲かる市場規模を探し、そこで儲かるポジショニングを取る

第2章 商品が売れない理由は、お客との付き合い方に問題がある

     ー「自分で考える」強い組織に作り変える

第3章 競合も多く、価格競争も激しい業界で生き残る方法

     ー商品点数を絞り、スピードを上げて、売れる機会を逃さない

第4章 新しい市場を自分たちで作る

     ー競争のない次の市場を探し、意図的に拡大させる

第5章 マーケティングを実行するときに必要となるもの

     ー「売れ筋」を予測し、成功するまで戦略を修正する

各章から、いくつか役に立つポイントを列挙します。

  • 値下げせずに一戸建てをどうやって売ればいい?値上げして売れなければ意味がない。だから、儲かる市場規模を見つけて、そこで儲かるポジショニングを取ることが大事なんだ。儲かる市場を探すときにやるべきことは、まずは市場をセグメンテーションすることが必要なんだ。理解して営業しているのと、やみくもに営業するのとでは意味が違う。マーケティングの戦略が失敗した場合、最初にセグメンテーションしておかなければ、次にどこを攻めればよいかが分からなくなってしまう。世の中、失敗することの方が多いから、その理由を知ることは、次の成功するマーケティングの戦略を作るうえで、絶対に必要なことなんだ。
  • 儲かる市場規模を探すところまででは、マーケティングの戦略は半分までしか完成していない、次にマイケル・ポーター教授の競争戦略を使って考えることで初めて「価格を下げない戦略」は完成する。会社というのは「コストリーダー」「差別化」「集中化」の、どれかを選択しなくては競合会社に勝てない。大手企業と価格競争をしても勝てない。安売り競争が激化すれば、体力のある大手企業だけがコストリーダーとして生き残り、他はすべて潰される。「コストリーダー」ではなく「差別化」で売る戦略をとるのがいい。しかし、そんなに簡単に「差別化」のコンテンツが思いつけば誰も苦労はしない。考え抜くしかない。そしてその苦労を乗り越えて、本当の意味での差別化のポジショニングを探し出すことができた会社は成功する。
  • 競合会社の戦略は常に監視しておく必要がある。3C分析は一度やればよいわけではない。売れなければ、競合会社も常にマーケティングの戦略を変えてくるはずだ。気が付いたら、自分たちの差別化が強みを失っていることも十分に考えられる。そうならないためにも、競合会社に攻め込まれないように、常に自分たちが差別化のポジショニングを探し続ける必要がある。
  • 希少性とか模倣困難性というのは、珍しいとか、他にないという意味ではない。お客にとって希少価値があるかどうかが大切であって、自分たちで決めるものではない。そもそもⅤRIO分析(会社が持つ経営資源を、value=経済価値、Rereness=希少性、Inimitability=模倣困難性、Organization=組織 の4つのポイントから分析し、会社の競争優位性を判断する)は分析というだけなので、それによって新しい戦略が発見できるものではない。
  • 事業には、水平展開しやすいものと垂直展開しやすいものがある。水平展開しやすい事業では「店舗を増やす」という戦略は間違っていない。フランチャイズという組織なビジネスモデルとしては最適だが、競合会社にとっても簡単なビジネスモデルということになる。フランチャイズではオーナーに任せる部分が大きくマーケティング戦略を考えてもオーナーがそれを取り入れるとは限らない。直営店で強い組織を作ることが大事だ。
  • 強い組織を作るための5つの条件 ①今までの考えを捨てる ②一緒に働く社員同士がオープンになって情報を交換する ③会社だけでなく、自分たちの社会的な役割も理解する ④事業部と店で働くすべての社員が納得できる目標を作る ⑤その目標を達成するために、社員で協力し合う心を持つ。
  • 現状を分析することは大切だが、それを起点に考えてしまうと、現在の手法を改善することしか思いつかなくなる。SWOT分析TOWS分析ではでは改善点は列挙されるが、マーケティングの戦略を大転換するような、常識をぶち壊す画期的なアイデアは生まれない。
  • 工場との連携という組織力が内部の「違い」で、ポジショニングというのはお客から見た違いで外部の「違い」ということだ。外部の違いと内部の違いのどちらが重要かと言えば、業種やその会社の市場でのシェアによっても変わってくる。ポジショニングは外から見えるのでマネされやすいが、次のアイデアがあればすぐに方向転換できて修正しやすい。一方組織力は外から見えないのでマネしにくいが、作るまで時間も労力もかかり、変更も困難である。
  • 新しいことをやっても失敗しそうだから何もしないというのでは一歩も前に進まない。新しいことをやって成功させてやるんだという前抜きな気持ちが大事である。しかし、ビジネスには失敗はつきものだ。その時には、もう一度マーケティングの戦略を見直し、ポジショニングも組織も作り変えるという勇気をもって前に進むことが大切である。
  • PLC理論の成長期から成熟期に競合会社より早く駆け上がるという考え方・戦略は間違っていない。成長期の最後の方から、商品の価格が安くなることで、お客の数が一気に増えて、一方でシェアが高い会社名は市場で知れ渡るようになり、港北費もかからなくなる。しかも、新規の競合会社が参入してくることもなく、その時こそ、急激に儲かる。本来は、ここで儲かったお金を、差別化戦略のために新商品を開発するか、新しい事業を始めるか何かに投資すべきである。競合会社がいない、新しい市場を作り出す戦略、ブルーオーシャン戦略では、新しい市場を見つけるができれば、競争そのものが亡くなり、儲かる市場規模になるように拡大させることに専念すればいい。
  • これまでBtoCであったものをBtoBにすることで新しい市場を作り出すことができる。BtoB成功の秘訣は ①お客の目的を達成するお手伝いをして、利益を増やしてあげる ②お客の知識は豊富なので、ノウハウの提案を惜しまない ③意思決定に時間がかかるのでタイミングを外さない。
  • お客は、突然現れた新しい商品で、なおかつシンプルなビジネスモデルの方に心を奪われていまう。まして、同じ商品に比べて価格も安く、サービスも充実していれば、お客の心を取り戻すことっ不可能に近い。予想もしないところから競合他社が突然現れても、目の前のお客への対応に追われている会社ほどその参入に気づかないものだ。だから、どんな会社でもイノベーションのジレンマを回避することはできない。
  • 最初から完璧な商品を作ろうとしないことだ。そこに時間とコストをかけてはいけない。しかも完璧な商品を作ってしまうとそれにかけた時間とコストを回収しようとして、その商品を売ることに固執してしまう。先ずは完璧じゃない商品でもよいので売ってみること、それで売れなければすぐに捨てて、次の新しい商品を開発することだ。新商品を作るときには、過去のデータから何が売れ筋化を予測し、さらに新商品の売れ行きから、その予測を修正していく。

マーケティング戦略にとって重要なことは、3C分析の3つのC、市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)をバランスよくとらえなおしたうえで、「私たちの商品やサービスを本当に喜んでくれるお客様は誰か?」「商品やサービスの特徴をどのように表現すれば、お客様に響くのか?」「そのためには、どんな方法をとるのがいいのか?」について考えを深めていくことです。こうしたことが、この本を読めばおもしろおかしく笑いながら身につくように思います。

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休日の本棚 戦略課長

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1937人、そのうち東京435人、神奈川220人、埼玉87人、千葉113人、愛知149人、大阪134人、兵庫46人、京都29人、広島34人、福岡58人、沖縄145人、北海道145人などとなっています。菅首相G7サミット出席のために渡英し、各国首脳に東京五輪への協力を呼び掛けていますが、先日「自分は主催者ではない」と無責任な発言をしたばかり、一体いかなる立場で協力を呼び掛けているのでしょうか。まるでカメレオン首相です。  コロナ禍で東京五輪開催の可否や意義が問われている中で、総務省は五輪期間中のテレワークの集中的実施を企業に呼びかけました。何のためのオリンピックですか?「テレワークで家にいろ!」と言ってまで開催する意味があるとは思えません。IOCと竹中パソナなど一部利権のために国民はオリンピック期間中自粛を強いられるのですか? 世界最大の商業イベントにしかすぎないオリンピックにもはや何の意義も見い出せません。テレワークで自宅に押し込めなければ国民の健康や命を守ることができないようなオリンピックなら、「とっととやめてしまえ」です。

