中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 「ストーリーとしての競争戦略」

f:id:business-doctor-28:20191214090215j:plain

ふくろうカフェにて

おはようがございます。

今日は土曜日、本についての話をします。今回は、楠木建氏の「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社)を取り上げます。著者の楠木氏は一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授です。

「優れた戦略の条件とは何か」という問いに対して、著者の楠木氏は「思わず人に話したくなるようなストーリーにある」と答えます。そして、「ストーリーがある」とは「戦略の構成要素がどのようにつながって、その結果何が起こるのか。全体としてどのように動き、全体の動きと流れが動画のように生き生きと浮かび上がってくる」ということだと言います。

本書では、多くの興味深い事例をもとに「ストーリー」という視点から競争優位をもたらす論理を展開されています。

著者が「ストーリー」という視点を重視されるのは、①ストーリーの持つダイナミックな意味合い(構成要素の因果論理の流れや動きが見える)②戦略ストーリーをじっくり考え語り合うことが希薄になっている(短い話を長くする)③数字よりも筋(筋の良いストーリーを作り組織に浸透させて戦略の実行にかかわる人々を鼓舞する)④日本企業こそストーリー(ストーリーという一つ上のレベル二次元を挙げた差別化、ポジショニングよりも能力重視の戦略)⑤戦略つくりの面白さ(自分が面白いと思わなければ組織で実現できるわけではないし、顧客も喜ばない)という点からです。

そして、ストーリーという以上起承転結が必要で、優れた競争戦略の条件として、①起=コンセプト(本質的な顧客価値の定義=本当のところ何を売っているのか)②承=構成要素(競合他社との違い=戦略的ポジショニングSP,組織能力OC)③転=クリティカルコア(独自性と一貫性の源泉となる中核的な構成要素)④結=競争優位(利益創造の最終的な論理)さらに⑤ストーリーの評価基準として一貫性(構成要素をつなぐ因果論理)が必要とされています。

最後に、著者は一番大切なこととして、戦略ストーリーに「切実さ」がなければならないと言います。「切実さ」とは「自分以外の誰かのためになる」ということです。それは顧客視点の向こうにある社会や環境のためということでもあるのです。

本書は経営学の本としては、分かりやすく面白い本だと思います。経営学なんて机上の学問で実際の経営に役立たないと思われている経営者の方にも一読をお勧めできる書籍です。

楠木氏の本ですが、他に「戦略読書日記」(プレジデント社)、楠木氏監訳の「道端の経営学」(ヴィレッジブックス)もお勧めです。

f:id:business-doctor-28:20191214102518j:plain

 

  

     

男を磨いてる?メンズエステは新しい時代へ【Mens Luxia】  

ストレッチ×コンディショニングの新常識