中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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「人望のないゴーン」から経営者の資質を考える。

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おはようございます。

今日は、新聞休刊日なので、東洋経済オンラインニュースの「『人望のないゴーン』逮捕が招いた意外な副作用」を取り上げます。ゴーン事件後、「ゴーンの経営は良くなかった」「従業員や下請けを切っただけ」などとゴーンの経営手腕を否定するような発言が出ていますが、経営危機に陥り倒産寸前だった日産を立ち直らせたのは紛れもなくゴーンです。その業績までも全否定するのはいかがかと思いますが・・・日産関係者からゴーンを擁護する意見や発言がないことも事実です。こうしたことを踏まえて、この記事は、「人望がなくても、卓越した経営手腕や強大な権限があればいいのか?」つまり、「経営者に人望は必要ないのか?」ということを問題としています。

パナソニック創業者で経営の神様松下幸之助氏、石川島播磨重工業東芝の社長、経団連会長を務めた土光敏夫、最近では京セラ創業者の稲森和夫のように、私利私欲を捨て社員・顧客・社会に貢献するために経営に打ち込む経営者に部下などは人望を感じ、打算なく、心から付き従います。このように、日本では昔から人の上に立つ経営者に人望を期待します。しかし、現実には、ゴーンや海外の経営者を見ると、必ずしもそうではありません。とくにアメリカでは、企業としては地球環境問題や消費者保護を問題としますが、経営者個人の人間性や人望・人徳を問題とはしません。

それでは、今後経営者に人望はいらないのでしょうか。最近では、ウェットな人間関係を嫌う若者層が増え、人望を重視しなくなっている可能性があると言います。さらに外国出身の経営者が増えると人望はさらに重視されなくなるとも言っています。

この記事では、最後に、ゴーン事件が次のような問いを投げかけているとして終わっています。この問いに対する答えはありません。当然のことながら、この問いに対する答えは経営者や企業が自ら考えていかなければならないことだと思います。

  • 経営者に人望は必要なのか?なぜ必要・不要と言えるのか?
  • 従業員は人望のない経営者とどう付き合うべきなのか?
  • 経営者は人望を重視しない従業員をどう導いていくべきなのか?

日本型経営の特徴として、1つは、現場からの問題提起や解決方法の模索が行われ「ボトム・アップ経営」と呼ばるものがあります。これは最終的な決定はトップが行うが、下位層の提案を受け入れる「承認」という形で行われるのです。また、もう1つは「集団主義・家族主義経営」と呼ばれるもので、「会社は従業員のもの」と言った価値観や「和を重んじる」といった理念があり、全従業員の力を結集して成果を出そうとしているところに特徴があります。こうした経営において、人望のある経営者とその経営者に全幅の信頼を置き付き従う従業員という構図が当てはまります。日本においては全企業のうち約95%が中小企業です。中小企業の場合、ほとんどが企業=経営者です。経営者個人の人間性や人望を問題としなければ企業の社会的責任を果たせません。日本においては、経営者に人望は必要だと思います。経営者に人望のない企業はいずれ衰退していきます。人望のある経営者自身が積極的に社会貢献に取り組めば最初は抵抗していた従業員もついてきます。経営者自身が人間性を磨き、社会貢献、社会的責任を果たすよう率先して取り組んでいきましょう。