さて、今日は、竹内謙礼・青木寿幸著「戦略課長」(PHP文庫)を紹介します。これはベストセラー「会計天国」「猿の部長」の著者による投資戦略ノベルです。「会計天国」は会計ノベル、「猿野部長」は営業戦略ノベルで、いずれも笑いと涙の中で、経営戦略や会計の基本が学べます。

この小説の舞台は、事なかれ主義で経営が悪化した上場企業ホリディ産業、経営悪化を立て直すためにメインバンクから取締役として送り込まれてきたのはロボットです。

予算5000万円の新規事業を任された新米課長・道明美穂は、ロボット取締役から作ったばかりの事業計画書の作り直しを命ぜられます。道明はこの事業を成功させ、ホリディ産業の業績を上げることができるのか、さらに恋人・吾郎との恋の行方は? 経営戦略の立て方から株や不動産投資まで、道明がロボット取締役から教えを乞う形で分かりやすく書かれている投資戦略ノベルです。面白く読みながら基本的な知識を身につけることができます。

小説なので、ネタバレにならない範囲で、紹介します。

各章は次のような構成です。

序章 「新しい上司の名前はロボット」

第1章 自分の夢をビジネスで実現しようとするなー新規事業を成功させる3つの戦略

第2章 寝ていても儲かる、株の投資話ーポートフォリオを使えば、事業リスクは減らせる

第3章 ハイリスクでもハイリターンとは限らないー事業を拡大するお金を上手に調達する方法

第4章 売上が上がらないものには、価値がないー賃料を上げて不動産投資を成功させる方法

第5章 運に任せた人生は、努力の効率が悪いー戦略を理解できれば、人生の勝者に慣れる

各章から、いくつか役立つポイントを列挙します。

  • 現実の成果が、事業計画書通りに進むことの方が珍しい。でも、その事業計画書をよく練って作り、途中で修正しているのに、ことごとく事業が失敗している場合には、何かしら「事業計画書の作り方」に大きな問題があると考えるべきだろう。そのような事業計画書は根本的に間違っているから、新しく作り直すしかない。
  • 複数の新規事業を比べるための事業計画書では、過去に投資したことで発生している、本社と工場の固定費を配分する必要はない。過去に投資した、本社と工場の固定費が、将来のキャッシュフローを生み出すわけではないから、「営業利益」を比較して、新規事業への投資の判断をするということはそもそも間違いだ。
  • まず、経営戦略を作って、それを数字に落とし込んでいくのが、事業計画書の正しい作り方だ。経営戦略とは、他社に勝つための競争戦略から、マーケティング戦略、財務戦略、IT戦略、人事戦略まで、すべてを総称する言葉になる。ただ、決められた予算の中で事業計画を作ることだけに絞れば競争戦略だけ分かればいい。競争戦略には、コストリーダーシップ戦略差別化戦略集中戦略の3つの方法がある。2つ以上の戦略をやろうとすると、絶対に中途半端に終わる。ビジネスでは「選択と集中」によって「やることを決める」のではなく、「やらないことを決める」のが重要だ。すべての企業が競合会社に勝つために、この戦略のうち、どれを選択すべきかを真剣に日々考えている。もし、戦略を間違えれば、競合会社に勝てないし、一度始めた戦略をすぐに変えるのも失敗の原因になる。
  • 事業計画書は目の前の目標だけでなく、遠い将来の目標を達成するための道のりも考えなくてはいけない。1店舗のとき、5店舗のとき、20店舗のとき、100店舗のときの経営戦略は変わっていくはずだ。それを今から決めておけば、行き当たりばったりの運に任せた経営になったり、何をやるべきか迷ったりすることがなくなる。もちろん、現実は計画とは違ってくるから、随時、修正していくことにはなる。
  • 必ず儲かる株なんてない。プロが薦める儲かる株の話は、参考にするのはいいが鵜呑みにしてはいけない。ポートフォリオを使って分散投資すれば、リターンは変わらず、リスクだけを減らすことができる。
  • どの株が儲かるかではなく、投資の理論を学ぶことは悪いことではない。ただ、その理論に全面的に従うのではなく、自分だけの投資術を編み出さなければならない。ビジネスでも、プロの経営コンサルタントの話を聞いて自分なりに工夫しなければ儲からない。その工夫が、さらに競争を激しくして、すぐには儲からないぐらい市場が効率的になっているからこそ、お客にとっては便利なものになる。それで、さらに新しいお客を取り込むことができれば、市場が拡がる。競争することで新しいチャンスが生まれ、みんなの生活も良くなる。
  • 戦略なき投資は失敗する。株式投資のポイントは、①個別の株であっても同じ動きをしない業種を選んで分散投資する。②証券会社の手数料など無駄なコストはできるだけ小さくする。③蟹化の短期的な動きに反応せず、会社の実力が反映される長期間で予想する。
  • どんなに思い入れがる商品でも、それと距離を置いて、客観的に売れない理由を考えなくてはいけない。その結果、商品のデザインや機能を大幅に作り変える必要があるかもしれない。情熱をもって仕事をすることと、熱くなってしまうことは違う。これは部下との関係でも同じだ。上司としての経験が少ないと、部下の態度に向かっとして、すぐに感情的に怒ってしまうことがある。ただ、大きな声を出しても部下はロボットじゃないから、思い通りに動くはずがない。それよりも、自分が変わらなくてはいけない部分もあるのではと、上司は冷静に反省すべきなんだ。
  • いつでも、自分が取っているリスクは「リターンに結びついているのか」ということを考えなくてはいけない。リターンに反映するリスクであれば、怖がらずにとることが、新しいチャンスを生むことになる。
  • 不動産投資のポイントは、①不動産の投資では税金を無視することはできない。②不動産のリスクは、それ自体だけではなく、仕組みにもある。③不動産には、リターンに見合わない固有のリスクがある。
  • 経済成長しない今の日本では、過去の考え方に囚われない企画力で、新しい商品とサービスを作って、お客に自分が欲しいものを気づかせてあげる能力が必要なのだ。お客の心を揺らす企画によって、新しい需要を生み出すことができる。しかし、いきなり新しい企画が湧いてくるはずはない。過去の知識と経験の積み重ねから生まれる。しかし、経験が豊富なプロは冷静な判断をすることができる反面、自信過剰になり人の意見を聞き入れない態度や新しい情報を受け付けなくなる。過去の成功経験が邪魔をすることもある。経験がどれほど豊富でも謙虚さは必要だ。
  • 経済がずっと成長している時代であれば、会社の売上も伸び続けるので、年功序列の給与制度でもよかったが、今の時代に年功序列の給与制度は合わない。企画力は年齢とは関係ないからだ。もちろん、完全な成果主義がよいというわけではない。会社は組織であり、分業体制であるから、社員一人ですべての仕事を完結させて成果を上げることはできない。みんなと協力して、自分の役割を果たすことが利益につながっている。どこの企業も、両方をうまく融合させて、基本の給料は低額で、賞与だけを成果主義にしたり、社内ベンチャー制度を作ったり、子会社化したりして、試行錯誤しながら、給与制度を決めている。
  • 人間は、①一部の意見を代表的な考え方だと勘違いしてしまう。②自分の意見と同じものは過大評価して正しいと判断してしまう。③最初に聞いた意見が強い影響力を持ち、他の意見を素直に聞けない。という3つに引っ張られて、結論を急いでしまう傾向にある。そして、急いだことが原因で不合理な結論を導いてしまうことがある。いつでも自分の頭で考える癖をつけることが重要である。いつでも突っ込んで考えることで、本当に必要な情報を絞り込み、時間がかかってもそれを収集し、自分で実践してみて一番良いと思う方法を選ばなければならない。
  • ほとんど使わないものに経営資源を投入してはいけない。例えば、新しい機能をつけて売れたとする。その機能を付けたことで売れた印象が強いと、その先も削る必要がないと自動的に思い込んでしまう。しかし、新たな機能をつけるときにお客にとって価値が小さくなった古い機能は削るべきだ。それによって製造コストを下げたり、代わりに新しいサービスを増やしたりする方がいい。いつでも、今まで取ってきた戦略が正しかったかを見直さなければならない。戦略がうまくいっている時こそ、やるべきだ。戦略を見直す戦略も必要ということだ。

