中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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くじ引き採用!?

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おはようございます。

今日はプレジデント・オンラインに「花王社長が人材開発部門に『くじ引き採用』を提案した理由」という記事が載っていましたので、そのユニークさに惹かれそれを取り上げることにしました。

花王と言えば、女性管理職比率29・4%、男性の育休取得率42%とまさに日本の働き方改革を身をもって実践している会社といえます。それは、花王が洗剤、化粧品、衛生用品などを製造販売している会社という点が女性が活躍できる会社となったといえる側面もないわけではありません。しかし、花王が積極的にダイバーシティ(多様性)に取り組んできたからだと思います。花王の澤田社長の言葉によれば、「性別や国籍の違いに留まらず、もっと一人ひとりの個性に立脚した多様性です。企業は人で成り立っているのですから、人という資産を最大化し、最大活用を考えることが最も重要です。そして個々の力の最大化は、人材育成につきます。人材育成においては、人間には無限の可能性があり、人を育てるのではなく育つのだという信念のもとに取り組んでいます」というのです。これまでの日本企業では日本人だけ、男性だけで、多様な個性を生かすということができていなかったという点は否めません。そこに外国人なり、女性を混ぜることによって化学反応を引き起こすのです。「混ぜるな!危険」という言葉もありますが、混ぜなければ化学反応は起こりません。化学反応が起これば、日本人だけ、男性だけで出来上がっていたルールが変わり、新しいルールは日本人にも、男性にも使い勝手の良いルールとなる可能性があります。女性が活躍する会社では、育休や時短ということに抵抗がなくなります。しかし、そのためには女性を特別扱いするのではなく、全体の働き方を見直し会社全体、男性の働き方をも変える必要があるのです。花王の男性育児休暇取得率は42%と他の企業に比べれば高めですが、平均取得日数は6.5日と短期取得がほとんどだそうです。管理する側から「いつ何日休暇を取りなさい」というのではなく、自主的に育児休暇がとれる体制を確立する必要があるでしょう。

現在、育休取得自体義務化されていません。条件を満たした男性職員(1年以上雇用され、1年以内に雇用が終了しない労働者)が申し出た場合には会社は拒否できません。拒否すれば罰則規定があります。しかし、実際には、男性が育休を取得できるような職場環境ではなく、昇進や給与にも影響し、積極的に育休を取得するのは困難です。国も育休取得の義務化を進めていますが、企業も積極的に就業規則を改定し、育休取得者が不利益を被らないような職場環境を作るように取り組むべきでしょう。

澤田社長は、昨年人材開発部門を担当し、「くじ引き採用」という案を提案したというのです。企業が人材を採用する際には何段階にもわたり面接を繰り返します。最低限のボーダーさえ超えていれば誰を採用してもよいのではないか、極端な話、くじ引きで決めてもよいのではないかというのです。確かに、学校の成績や数回の短時間の面接だけその人物の持っている能力や性格、適性を判断することは困難です。それでは本当に優秀な人材を採用できているかわかりませんし、採用時にトップの成績だった者が数十年後もトップにいて社長に就任するわけではありません。人は自ら歩む環境によって育てられ育つのです。採用後どのように教育して育てていくかが重要なのです。その意味では、ある程度のレベルに達していれば、誰でもよいというのは一理あるように思えます。応募者にくじを引かせるなら「くじ引き採用」の方が公平かもしれません(笑)。この段階で必要なのは素直さだと思います。素直に人の話を聞いてそれを受け入れていくというのが第一歩です。これに対しては、必要なのは素直さではなく批判的な目で物事を見ることだという意見もあるかと思います。しかし、素直であるということは、色々な情報やアドバイスをすんなりと受け入れそれをフィードバックすることで視野や考え方を拡げることができます。採用された段階では何もわかっていません。無垢な心であらゆるものを吸収することで血となり肉となるのです。吸収したうえでそれを咀嚼しそれがある程度蓄積された段階で何が良くて何が良くないかを判断できるようになるのです。だから、まずは何事にも興味を持って素直に吸収することから始めるべきです。また、素直であれば多くの人が集まり良好な人間関係を築くことができます。

企業においても、素直な人が成長し伸びるように思います。ある程度のレベルに達していて素直な人であれば「くじ引き採用」しても良いのではないでしょうか?そうすれば採用にかかる時間と労力を削減できるのではないでしょうか? 花王では、この「くじ引き採用」は人事部門から「しばらく考えさせてくれ」と直ちに採用には至りませんでしたが、なかなか良い案だと思います。採用してみても良いように思います。いかがでしょうか。