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残業規制に対策を!

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おはようございます。

今日は、2020年4月から中小企業にも適用される「残業規制」を取り上げます。「働き方改革関連法」が2019年4月に施行され、それに伴い労働基準法が改正され残業時間の上限が設けられました。また、この上限の違反について厳しく取り締まり、違反した場合の罰則が設けられているのが今回の改正の特徴です。中小企業には1年の猶予期間が置かれており、今年の4月から適用されることになります。なお、中小企業の定義につきましては、2019年12月2日のプログ(「中小企業って何?」)を参照してください。

そこで、今日は、この残業規制のポイントと、残された数か月で中小企業がやっておくべきことについて書いていきます。

残業とは時間外労働のことで、法定労働時間、つまり1日8時間、1週40時間を超える労働時間のことです。これまでも時間外労働の上限規制はありましたが、36協定を締結すればある程度の残業が認められ、特別条項付き36協定を締結すれば1年のうち6か月に限り無制限の残業が認められました。今回は、特別条項付き36協定を締結しても残業時間に制限が設けられることになりました。

残業規制の主な内容は次の通りです。

  1. 残業のあるすべての事業所で36協定が必要
  2. 平時の残業規制は、1か月で45時間、1年で360時間
  3. 特別条項付き36協定を締結すれば、1年で合計6か月の間だけ、月の残業時間の上限を100時間まで伸ばせる(休日労働の時間も含める)。
  4. 特別条項付きの場合、1年720時間以内の残業が認められる。
  5. 特別条項があっても、残業時間には複数月平均80時間以内の制限が設けられる(休日労働の時間も含める)。
  6. 残業規制に違反した場合、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  7. 建設業、自動車運転業務、医師については、人手不足への配慮から適用除外
  8. 新技術や新製品・新サービスの研究開発業務に従事する従業員、高度プロフェッショナル制度が適用される高収入の従業員も適用除外

つぎに施行時までに中小企業が採るべき対策について書きます。

まず、重要なのは、現行法に基づき正しく36協定が締結できているかを確認することです。

次に、改正法の残業規制がクリアできているか、次の3点を確認することです。

  1. 年間残業時間が720時間以下になっているか
  2. 月の残業時間が45時間を超えている月が6回に収まっているか
  3. 忙しい月の残業時間が100時間以内に収まっているか、複数月平均が80時間以内に収まっているか

以上3点を確認してすべてクリアされていれば問題はありませんが、1つでもクリアできていなければ、残業時間を減らす対策を採る必要があります。

長時間労働を是正するためには、業務の効率化が不可欠です。従業員同士が協力しながら作業を分担し、遅れが見えるセクターに他のメンバーを応援で回すなど、臨機応変にお互い助け合いながら作業をするということが必要になります。また、マニュアルの作成、タスクの共有、教育体制の整備など、業務を仕組化することも重要です。仕事が終われば帰るという雰囲気をつくることが大切です(そのために上の者が率先して早く帰る)。最後に就業規則を見直し、それを徹底して周知させることです。それにより、従業員に時間厳守の意識を植え付け、だらだらと長時間会社に残るということがないようにしなければなりません。

一部例外を除いて、いかに人手不足で、業務に支障が生じても、従業員に上限を超えた残業をさせるわけにはいかないのです。もしそのようなことをすれば罰せられます。このことをしっかりと肝に銘じ、4月からの残業規制に向け対策を採ってください。