この小説のエピローグの次のような言葉が載っています。

 ビジネスでも、出世争いでも、株や不動産でも、恋愛でも、投資を成功させるためには、自分の頭で考えて作った戦略が必要となる。ロボットは最後に、いつでも、その戦略を見直さなければならないことを教えてくれた。「戦略を見直す」とは、過去にとらわれずに、環境の変化に合わせて、「自分の考え方を変えろ」ということなのだ。それにはリスクがあるし、絶対に成功するとは限らない。それでも自分が変わらなければ、お客だって、上司だって、部下だって、恋人だって、変わってくれないのだ。

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企業の危機管理

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2046人、そのうち東京439人、神奈川189人、埼玉110人、千葉102人、愛知171人、大阪148人、兵庫50人、京都41人、広島32人、福岡42人、沖縄166人、北海道182人などとなっています。確かに減少傾向にあり、6月20日に緊急事態宣言を解除するのか延長するのかということが俎上に上ってきます。6月20日に緊急事態宣言解除し、まん延防止等重点措置に移行、飲食店の時短・酒類提供禁止を緩和するという流れで進んでいるようですが、時期尚早です。今ですら繁華街の人出は増えています。これでは7月中旬以降に(オリンピックが開催されていればその期間中に)第4回目の緊急事態宣言発令という事態になってしまいます。3度にわたり緊急事態宣言が発令されているにもかかわらず、緊急事態宣言解除の要件が何ら決められていないというのが問題なのです。

今日は大した記事がなかったので、危機管理について改めて考えたいと思います。

コロナ禍の今、多くの企業が危機管理の重要性を認識していると思いますが、政府ですらこのような状況で危機管理能力の欠如を露呈し、企業、特に中小企業は何をしていいのかわからないというのが現実でしょう。

危機管理と似た言葉にリスク管理という言葉があります。両者は同一に論じられることもありますが、全く別物です。

リスク管理(リスクマネジメント)は、近い将来から遠い将来まで、これから発生するかもしれないリスクを洗い出し、それらのリスクを回避するための管理活動です。ここでいうリスクとは、「今後発生し得る不確定事象」のことで、マイナスの影響を及ぼす出来事だけがリスクではありません。思わぬ出来事で企業に利益をもたらすものもリスクとなるわけです。

一方、危機管理は、事業の目標達成や事業継続を脅かすような危機が発生した際に、その影響を最小限に食い止めるとともに、危機的状況からいち早く脱出し、正常状態への回復を図るための管理活動です。ここでいう危機は、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックを含め、大規模な自然災害やサイバーテロなどによる影響などを意味し、万が一の事態が発生した際の事業復旧計画を立てることが危機管理の基本です。

リスク管理では事業目標達成や事業継続を妨げるようなリスクについて細部まで考えを巡らせて今後発生するかもしれないリスクを想定し、そのリスクに優先順位をつけて優先順位に応じた対策をとることになります。一方、危機管理はすべての企業が等しく陥る可能性がある危機的状況に対し、実際に危機的状況に陥った際にどういうプロセスで被害を最小化し、できるだけ速く正常に戻すためにどうするかを計画することになります。

危機管理において重要なのは、危機が発生する前の、危険予知・予防・発生時の準備です。危機が発生してから慌てて泥縄(泥棒を捕まえて縄をなう)で対処しても失敗するだけ、準備が大切だということです。危機的状況を予知・予防するとともに、仮に回避に失敗した時に備えて対処の方法を平時のうちから準備しておかなければなりません。

そして、十分な準備を行ったうえで、万が一危機的状況に陥った場合、

  1. 現在発生中の被害を最小限に食い止めること
  2. 危機のエスカレーション・2次被害を防止すること
  3. 危機を終息させ正常な状態に戻すこと

の3つが必要です。これができなければ危機管理は失敗です。日本のコロナ対策はこの3つのいずれもができておらず、完全な失敗です。

もっと詳しく言えば、危機管理の方法は次の6段階で構成することができます。

  1. 予防・・・危機発生を予防する
  2. 把握・・・危機事態や状況を把握・認識する
  3. 評価・・・①損失評価=危機によって生じる損失・被害を評価する ②対策評価=危機対策にかかるコストなどを評価する
  4. 検討・・・具体的な危機対策の行動方針と行動計画を案出・検討する
  5. 発動・・・具体的な行動計画を発令・指示する
  6. 再評価・・・①危機内再評価=危機発生中に、行動計画の実施状況や効果を評価し、行動計画に随時修正を加える ②事後的評価=危機終息後に危機対策の効果を評価し、再発防止や今後の危機対策の向上を図る

ここで最も重要なのは、どのような行動方針と行動計画を作るのかということです。

まずは危機管理マニュアルを作成しておくことです。大地震ゲリラ豪雨のような自然災害の危機、製品のリコール・食中毒問題・会社の不祥事など企業活動に伴う危機など、企業が抱える潜在的危機は多岐にわたっています。こうした危機に対応するための有効な手段が危機管理マニュアルの作成です。

危機管理マニュアルには

  1. 従業員に企業が抱える危機を認識させる
  2. 危機が起こった際に迅速な対応が行えるようにする
  3. 対応漏れをチェックできる
  4. 従業員が臨機応変な対応ができるようになる

などという意義があります。

最も重要なのは企業が抱える潜在的な危機を洗い出し、危機管理計画を作成することです。危機管理計画では、①平時の危機管理(設備・備品の充実、避難訓練、定期的な危機管理マニュアルの見直し)②危機発生時の危機管理(基本的な行動指針の作成、危機発生時の各部署の役割の決定、情報管理方法の決定)③復旧時の危機管理(電気・ガスなどの生活インフラの復旧方法の見直し、資金管理者の決定)などの段階に応じて危機管理計画を作成しておくことが大事です。

ここでは、不測事態対応計画(コンティンジェンシー・プラン)について触れます。

これは、経済環境のみならず、経済外の環境も含めた予想外の不測事態に対応するための計画であり、東日本大震災以降、「今日の企業は常に予期できないような事態の発生に注意を怠ってはならない」という発想で、多くの企業が取り組むようになってきています。不測事態には、地震等の災害、石油等の資源・食料等の輸入ストップ、資材購入価格の高騰、為替市場の変動、政変・テロ等様々なものが考えられます。

漠然としているものの起こる可能性のある問題ごとに、複数の計画をあらかじめ定めておき、それが生起した際に、それに対応した計画に切り替えることにより、迅速な対応を果たし、損害の最小化を図ることが狙いです。

中小企業庁中小企業BCP策定運用指針」のBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)もコンティンジェンシー・プランの一種と言えます。BCPというのは「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急事態時における事業継続のための方法手段などを取り決めておく計画」のことです。

BCPにおいては、企業の「存続に関わる最も重要性・緊急性の高い事業」である「中核事業」を特定することが重要な作業です。中核事業を絞り込むと同時に、緊急時においてそれをどの程度復旧させることが可能なのか、また目標復旧時間をどのように設定することが可能なのか、あるいはそれを実現するために必要となるバックアップ措置は何かなどを確認しておくことが重要となるのです。

BCPは「絵に描いた餅」ではダメで、緊急事態が発生した時には、どのような基準でBCPを発動させるのか、BCP発動時にはどのような体制で組織が動いていくのかといった平常時からBCP体制への切り替え方についてあらかじめ取り決めておくことが肝要です。またどのような状況になればBCP体制から平常時の体制に戻すことができるかといった基準も明確にしておくことが重要です。

