中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 感染列島

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宇治 平等院鳳凰堂

おはようございます。

かつて2009年に「感染列島」という映画がありました。この作品は小学館eコミックで柿崎正澄氏によって漫画化され、小学館から涌井学氏によって小説化されました。

日本において新型ウイルスが蔓延した場合にどのような事態になるかを描いたSFサスペンスです。ネタバレ覚悟であらすじを書きます。

ある日救急救命士の松岡(妻夫木聡)の元にインフルエンザと思われる患者が運ばれてきます。松岡は薬を渡して帰宅させますが、翌日も同じ患者が運ばれてきます。しかも昨日と症状が異なり、あらゆる処置も効果なく、患者は口や鼻から血を流して死亡します。同時に搬送された患者の妻真鍋だけは助かります。これは新型インフルエンザではないかと疑われますが、感染は猛スピードで広まります。新型インフルエンザの感染拡大を防止すべくWHOから小林(檀れい)が派遣されます。小林は松岡の元恋人です。小林は「この感染症が国内に広まれば3か月以内に交通網・都市機能が麻痺し6か月後には感染者が数千万人になる」と予測し医療チームは懸命に対処しますが、感染を食い止めることはできません。ついに医療スタッフにまで広がりますが、潜伏期間がないことと発症から死までの期間が短いことから、松岡と小林はこれは「新型インフルエンザ」ではなく謎の感染症ではないかとの仮説を立て「パンデミック」と名付けます。感染者数は拡大し全国で数千万人にも及び死者数も増えていきます。松岡はウィルスの正体を突き止めるべくウィルス研究者の鈴木に検体を渡し、鳥インフルエンザの権威仁志と共にウイルス発症の地を探します。第一感染者の真鍋の父は海外で活躍する医師で現在失踪中、帰国時に体調が悪かったことが分かります。松岡と仁志は真鍋が赴任していた地を訪れると同じような症状の患者がいて発症地が判明し、さらに感染源が同地の洞窟内のコウモリであることを突き止めます。鈴木も病原体の解明に成功し、ワクチンの作成に取り掛かりますが、ワクチン完成までに半年が必要、それまで生き延びられるかがカギとなります。小林は松岡に血清を輸血する方法を教えて旅立ちます。しかし、小林も感染します。また、養鶏場の娘夏緒が感染し、松岡は第一感染者から採取した血清を小林に教えてもらったとおりに注射し、夏緒は奇跡的に回復します。血清が効果をもたらしたことを確証した松岡は血清を持って小林のもとを訪ねますが、小林はすでに命を落としていました。半年経過してようやくワクチンが完成し、パンデミックは沈静化に向かいます。

まるで、今回の新型コロナウイルスを予想・予言していたような内容ですが、エボラウイルスが流行していた時期の作品です。この作品はネットでも話題となっていますが、この作品で描かれている政府機関の様子が抽象的でリアル感・危機感に欠けるという点でまさに今回の新型コロナウイルスで後手後手に回っている政府の対応に酷似しているからです。また、この作品の中で市民が食品を買い漁るシーンがありますが、今回のマスク不足・トイレットペーパー買い漁りを彷彿させます。

さて、この作品で感染源はコウモリとされています。新型コロナウィルスの感染源も武漢市の市場(武漢華南海鮮卸売市場)で売られていたコウモリ、ネズミ、アライグマ(食用にするようです)などの野生動物だと中国政府は発表しています。しかし、中国の大学教授が武漢市内のウイルス研究所からウイルスが流出した可能性を指摘するレポートをネット上に発表しました。中国政府は即座のそれを削除し、この大学教授は現在行方不明ということです。ここでも中国の隠ぺい体質があらわになっていますが、新型コロナウイルスの原因が何なのか明らかになる日は来るのでしょうか?

こうした中国政府の情報開示に対する不信感から、ネットで新型コロナウイルス生物兵器ではないかとの陰謀説が拡散しています。中国の生物兵器という説だけでなく米国の生物兵器だという説もあるようです。こうした生物兵器陰謀論は科学的根拠がないと多くの専門家から指摘されていますが、政治家やメディアがこの生物兵器陰謀論を面白おかしく取り上げるので拡散がとまりません。

ただ、生物兵器である新型コロナウイルスを意図的にばらまいたという説は論外ですが、生物兵器新型コロナウイルスが何らかの理由で流出した可能性は否定できないように思います。武漢市には国立ウイルス研究所・武漢生物安全実験室がありウイルスの研究が行われていることが知られています。2012年のSARSの感染源については北京にある国立ウイルス研究所であったことがWHO(世界保健機構)によって明らかにされています。今回の新型コロナウイルスもSARSの時と同じように中国の国立ウイルス研究所が発生源ではないとは言い切れないように思います。WHOによる調査と中国政府の情報公開がなされ真相が明らかになることを期待します。

テレビで「感染列島」が放送されないでしょうかねえ。政治家や厚労省の官僚にこそ見てもらいたいものです。