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休日の本棚 病気をしない暮らし

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大阪場所はどうなる?

おはようございます。

世界保健機構(WHO)は、世界全体での新型コロナウィルスのリスク評価についてこれまでの「高い」から「非常に高い」に引き上げました。そして、中国以外で感染者が出ている国について、①各国で最高レベルの緊急対応策の即時発動②不定型肺炎の症状を示すすべての患者に対する検査③複数セクターにまたがる感染拡大防止策の策定などを提言しました。日本政府の対応の遅さと同様WHOの危機意識の低さが世界的な拡大を招いたと言っても過言ではないでしょう。

さて、今日は仲野徹先生の「病気をしない暮らし」(晶文社)を取り上げます。仲野先生の本は、以前「怖いもの知らずの病理学講義」と「エピジェネティクス」をとりあげましたが、今回の本もおっちゃんおばちゃん向けに「読んで笑って医者いらず!」と大阪弁を交えて面白く書かれています。といっても内容は高度です。病気ってなに?から始まり、生きるということ、ダイエット法、遺伝の話、癌にならない暮らし、風邪をひかない暮らしなど、病気にならない極意が満載です。今日は、新型コロナウィルスとの関連で、第6章「病原体との闘い」の中の「生物と無生物の間ウィルスの話」を説明します。この本は2018年末に出版されていて、当然のことながら新型コロナウィルスの話はありません 以前も書きましたがウィルスが生物かどうかということは意見が分かれています。生物には自己増殖・代謝・外界との境界(細胞膜)の三拍子そろっていないとダメという人はウィルスは生物ではないとしています。仲野先生は「まあ、どっちでもええっちゅうたらええこと」と言われています。

抗ウィルス薬の歴史は大よそ50年と短くたかだか40年前に効果のある抗ウィルス薬が使われ始め、猛烈な勢いで進歩しました。しかし、抗ウィルス薬は細菌や真菌に対する抗菌剤(抗生物質)と違います。抗菌剤は、広い範囲、すなわちに多種類の細菌や真菌にも効果を発揮します。しかし、抗ウィルス薬は特異性が非常に高く、ヘルペスウィルスならヘルペスウィルスだけ、インフルエンザウィルスならインフルエンザウィルスだけと、ある薬は特定のウィルスにしか効果がないのです。ここに新型コロナウィルスの対処法が見つからない理由の一つがあります。新型コロナウィルスに効く治療薬の開発が進められていますが時間がかかります。新型コロナウィルスに効果が期待できそうな薬として、エボラ出血熱に使われた抗ウィルス剤「レムデシビル」があり、抗エイズウィルス(HIV)薬とインフルエンザ治療薬「タミフル」の併用で有望な結果が出たという報告もあります。臨床応用が可能な抗エイズ薬を見つけたのはアメリカで研究されていた日本人の満屋裕明先生だそうです。その抗エイズ薬AZT(アジドチミジン)はHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の増殖を抑制しエイズの発症を防ぐのです。またインフルエンザウィルスも細胞内で増えて細胞の外へ放出され、次の細胞へと感染していくのですが、細胞の外に飛び出すときにノイラミニダーゼという酵素が必要で、タミフルはこの酵素に働きます。タミフルが作用するとインフルエンザウィルスは細胞内に閉じ込められた状態になり、宿主の細胞が死んでしまうとウィルスの増殖も止まり感染が抑えられるという仕組みだそうです。新型コロナウィルスにエボラ出血熱の抗ウィルス剤やHIV薬とタミフルの併用が効果があるのは、これらの薬剤が新型コロナウィルスの増殖を抑え細胞内に閉じ込めて他の細胞への感染拡大を一定程度阻害するからでしょう。新型コロナウィルスに直接効果を発揮する薬剤の開発が待たれるところです。

仲野先生は「人類は、色々な病原体との軍拡競争を繰り広げてきたわけですが、この100年ほどは、衛生状態の向上や、医学の進歩による数多くの薬剤の開発で、人類が優位に立っているかのように見えます。しかし、進化というのは恐ろしいものです。軍拡競争を行っているのは人間の側だけではなくて、病原性微生物の側も同じです。ですから、薬剤耐性菌がどんどん増え、再び、結核などの細菌感染が人類の脅威になる日がくるのではないかと考える人もいます。未来の予測は難しいのですが、現在のことだけでなく、近未来のことも見据えて考えて薬剤を使わないとだめなことだけは間違いありません」とされています。これからも薬剤耐性菌や進化した新型のウィルスが出現し人類との軍拡競争を繰り広げることになるでしょう。果たして勝つのは人類か、それとも病原性微生物の側か予断の許さないように思います。

次は風邪についてです。風邪とは「身体を寒気にさらしたり濡れたままに放置したりした時に起こる呼吸器系の炎症疾患の総称。アデノウィルス・コロナウィルス・ライノウィルスなどが鼻腔・咽頭喉頭などに感染することによる」(広辞苑)です。インフルエンザを引き起こすのはインフルエンザウィルスですが、風邪ウィルスという一つのウィルスがあるのではなく200種類以上のウィルスが風邪を引き起こすと考えられています。統計的には、歳を取るほど風邪に罹りにくくなるようですが、それは長い年月色んなウィルスの風邪に罹り免疫ができるからです。

本書には、風邪をひかない極意が書かれています。

南極では風邪をひかないそうです。寒くても風邪のウィルスにさらされることがないので風邪をひかないということです。そこから風邪をひかない極意がでてくるのですが、ウィルスにさらされなければよいということです。ウィルスの侵入部位は上気道、つまり口や喉ですから、そこへウィルスがやってくるのを阻止すればいいのです。それは飛沫と接触でむしろメインは接触です。飛沫もあり得ますが、よほどの濃厚接触の場合だけなのでマスクはそれほど役に立たないようです。問題は接触なので重要なのは手洗いということです。外から帰ったら、あるいは屋内でも風邪の人が触ったような場所を触れたのちにしっかり手洗いしないといけません。普通の石鹸でも十分ですが、指や手のひらといった部位をそれぞれ15~20秒は洗わないとウィルスは落ちないようです。これは厄介です。また、手で顔を触らないように注意することも大切ということです。人は無意識のうちに顔を触っているのでこれも厄介です。家族に風邪ひきが出た時には家の中で手を触れがちなところを清潔にするだけでリスクを下げることができます。

また、うがいをするのも有効です。口や喉に入ったウィルスを肺に入れないことです。

これら風邪をひかない極意はそのまま、新型コロナウィルスに罹らない極意となりそうです。

しかし、マスクだけでなくアルコール消毒液も売り切れでありません。また、トイレットペーパーやティッシュも昨日のデマで、今日は売り切れていたり、高値で売られていました。困ったものです。

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