政府が企業に対して不測事態に対処すべくコンティンジェンシー・プランやBCPを策定すべく指導しながら、自らの危機対応がお粗末すぎるというのは皮肉なものです。

今後も新型コロナ禍のような不測事態が起こり得る可能性は十分にあります。不測事態が起こった際に、政府のようにその時々の思いつきやその場の雰囲気で対処していたのでは今回のことが生かされたとは言えません。今回の経験を生かし、危機管理マニュアルを策定し、しっかりとした行動計画を作成しておくことをお薦めします。

部下の叱り方

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2242人、そのうち東京440人、神奈川202人、埼玉121人、千葉106人、愛知247人、大阪153人、兵庫64人、京都64人、広島27人、副科66人、沖縄174人、北海道179人などとなっています。減少傾向にありますが、減少スピードが鈍化しています。群馬、石川、熊本に出されているまん延防止等重点措置は13日で解除するようですが、緊急事態宣言解除は統一的に判断し慎重に行うべきです。昨日、菅首相と各党党首との党首討論が行われましたが、菅首相は、相変わらず質問にまともに答えず、64年の東京オリンピックの思い出話を長々とするなどコミュニケーション能力の欠如を露呈しました。東京五輪開催の理由について国民に説明する絶好の機会であったにもかかわらず、五輪の意気込みを語っただけで五輪開催の意義について説明することはありませんでした。OICや一部の利権のためで明確な意義などなく説明することができなかったというのが答えでしょう。

さて、今日は、JBpressの「部下の叱り方『上手いか下手か』は業績と人材育成に関わる大問題」という記事を取り上げます。

年を重ねるにつれ「若い者に有益なアドバイスをしてあげたい」という気持ちが高まってきます。その思いが強すぎるとついつい強い言葉になることもあります。それが部下から見れば理不尽な叱り方かもしれません。しかし、かつては、上司が部下を飲みに誘い、お互いが本音で語り合うということで両者の溝を埋めていたということもありました。しかし、最近では、上司と部下との緊張感のあるやり取りとその緩衝材としての飲み会もなりを潜めてしまったように見えます。コロナ禍の影響もありますが、後で述べるように、それだけではありません。こうした状況は、部下や組織にとっていいことだとは思いません。

1.誰からの叱られない社会

 上司が部下のことを思って熱血指導をしても、それをどう受け取るかは「部下次第」です。場合によってはハラスメントだと訴えられることになりかねません。もしパワハラだと通報された場合、真相を探るよりも、取りあえず「上司を左遷」させる企業が多いのです。これでは、パワハラに該当しなくても、上司のサラリーマン人生は一発アウトです。一旦出世街道から外れた場合挽回が困難のなのが日本の企業です。このように叱る側のリスクは益々大きくなっています。だから、胸の中では「アドバイスしてやりたい」けれど、黙っている方が無難であるという風潮が生まれてきています。

 こうして、誰も叱らない社会、誰からも叱られない社会が生まれてしまっているのです。かつては、家では親が子供を叱り、学校では教師が生徒を叱り、近所のおじさん・おばさんが近所の子供を叱りという風に社会全体で子供の躾をしていました。しかし、そうしたことがほとんど見られなくなりました。

 上司が部下を厳しく指導しなければ、人材の成長は止まり、企業力も国力も低下します。これが今の日本の現状です。

2.パワハラと指導の分岐点

 パワハラだけでなくセクハラもそうですが、あらゆるハラスメントにおいて、ハラスメントとそうでないものとの境界線が極めてあいまいになっています。概してハラスメントというのはそれを受けた側の心情を中心に判断されてしまうということです。

 上司には上司の、部下には部下の言い分があります。しかし、ハラスメントは部下の心情で判断されることが多いのです。これはハラスメントの性質上やむを得ないことではありますが、もう少しこの点を明確化する必要があると思います。

 「叱る」ということは人材育成の一環です。「叱る」ことによって人材が成長し、企業にとっては生産性や業績が上がるという面もあります。意味のある叱り方とハラスメントとと分岐点について、企業がしっかりとした線引きのルールを作るということが必要ではないかと思います。どこまでが許される叱り方かが明確にルール化され示されていれば、上司はハラスメントと訴えられることを躊躇することなく人材育成に向けて叱ることができます。

3.叱責の作法

 この記事では、上司の部下に対する効果的な叱り方、怒っても思いが通じて受け入られる叱り方について説明されています。

  1. 叱る側も成長し続ける・・・上司が部下に対して上から目線で叱りつけているのでは、反感を買うだけです。今は環境変化のスピードが速く、上司と雖も生涯学び続けていかなければお荷物になってしまう時代です。上司と部下と立場は違えど同じ人間です。人間としては対等です。PTやITについては若者(部下)の方がスキルを持っています。若者(部下)に学ぶという姿勢も大事なのです。上司は部下を叱るということを通じて、部下だけでなく自分も成長できなければなりません。こういう意識が重要です。
  2. 言語化の訓練を自らに課す・・・部下を指導するときには、「何をどのように話すのか」、言葉を一つ一つ選び出す「言語化の訓練」が重要です。その時々の思い付きで指導するようではいけません。これまで自分が経験してきた事柄や得た知見を言語化してそれを伝えるということが大事です。何度も言っていますが、「暗黙知形式知化して共有する」ということが重要なのです。上司が部下に自分の経験を伝えたとしても、「なぜ重要なのか」が言語化されていないことから、部下は得心が行かず感情に任せた怒りや苛立ちを思えるのです。言語化して共有できなければいけないのです。
  3. 偉くなっても偉くいられない環境を選択する・・・お偉くなってしまった上司は部下の心理状態を見誤り、叱るタイミングや言葉の選び方を間違えやすくなります。ついつい、自分が若手の頃のことを忘れてしまっています。偉くなっても、リスクの高い仕事を自分で担当したり、厳しい顧客に自ら会いに行くという環境を作っていれば、部下の心理状態を見誤ることはなく、適切なタイミングで言葉の選び方を間違えることはありません。
  4. 叱りたい部下に質問を続け、一つでも褒めるポイントを見つける・・・何かトラブルが発生したとしても、部下が常に100%悪いということはありません。なぜそのトラブルが起きたのか、思い込みを一切排除してとことん質問して聞いてみることが大切です。その過程で、1つでも本人の前向きな姿勢が見つけられれば、厳しく叱る分だけ褒めてあげられるポイントになります。叱られて落ち込んでいる中で褒められると心の痛みは和らぎ、これから頑張ろうという気になり、上司に対する反感も湧きおこりません。

コロナ禍でリモートワークが浸透し、上司と部下との距離感がオフィス勤務の場合とは違ってきている昨今、今一度、組織における叱ることの意味を考え直してみるときかもしれません。 

 

日本と米国のマネジメントの違い

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1884人、そのうち東京369人、神奈川179人、埼玉83人、千葉81人、愛知170人、大阪190人、兵庫68人、京都44人、広島26人、福岡57人、沖縄159人、北海道120人などとなっています。先日の尾身会昌の発言に、竹中平蔵が「越権行為だ」「五輪中止の世論が間違っている」などと愚かなことを言い出しました。分科会の尾身会長は専門家の立場から政府に提言をしているのであって、何ら越権行為だとは思いません。政府と癒着して暴利をむさぼる竹中・パソナこそ越権行為です。また、民主主義は世論。国民の意思を前提として成り立っています。それを間違っているというのでは民主主義の根幹が揺るぎます。日本は独裁国家ではありませんよ。民意・世論を抑え込むことはできません。やってはいけないことです。こういう愚かな人間が菅政権のブレーンだということが菅首相の愚かさを示しています。ビジネスにおいても政治においてもコミュニケーション力は極めて重要です。一国のリーダーとして、菅首相には語彙力、コミュニケーション能力が大きく欠如しています。コミュニケーションに必要なのは相手と共感すること、すなわち共感力です。この共感力がなければ信頼関係は生まれません。多くの海外のリーダーは共感力に長けています。この共感力を基に国民と共感しコロナ対策に取り組んでいます。先日も「リーダーに必要な『勇気』と「共感能力』」で書きましたが、菅首相も、一国のリーダーとして、国民に寄り添い共感し、勇気をもって決断・邁進することです。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「米国企業と違って日本企業で『面従腹背』が起きがちな理由」を取り上げます。

