中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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五輪後の日本経済の行方

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 おはようございます。

今日取り上げるべきニュースが見当たりませんでした。そこで、2020年の日本、特に東京オリンピック後の日本について考えてみたいと思います。

2020年はどのような年になるのでしょうか?正月に「庚子」の年は変化の年・激動の年という話をしましたが、現実はどうでしょうか?「五輪特需」「五輪不況」という言葉があります。2020年はどうなるのでしょう。

そこで前回1964年の東京オリンピックを見てみます。1964年は戦後19年目で高度経済成長期にありました。その中で新幹線・首都高速・地下鉄などの道路整備等インフラ整備が行われ、家電製品、特にカラーテレビが普及します。まさに大量生産・大量消費の時代だったわけです。ところが、五輪閉会後は建設需要が後退し、金融引き締め政策が採られ、消費が激減し、不景気になってしまいます。

2020年はどうでしょう。年頭の経済三団体新年祝賀パーティー後の各社社長のコメントでは、景気は五輪前後とも変わらず上向き・好調であるとの意見が大半でした。この意見・コメントに首を傾げた中小企業経営者の方も多いと思います。年始なので希望的観測といったところで捉えておいていいでしょう。

2019年10月消費税増税が実施され、それに伴いポイント還元が開始されましたが、今年の6月で終了します。政府は、ポイント還元終了後、オリンピック後の景気落ち込みをにらんで、最大2万円までのキャッシュレス決済・入金に25%に当たる5000円分の「マイナポイント」を付与することにしています。しかし、マイナンバーカードの普及率は14%と低迷しており、今後も申請手続きの面倒臭さからそれほど増えるかどうかわかりません。

近年大都市で再開発・大型ビルの建設ラッシュが続いていますが、直接東京オリンピックが影響しているとは思えません。オリンピック特需というわけではなく、1964年のように五輪後に建設業界が落ち込むことはなくそれほど問題はないでしょう。

問題は個人消費の面だと思います。6月にポイント還元が終了しても、オリンピック閉会まではオリンピック気分に浮かれ消費が落ち込むとは思えませんが、オリンピック閉会後は消費が大幅に落ち込むのではないかと懸念しています。

2014年4月1日に5%から8%への消費税増税が行われた時を見てみましょう。その時は、増税直前の駆け込み需要があり、生活必需品が増税前に大量購入され、増税後に消費が大幅に落ち込むという事態になりました。小売店も必死になって客を取り戻そうと色々な対応・工夫を行います。しかし、一度、「生活にゆとりがなくなった」と感じた消費者は「さらに消費が落ち込む」「物価が上昇する」といった不安や懸念が広がり購買回数が減っていきます。こうした消費者の心理的な閉塞感がさらに消費の停滞を引き起こしていったのです。

こうした事態がオリンピック後に現れないという保証はありません。むしろオリンピックで高揚していただけにオリンピック後に現実に直面して受ける閉塞感は心理的に大きく感じられるのではないかと心配しています。

東京オリンピック後の日本経済について、堅調に好調を維持し推移するという経済評論家と景気が衰退して落ち込むという経済評論家が相半ばしていて、現実にどうなるかはわかりません。しかし、景気が衰退して落ち込む恐れもあるのだということも念頭に入れて予め対策を練っておくべきでしょう。