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休日の本棚 統計学を学ぶ

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おはようございます。

今日は統計学に関する本を取り上げます。統計学は、あみだくじやジャンブルの必勝法(?)からビジネスまで知的でエキサイティングで役に立つ学問です。統計学の基本を理解するだけで、マーケティング調査のデータ分析、金融商品のリスクとリターン、株や為替相場ボラティリティ金融商品の予想変動率)、選挙の出口調査目でわかると言います。統計学によって世界や社会の見方が変わるとすれば、学ばない手はないでしょう。

そこで、まず、西内啓著「統計学は最強の学問である」(ダイヤモンド社)を取り上げます。ビッグデータ時代において、情報を制する者が世界を制すると言えば、それは統計学を制する者が世界を制するということです。どのような分野においても、データを集めて分析することで最速で最善の答えを出すことができるので、統計学が最強の武器になるというのです。例えば、「第2章 サンプリングが情報コストを激減させる」では、「1%の精度に数千万円かけるべきか?」という問いに、統計学の立場から、「サンプルを1万増やしても標準偏差は0.1%しか変わらない、正しい判断に必要な最小十分なデータを扱えばいい」と言って、ビッグデータ狂騒曲に警鐘を促しています。また、「第3章 誤差と因果関係が統計学のキモである」では、世間にあふれる因果関係を考えない統計分析を批判し、十分なデータをもとに適切な比較を行う統計的因果推論の基礎さえ身につければ、経験や勘を超えてビジネスを飛躍させる裏技が簡単に見つかると言っています。そして、「60億円儲かる裏ワザ」として「DMを送られることで売上が伸びる顧客と伸びない顧客との差」「顧客の売上を伸ばすDMと伸ばさないDMの違い」とその判別ルールを明らかにすれば、DM数は変えなくても総売上を6%増加させ60億円儲かる裏ワザとなりうるといっています。「第4章 ランダム化という最強の武器」では、「『ミシンを2台買ったら1割引き』で売上は上がるのか?」というのが載っています。ミシンなんて一家に一台あれば十分のはず、なんて馬鹿な戦略だということになるはずです。しかし、その企業はこれによって売り上げを3倍にしたのです。顧客は2台のミシンを欲しがっていたわけではありません。ミシンを欲しがった顧客は、わざわざ友人や知人を誘って共同購入を呼び掛けたのです。統計的な裏付けがないのに間違いと決めつけるのは愚かだということです。この本には、こうした事例が随所に見られ読み物としても面白いです。そしてビジネスにもきっと役立つはずです。

次は、デイヴィッド・J・ハンド著「偶然の統計学」を取り上げます。この本のテーマは、ロトに何度も当たる、雷に何度も打たれるなど到底起こりそうにない出来事です。こうした到底起こりそうにもない出来事にも自然法則と同じく「ありえなさの原理」という偶然に関する法則があるというのです。「ありえなさの原理」は、不可避の法則(何かが必ず起こるということ)、超大数の法則(十分に大きな数の機会があればあるほど突飛な物事も起こってもおかしくない)、選択の法則(起こった後で選べば確率はいくらでも高くできる)、確率てこの法則(環境に生じたわずかな変化が途方もなく大きな影響を及ぼす、この変化が小さな確率値を一転させる)、近いは同じの法則(十分に似ている事象は同じとみなされる)の5つの法則からなっています。本書はこれについて実例を挙げて面白く説明してくれています。

もし、統計学について基本的なところから学びたいというなら、中学数学の基本レベルだけで十分なので、小島寛之著「完全独習 統計学入門」(ダイヤモンド社)がお勧めです。

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