時代や環境変化、コロナ禍のような危機的状況において、会社を良くするのも駄目にするのも経営トップのあり方にかかっています。

日本と米国のトップのマネジメントスタイルは異なります。

この記事では、GEのケースが挙げられています。GE日本法人の会議が東京・六本木のANAとテルで行われていました。GE日本法人のスタッフ部門で働いていた日本人社員がトイレに行く本社CEOのジャック・ウェルチと副会長のパオロ・フレスコが入ってきて声を掛けられます。二言・三言言葉を交わすと、ウェルチから「君は本社で仕事をした方がいい」と言われ、米国本社のジャック・ウェルチ直属の経営企画部に異動が決まったというのです。

このように、世界屈指の大企業のトップが、自身の判断とリスクでこの手の人事を行うのが米国企業の「人治」マネジメントなのです(以前2021.1.27に「『人治』式マネジメントと『法治』式マネジメント」というのを書いていますので参考にしてください)。

日本企業で、トイレで交わした二言三言で、異動や配属を決めることができる経営トップがいるでしょうか。そのためには経営トップが組織の動き方を的確にイメージできていなければならないのです。米国式のマネジメントでは、トップは自分の発する指示の精度を高めるためにトップ直属の本部組織、経営企画室や戦略機能、人事、財務、経理機能などを動かします。これらの組織・機能がトップがイニシャティブを発揮し、パフォーマンスを高めるためのサポート組織です。これらの組織がトップと一体化して考え、前向きに動くのです。

1.日本企業では「面従腹背」が起きがちな理由

 日本においても米国式のマネジメントを取り入れる企業が増えてきています。しかし、「言うことを聞かなければクビ」の前提や、うまくいかなかったときには発信者・トップが責任をとるという前提がなく、形だけ米国式のマネジメントを取り入れても意味はありません。仕事を失う恐怖を伴った実行力もなく、責任の所在もあいまいな状態のまま、結果として指示や数値責任の「丸投げ」が多くの企業で常態化しています。

 米国式のマネジメントはトップだけでなく指示に従わなければクビになる恐怖を抱く従業員にとっても厳しいものであり、真剣勝負と言っていいものです。ところが、日本では形式的に米国涼を取り入れ、責任の所在があいまいで誰も責任を取りたがらず、その場だけをうまくしのげばいいという雰囲気を生み出しました。そして、上辺だけ上の者に従うが内心では従わず上の者を軽視する「面従腹背」という、良くも悪くも無難にやり過ごすための知恵が広まってしまいました。

2.小うるさい「躾」を行う文化が日本企業のマネジメントの強み

 数年前に、世界の主要国の経営者について、様々な角度から能力評価の調査が行われましたが、日本の経営者の能力評価は相対的に低く出ています。しかし、このことから日本の経営者のレベルが世界的に見て低いと結論付けることは短絡的だと思います。

 日本企業の強みは、米国や欧米企業と違い経営トップ・リーダーのスタンドプレーよりも組織力の発揮にあり、組織力を高めることのできる経営トップ・リーダーが求められます。そこには組織を性善説で動かそうとする基本的な姿勢があり、それが組織として機能するために、小うるさい「躾」を行う文化が根底にありました。

 ところが、欧米式のマネジメントの理論や手法が導入されるにつれて、組織の上層部は「躾」を怠るようになり、一方的に指示を発すればいいという錯覚が蔓延しているように思います。「躾」というのは「決めたことは必ず守る」ということであり、そのためには、経営トップや管理者の率先垂範と部下に対する監督、教育指導、訓練の継続が必要です。こうした点を疎かにしていたのでゃ日本企業の強みを発揮することはできません。生産管理に5Sというのがありますが、これは、整理、整頓、清掃、清潔、躾について、日本語のローマ字表記の頭文字をとったものです。これまで日本企業はこうした点を重視し、それが日本企業の強みになっていたのです。今一度こうした日本の良さを見直す時かもしれません。 

人から好かれるコミュニケーション

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1278人、そのうち東京235人、神奈川173人、埼玉44人、千葉64人、愛知97人、大阪72人、兵庫22人、京都10人、岡山12人、広島29人、福岡27人、沖縄104人、北海道147人などとなっています。休日のデータによる数字ですが、全国的にかなり低い数字になっています。菅首相は、国会で、「オリンピック開催の前提として緊急事態宣言解除に全力を挙げる」と述べました。この発言は目的がオリンピック開催で、その手段が緊急事態宣言解除ということです。本来の目的は新型コロナ収束にあるはずで、そのために五輪中止も視野に入れて全力で取り組むべきことではないかと思います。菅首相の愚かさ、論理のおかしさが垣間見れます。また、菅首相は、オリンピック開催か中止かについて「自分は主催者ではない」と無責任な発言をしました。これまで「安全安心な開催を」と言い続けていたのをまるで手を返したように逃げています。確かに開催者はIOCと東京都かもしれませんが、コロナ禍の危機的状況では菅首相が、一国のリーダーとしてIOCや東京都に働きかけるべきではないでしょうか。一国のリーダーの決断が重要な時期に来ているのです。「主催者でないから我関せず」では、国民の健康と生命を守ることなどできません。リーダー・首相失格です。

さて、今日は、幻冬舎GOLD ONLINEの「『人から好かれるコミュニケーション』で大切なこと」という記事を取り上げます。これまで何度も対話や雑談、コミュニケーションスキルについて書いてきました。ビジネスにおいてコミュニケーションスキルは極めて重要です。ビジネスにおけるコミュニケーションには、上司や部下、同僚といった社内の人とのコミュニケーションだけでなく、取引先や顧客といった社外の人とのコミュニケーションがありますが、その基本は人と人との交流です。一人の人間として接したうえで、コミュニケーションをとり親交を深めることで信頼関係を得ることができるのです。

この記事では、コミュニケーションに重要な3つのコツが紹介されています。

1.人に好かれる表情

 人が相手に好意を寄せるか否かは最初の2秒で決まると言われています。ほんの一瞬です。そうすると、最初の印象・最初の表情が極めて重要になります。その最たるものは「笑顔」です。最初の表情、「笑顔」はその後のコミュニケーションの「質」(この人と関わりたい)や「量」(この人ともっと話がしたい)に大きな影響を与えます。

 しかし、この笑顔ができない人が多いのも事実です。確かに初対面で笑顔で人に接するのは難しいことですが、あえて意識して笑顔を作るということが必要です。

 以前「親近効果」につき「心理的に人の記憶は最後に重点を置くようになっている」と書いたことがあります。確かに最後の印象は重要です。しかし、最初の印象が悪けれな話は続かず、当然最後の印象も悪くなってしまいます。最後の印象だけを良くすることなどできません。最初に笑顔を作って人とのコミュニケーションをスタートさせ、最後にも笑顔で「あなた」という印象を相手に残して別れるということが最も良い方法です。

2.肯定的なレスポンス

 肯定的なレスポンスというのは、コミュニケーションにおいて相手を受け入れるということです。コミュニケーションを始めると、「でも・・・」「だって・・・」「しかし・・・」などと否定的なことから入る人が結構います。自分の意見を主張したいという気持ちも分からなくはありませんが、常にこれらの否定的・批判的な発言から入っていると相手を不機嫌にさせ、それ以上話を続けようという気を失わせてしまいます。これではそれ以上の進展はありませんし、何も新しいものは生まれません。

 まずは相手を受け入れるということです。うなずく、相槌を打つということが基本です。相手の意見を受け入れたうえで、問題や疑問があれば更に質問して聞く、というのが大切です。前にも書きましたが、「質問」→「聞く」→「質問」→「聞く」→「時々自分の話をする、自分の意見を言う」というサイクルがコミュニケーションの基本・原則です。相手とより良い人間関係や信頼関係を築くには、相手に不快感を与える否定的なレスポンスではなく肯定的なレスポンスを心掛けるべきです。

