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「ボーナスの差」が組織崩壊を招いた会社の末路

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おはようございます。

冬のボーナスが話題になる時期です。大手企業の冬のボーナス平均95万円、某M国会議員が公開した国会議員のボーナス323万円、欠席国会議員にも満額支給というニュースに腹を立てたり羨ましがったりした人も多いと思います。全企業の内99.7%を占め全労働者の約70%が働く中小企業にとっては夢のまた夢の話でしょう。

今日は、「『ボーナスの差』が組織崩壊を招いた会社の末路」というyahoo!ニュースの記事を取り上げます。

ここに書かれていたエピソード。

女性事務員のA子さん、社長室に入るなり「私の冬のボーナスがB子さんより低かったのはなぜでしょうか」これに社長は即答できず。これまで同期の二人に差を付けず同額支給していましたが今年は現場のリーダーの報告をもとに差をつけたということ。社長は「課長の評価をもとに差をつけた」と苦し紛れに責任を他に転嫁。「私はそんな評価結果を聞いていません」とA子さん。そこで、社長は「賞与支給基準」の設計に取り組み、その基準に従って夏のボーナスを支給します。社長はきちんとしたルールで支給していると満足。ところが多くの社員から不満が続出するのです。「評価の甘い課長の部署のボーナスは高い」「長く務めただけの人に評価されたくない」「自分の仕事を見てもいない人が賞与を決めている」などなど。結局、賞与に対する不満から優秀な営業マンが辞表を提出し辞めるという事態に発展したというのです。

こうした話はどこの中小企業でも起こりうることです。賞与の決定だけでなく人事考課について考えさせられる点があると思います。

人事考課についての留意点として挙げられるのが、次の5つです。

  1. 考課主体(評価者)が適正であること
  2. 被考課者・目的に応じた考課要素の合理的選定
  3. 考課の評定基準が客観的・明確であること
  4. 考課方法が客観的かつ比較可能であること
  5. 考課に当たり生じやすい心理的偏向をできるだけ是正すること

しかし、考課基準や考課方法を客観的にルール化しても、どうしてもそれを評価する考課者の主観を排除することは難しいのです。公平にしようとしても考課者が陥る心理的偏向としては、次のようなものがあります。

1 中央化傾向(優劣の差をつけがたく、中央に集中)、2 寛大化傾向(評価が甘くなり上位に集中)、3 ハロー効果(一部の印象が全体的印象を作り上げる)、4 論理的誤差(考課者が関連があると考えた評定要素に同一の評価を付ける)、5 近接誤差(配列順序が近い考課要素の評価が類似する)、6 恒常誤差(考課者の価値観から特定の項目を重視する)、7 時間誤差(同じ人が同じ人物を評価しても時間や順序により異なった評価になる)、8 対比誤差(考課者と被考課者の性格が対照的な場合、自分と比較して課題又は過少に評価する)、9 期末考課(考課期間が長いと期末の効果時期に近い頃の印象で判断する)

以上のような考課者が陥りやすい心理的偏向がありますが、これらをできる限り排除して客観的な評価を行わなければなりません。

まずは、客観的な考課基準と考課方法を策定し、そのうえで考課者の心理的偏向を排除するように努めましょう。