3.会話したことを実行する

 単なる雑談を含め、「何のために会話をするのか」ということを常に意識しておくことが重要です。特にビジネスにおいてはなおさらです。

 コミュニケーションの基本は人と人との交流です。相手とのより良い人間関係や信頼関係を築くことが目的です。多くの場合、会話を通して ⑴お互いに話の内容を理解する ⑵お互いに相手を理解する ⑶相手との距離を縮める ⑷次のステップに進む というように段階的に進んでいきます。本来、会話が終わった段階で、次のステップが見えていなければなりません。次に何をするのかというアクションが明確になっているはずですが、これを意識できていない人が多いのです。特にビジネスにおいて、コミュニケーションを取った後に、自分は何をすべきか、どのようなアクションを起こすべきかを明確に把握し、それを直ちに実行しなければなりません。

 ビジネスにおいては特にそうですが、ビジネスでなくても、折角知り合って会話をしても、そこから何も生み出せなければ出会った意味がありません。

 会話をする→次のアクションに進む→相手にアクションの結果を報告する→また会う

こうしたことを繰り返すことでコミュニケーションは意味を持ちます。

この記事の最後に「燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」という言葉が挙げられています。

これは燕雀(ツバメやスズメ)のような小さな鳥は、鴻鵠(オオトリやクグイ)のような大きな鳥の志すところは理解できないという意味です。社長やトップのことをあれこれ批判するのは燕雀(小人物)です。低いところにいて低い視点でしかものが見えず上の人に文句を言うだけです。社長やトップは全く別の視点(鴻鵠(大人物)の視点)で物事を見ています。

自分は何を良しとし、何に価値を置き、何を信条として生きるのかを考えるとき鴻鵠の視点が必要になってきます。

コミュニケーションを通じてお互いが理解し合えるようになれば、燕雀も鴻鵠の志を少しは理解できるようになりますし、鴻鵠も燕雀の気持ちや悩みを理解できるようになります。お互いを理解し合えるようになるために、より良い信頼関係や人間関係を築き上げるために、コミュニケーションの重要性を再確認してください。

副業における従業員・会社双方のメリット

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2022人、そのうち東京351人、神奈川249人、埼玉81人、千葉76人、愛知169人、大阪145人、兵庫58人、京都46人、広島40人、福岡79人、沖縄183人、北海道183人などとなっています。昨日も書きましたが、感染状況は減少傾向にあるものの、人流の増加で早々とリバウンドする可能性があります。緊急事態宣言延長に伴って一部制限が緩和され、また時短要請や酒類提供禁止を無視して営業する店舗も増えています。こうした状況は協力金の支給が迅速に行われていないことも一因です。中小店舗にとっては死活問題です。時短や休業要請をするのであれば十分かつ迅速な補償が必要なことは言うまでもありません。指示に従わない店舗には命令を出しさらに従わなければ過料を科すという自治体や店名を公開するという自治体もあるようですが、まずは補償です。倒産・廃業してから協力金が支給されても意味がありません。コロナ禍で苦しむ中小店舗、中小企業が継続して事業が行えるようにあらゆる手段で支援すべきです。

さて、今日は、日本の人事部「『副業』に取り組むことで生まれる効果とは?企業と従業員にそれぞれどんなメリットがあるか」を取り上げます。

働き方改革」とともに現在のコロナ禍の影響もあって、副業・兼業を認める企業が増えています。これまでは就業規則で副業・兼業禁止を謳っていた企業が大半だったのを考えると大きな変化です。この記事では、従業員が副業を持つことのメリットは何か、企業はそれをどのように支援し、何に注意を払えばいいのか、副業について長年研究してきた川上淳之・東洋大学准教授に話を聞いたものです。

1.上場企業の3割以上が副業・兼業を認めている

 2017年の「働き方改革実行計画」で副業・兼業を推進する流れができました。これまで原則禁止であった副業・兼業が推進されるようになったのは望ましいことですが、本当は必要もないのに「他の人がやっているから」という理由で副業・兼業をするというブームのような状況ができ行き過ぎの感があります。

 これまでは厚生労働省作成の「モデル就業規則」に「副業を認めない」(原則禁止)の一文が入っていましたが、現在の「モデル就業規則」では、副業は原則自由となり、本業に支障がある場合、情報流出のリスクがある場合、競業他社で働く場合、会社の名誉や信用を損なう場合などの事情があるときに禁止・制限できるとされています。

 こうした状況もあって、徐々に副業・兼業を認める企業が増え、現在のコロナ禍でさらに増加傾向が見られます。

 副業に取り込もうとする人が増えている理由は、大きく分けて4つあると言われています。

  1. 働き方改革で社会的に認められるようになったこと
  2. リモートワークなどの効率的に働く環境(ITに代表される技術インフラなど)が整ってきたこと
  3. コロナ禍によって労働時間が短縮されたり休業したりする企業が増え、減収分を補う必要があること
  4. 失業しても困らないように手に職をつけたい、キャリアの幅を広げたいと考える人が増えたこと

 「働き方改革実行計画」では、「イノベーション」が大きな目的とされ、副業を持つことで刺激を受け、新たに生まれたアイデアや人的ネットワークを本業に還元するという構図を想定しています。しかし、こうした考えはビジネススキルの高い正社員を対象とした構図で、必ずしも現実にはマッチしていません。

 もともと副業というのは、正社員でない非正規の人たちが1つの仕事だけでは生活できないので他の仕事を掛け持ちするというケースが圧倒的に多いのです。それがコロナ禍で、非正規でない正社員も収入が十分でなくなり、掛け持ちで仕事をしなければならない状況に追い込まれてきているのです。

 こうしたことを考えると、イノベーションにつながるからという理由で副業・兼業を推進するという政府の考えは現実を十分にとらえていないと言わざるを得ません。

2.副業支援に当たって留意すべき4つの条件

 まず、政府が掲げる「イノベーションにつながる副業」ですが、自己成長や人的ネットワークの拡大など、実際に効果を上げているのでしょうか。

 確かに副業・兼業によって「人とのつながりができた」という人は増えていますし、「副業によって、これまでなかった経験や知識を手に入れ、スキルをさらに深化させることができた」という人もいます。しかし、こうした効果が明確に表れるのは、専門的・管理的商業におけるケースです。こうした職務は自分で裁量できる範囲が大きく、副業で得たビジネスアイデアが本業に直接生きてくるからです。それに対して、ルーティンワークや裁量の幅が小さい対話的職業(事務・販売・営業など)では、思ったほどパフォーマンスの変化が見られません。

 しかし、副業には、自分のキャリアに不安を持っていた人を安心させる効果があります。本業での自己成長があまり見込めないなどの理由からキャリアに不安を感じている人をケアする施策として役立つのです。

 もう1つ、ワークシェアリング的な効果があります。現在のコロナ禍で、雇用を維持しながら減収分を副業で賄ってもらおうとする措置です。また、定年延長と同時に副業を認める企業も増えています。再雇用となった場合減収になることが多く、その減収分を副業で補ってもらおうという発想でしょう。

 従業員の副業を支援するためには厚労省ガイドラインにある4つの条件に照らして問題がないことを確認する必要があります。

  1. 労務提供上の支障がある場合
  2. 企業秘密が漏洩する場合
  3. 会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
  4. 競業により、会社の利益を害する場合

 このいずれかに該当する場合は、副業を禁止・制限することができます。また副業を持つことで長時間労働にならないか、など従業員の健康状態をしっかりと管理することも必要です。

 また、従業員が副業を希望してきた場合、「本業に何が足りないのか」を考えることも重要です。給与面で不満があるのか、社内での将来のキャリアに希望が持てないのかなど、背後にある問題や不満を聞き出すコミュニケーションが大切です。

 副業を認める場合、単に収入目的の副業よりもスキルアップにつながる副業の方が、企業にとって望ましいことは言うまでもありません。最初は収入目的であったとしても、その仕事を通じてどんなスキルが得られるのか、本業にどうつなげていくことができるかと言ったことを話し合い、少しでも社内でのパフォーマンス向上へとつなげることが人事や上司の役割です。

3.副業を持つ働き方は今後さらに加速していく

 副業・兼業を認めている企業は徐々に増えていますが、まだ6割以上の企業が副業・兼業を原則禁止しています。副業を認めた以上「本業を優先しろ」とはいい図落、そのうえで時間管理や健康管理などのサポートをしていくことが求められます。禁止している企業には、こうした調整にあまりコストや時間をかけられないといった事情があるようです。また、副業希望者との丁寧はなコミュニケーションや支援も上司や人事の負担になるからです。

 しかし、副業を認めている企業に魅力を感じ入社を決意する人が増えています。そうすると優秀な人材が副業を認めている企業に集中していくことになります。将来的に副業を経由して転職していく新たな人材市場が形成されていくとすれば、副業を禁止している企業はその市場にアクセスできないことになり、やがては企業の実力やブランド力の差になっていく可能性があります。こうしたことを考えれば、副業を原則認める企業が増えていくように思われます。

 副業の流れができると、スキルアップのビジネス面だけでなく、これまでは生活のためにあきらめなくてはいけなかった夢や趣味などを副業のカタチで続けることもできるようになります。

 同時に、企業も今では長期雇用を確約できませんし、従業員もずっと会社が存続すると確信できない時代です。経済の低迷やコロナ禍のような不測の事態に対して抱かざるを得ない不安を少しでも解消してくれるのが副業です。

 また、非正規や高齢者など不安定な雇用状況にある人、正規であっても収入が低い人にとっては、副業は一種のセーフティネットでもあります。本来はすべての人が安心して働ける環境を整備していくことが求められますが、それができない檀家いでゃ副業が果たす役割は大きなものがあると言えます。

今、副業が一種のブームではありますが、副業したいという従業員の中には、収入面だけでなく仕事に対する悩みや不満を抱えている人がいます。こうした人とのコミュニケーションは極めて重要です。また、副業を持つと忙しくなり、ワークライフバランスのゆがみが生じやすくなります。本業と副業とで家庭や健康面で支障が出ないように支援することも大切です。

副業は従業員個人と企業の双方にとってメリットがあるように支援していく必要があります。 

休日の本棚 限界はあなたの頭の中にしかない

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2652人、そのうち東京436人、神奈川224人、埼玉119人、千葉137人、愛知218人、大阪174人、兵庫81人、京都49人、岡山20人、広島47人、福岡85人、沖縄261人、北海道276人などとなっています。全体的には減少していますが、第3波の時と比べると減少スピードが鈍化しています。緊急事態宣言の延長で一部制限が緩和されたことや自粛疲れ・気の緩みなどから繁華街の人出は増加しています。新型コロナウイルスも従来型から感染力の強いイギリス型に置き換わり、さらに新たな変異株が見つかっており、しっかりとした対策を取り気を引き締めないとあっという間にリバウンドします。6月20日の期限に解除できるか今が正念場だと思います。

さて、今日は、ジェイ・エイブラハム著「限界はあなたの頭の中にしかない 小さなアクションで最大の成果を引き寄せる」(PHP研究所を紹介します。著者のジェイ・エイブラハムは、「フォーブス」誌が2000年に全米トップ5の経営コンサルタントに選出した実践マーケティングの巨匠です。「7つの習慣」の著者スティーブン・R・コヴィー博士も「ジェイは、私が知りうるもっとも偉大なビジネスとマーケティングマインドを持つ人物」と絶賛しています。

この本の帯に「落ちこぼれは、いかにして1兆円を生み出す伝説のコンサルタントになったか」とあります。ジェイは、高校を失業してすぐに、ガールフレンドから妊娠したと告げられます。ADD(注意欠陥障害)で大学進学も就職もできていない時です。結婚して子供を育てるために仕事を見つけますが、すぐに集中力がないとの理由で解雇されます。その後は定職につけず複数のアルバイトを掛け持ちで、絶望だけが、学歴もなく、定食もなく、高校を卒業しただけで、子供を育てていかなければならないジェイを襲います。こうした中、ある人物から「君がおしまいと思っているからおしましなだけだよ。君の人生は本当は無限大なんだ」という言葉をかけてもらいます。この言葉を深く考え、ジェイは「どん底にいると気づけば、あとは上に伸びていくしかない。自分に限界を課しているのは自分自身なのだと気づけば明るい未来が広がっている」と考えるようになったのです。ジェイは、この言葉を信じ、行動に移したのです。

ジェイは言います。

  • あなたが授かった能力や、あなたの中に眠る偉大さ、あなた方の人に与えられる価値は、本当は無限なのです。問題は、あなたが、自分には無限の能力があると認めるかどうかなのです。それを認めたら、次はそれを活用するかどうかです。活用すると決めたら、あとはそれが最も力強く、最も生産的な方法で活かされているかを、自分に対して監督指示することです。
  • あなたはどのように生きるか、あなた自身で決めることができます。そして、そのような人生を生きているかどうか、自分自身で常に分析し、評価し、軌道修正を行い、自分に指示するのです。あなたの人生はあなたが決定すべきです。あなたの理想はあなたにしかわかりません。あなた以外の人があなたが理想に向かっているのかいないのか、判断することはできません。

ジェイは「人生は単なる瞑想によって成し遂げられる成果よりも、行動によって成し遂げられた成果の方が、より多い」とも言っています。瞑想の力や熟考することを軽視しているわけではありませんが、人生における方向性と行動を変えなければ大きなことは成し遂げられないということです。

また、ジェイは「手段ではなく理念を重視する」という強いこだわりを持ってビジネスを行っています。理念が明確になることで、どこに向かおうとしているのか、またその前後逆まで含めてとても明確にコントロールすることができるようになります。進むべき目的地、道のり、途中の通過点、そして進むべきではない方向まで、きちんと把握し、戦略的にコントロールでき、迷いがなくなるのです。手段や手法を必死で追いかけても結果は変わりません。理念は行動であり、活動であり、決断であり、信念体系のこと、それがより高いレベルの結果やより高い成果に導くと言っています。

多くの本を読み、良い考えを持っただけで人生やビジネスが変化することはありません。理念を変え、信念を変え、そこからくる行動を変えることで、結果が変化するのです。自分自身が立ち上がって行動しない限り、何も起きないのです。

この本の構成は次のようになっています。

第1章 あなたの人生をコントロールするのは誰か

第2章 成功者は皆、「他者」から学ぶ

第3章 あなたのいちばんの味方は、あなた自身

第4章 なぜ、あなたは働くのか

第5章 「問題解決力」が人生を好転させる

第6章 ビジネスを突き動かす「基本原理」

第7章 マーケティングは死んだ

第8章 善なる経営

エピローグ 気高く生きる

この本の中から、ビジネスに関係することで、経営者やビジネスパーパンにとって役に立つと思う言葉をいくつか紹介します。

  • 消費者は戦場の兵士ではありません。あなたがどんなに高度な戦略を練り、マーケティングファネルを構築したところで、あなたの指示通りに動いてくれるわけではありません。あなたが消費者の「心」に寄り添わない限り、それはやがて見透かされてしまいます。どんなに熱心に戦略会議を行い、数値分析やグラフを用いてもっともらしく表現したところで、そんなものに本当の人間性は現れないのです。消費者一人ひとり、感情の揺れ動いがあり、悩みがあり、人生があるのです。一人ひとりが存在意義を持ち、価値観の違う個別の人生があるのです。
  • どんなにその商品やサービスの必要性や重要性を信じていても、顧客にとっては何ら重要ではないということです。いかにして顧客に「関係ない」と思っているところから「重要だ」と感じてもらえるかを考えなければなりません。私を重要だと思ってもらうためには、先にその人を重要だと思わなければなりません。そのためには、まず話を聞くことです。人の話を聞くということは、頭の中を白紙状態にして聞き入ることです。言葉の意味だけでなくその内容が意味するところや内容の背景も深く理解することです。そして大事なことは、話し手にしっかり聞いているという合図を出したり、質問を返すことです。しっかり相手の目を見てうなずいたり、相槌を打ったりします。相手の話をしっかり理解しようと集中し、不明瞭な点は確認するために質問するのです。更に詳しく知りたい内容も聞き返します。相手が話を続けているのに、ソワソワよそ見をしたり腕や足を無意識に動かしたりしてはいけません。
  • どんな失敗や危機、ネガティブな事態に陥ろうとも、そこで立ち止まらないことです。経験をバネにして、それをプロペラとして前進し続けることです。そして、必ず、自分へ質問を投げかけることです。自分を振り返り、過去の失敗から何を学んだか、その原因を追究し、受け入れることです。それによって将来をもっとより良いものにコントロールでき、進展していくことができるのです。
  • あなたが働く意味は「あなたの存在を通して、あなたの存在する世界に価値を創出するため」です。あなたは仕事を通して、あなたの職場やお客様やあなたと接する人に何かしらの価値を届けることで、少しずつ豊かになっていきます。より良い価値を創出することに焦点を当ててください。それは素晴らしい笑顔で接客することかもしれません。見えない場所をきちんと掃除し、場の空気まできれいにすることかもしれません。「結果に焦点を当てる」とは、決してお金や数字の結果というのではありません。「どれだけの価値を提供できるか」という意味です。数字を追い求めるのではなく、価値を提供すればするほど、結局、数字としての結果もより良いものになっていくのです。
  • ほとんどの会社が行っているのは手段です。方法論です。戦術です。どのような方法でマーケティングを行い、どこと契約し、どのように顧客にアプローチするのか、どのような価格帯でどのターゲットにどんな製品を届けるのか。これらはすべて手段です。理念によるビジネスは「なぜそのビジネスをするのか」というところからスタートするのです。先ず「なぜ」このビジネスをしているのか、そもそもどんな信念で行っているのか、その現状認識からスタートし、主体的な、なおかつ長期的な理念を考え直さなければなりません。次に、ビジネスにおいて、何に挑戦し、何を成し遂げたり打ち立てたり、維持しようとしているかの信念体系を考えます。そして、どのような大方針を立てれば、追い求める最大の成果を最速で最も長続きする方法で得られるかを考えなければなりません。これらを考えなければビジネスは立ち行かなくなります。このことをしっかり認識する必要があります。
  • イノベーション」というのは多くの人が技術革新のことだと勘違いしやすい言葉です。技術革新が必要なときもありますが、必ずしも必要とは言えません。イノベーションとは「お客様の生活や状況に、偉大な利益の増大や改善をもたらし、なおかつ、お客様から感謝され、価値を認めてもらるもの」です。お客様が感謝しないのであれば、どんなに製品を10倍速く、うまく作る能力を持とうが何の意味もありません。お客様にコスト削減をもたらしたり、それを加えることによってよい結果を得るということがない場合、たとえ競合の10分の1のコストで生産できる能力を達成しようが何の意味もないのです。
  • 多くの人は間違ったビジネスをしています。間違った働き方をしています。ほとんどの人がお客様ではなく、自社の製品やサービスに恋しています。しかし、それは完全に間違っています。自社の製品やサービスと恋に落ちるべきではないのです。恋に落ちるべき相手はお客様です。お客様を恋人のように考えるべきなのです。そうすれば、あなたが行う行動のすべて、あなたが推薦するすべてのもの、あなたが行ってきたコミュニケーションのすべて、さらにはあなたの魂と存在についてのすべてが、恋人にそうであるように、お客様の人生を高め、強化し、より豊かにすることができます。恋人を守るように、お客様を守り、より利益を上げ、より頼れる存在になれるように支援するのです。
  • ビジネスは ①買ってくれる人の数を増やす ②その取引額を増やす ③購買の頻度を増やす というたった3つの要素で成り立っています。お客様は、消費にゃサービスを買っているのではなく、「得られる結果」を買っているのです。モノを買うことで得られる、その人の人生やビジネスに影響する利点、結果、喜び、保証を買っているのです。お客様にとって最高の商品やサービスを提供しなければなりません。そうすることで購買額も増え購買頻度も増えてきます。また、お客様は消費者ではなくクライアントです。人と人との交流なのです。一人の人間として接することです。それを認識したうえでコミュニケーションをとり、親交を深めることで信頼感を得ることができます。それが購買額や朋輩頻度につながります。
  • マーケティング手法に優れていれば、サービズの質が悪くても、短期的に利益を作ることができます。マーケティングの手法だけが取り入れられ、それが独り歩きし始め、間違った戦略や戦術が広がっています。ビジネスの目的や精神性があってこそマーケティングは正しく機能するのです。アイデアのテクニックだけを取り上げても意味がないのです。お客様を思いやり、理解しているのだということを伝えるためにマーケティングがあります。そこから信頼が生まれ、信頼こそが企業家とお客様の双方に繁栄をもたらすのです。信頼が関係性を保つカギであり、そして、そのすべてです。マーケティングとは、人々に少しでも良い人生を送ってもらうための手助けであり、最も誠実で、純粋な、ビジネス活動の本質なのです。
  • ドラッカーが言うように、ビジネスはマーケティングイノベーションです。小さくはじめ、テストを繰り返し、改善を重ねていくことで、より洗練されたものとなっていきます。ほとんどのビジネスマンは、毎日別の真新しいグランドで、ホームランをいきなり打とうと狙っているようなものです。でも本来は、ビジネスはお客様に手の届く所へ来ていただき、そこから絶対に話さないような関係性を築くことが重要です。そのためには自分の思い込みや熱意だけで押し通すのではなく、テストし、お客様の反応を確かめながら改善しなければなりません。
  • ビジネスにおいて最も重要なのは、そのビジネスを行う目的です。どんなにマーケティング手法が優れていても、どんなの資本金があっても、どんなに優秀な人材を集めても、理念が間違っていれば、そのビジネスはやがて衰退します。中小企業の大半は目的を達成できずに終わります。しかし、そもそも明確な、正しいゴールを持っていないのです。それでは達成のしようがありませんし、成功の意味が分からなければ成功のしようがありません。
  • 卓越した企業は、常にお客様や潜在顧客に対して、本当に真摯に、善き人生とするために尽くすのだというはっきりとした志と、強い希望を持っています。この希望こそが、顧客と長期的な、誠実な、一生をかけた関係を築くのだという勇気と信念、力や要求を生み出すのです。こうした正しい信念こそが、強いリーダーシップへと駆り立て、会社全体、チーム全体に卓越した意識を鼓舞するのです。
  • 家族のようにお客様のことを扱いなさい。お客様に自分は大事にされていると感じていただきなさい。常に感謝し、コミュニケーションをとり、注意を払い、彼らの悩みを聞くのです。お客様の不満を知り、早急に解決し、お詫びをし、また戻ってきていただくように誠実に接するのです。あなたが得る成功は、あなたがお客様やチーム、取引先に届けた価値と同程度です。価値を作り出すことが、成功へ向けての第一歩であり、卓越した存在になる唯一無二の方法です。人間的成熟度がビジネスの成功に比例していくのです。

この本は、ジェイが、自分の落ちこぼれであった過去をさらけ出し、将来に希望を持てず、人生に満足できずに暮らし、強い欲求も確信も目的も持てずに生きている多くの日本人に向けて、希望の炎となる「着火マシン」となるように書かれたものです。

昨日は中村天風の「運命を拓く」と紹介し、その中で「我は今、力と勇気と信念を持って甦り、新しき元気をもって正しい人間としての本領の発揮と、その本分の実践に向かわんとするのである。我はまた、我が日々の仕事に、溢るる熱誠をもって赴く。我はまた、よろこびと感謝に満たされて進み行かん。一切の希望、一切の目的は、厳粛にして正しいものをもって標準として定めよう。そして、常に明るく朗らかに統一道を実践し、ひたむきに、人世のために役立つ自己を完成することに努力しよう」という「甦りの誦句」を紹介しました。ジェイの考えも全く同じ、同じことを言っています。人生の基本、ビジネスの基本は同じなのです。

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