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コロナ危機が中小企業にとって致命的な理由

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おはようございます。

新型コロナウイルス感染者が昨日1日で200人を超え、東京78人、大阪28人と過去最高となっています。都市封鎖が次第に現実味を帯びてきているように思います。東京都の小池知事も大阪の吉村知事も夜の店の利用自粛を呼びかけましたが、店やそこでは働く従業員の収入減について何の手当もなく無責任と言わざるを得ません。名指しされた業種の補償を考えたうえで発言すべきでしょう。政府も自粛を強いる国民に対し、早急に一律に現金支給すべきです。緊急事態宣言を発令し自粛要請する前に現金支給です。自粛を強いられるのは所得の多寡にかかわらないので一律に行うべきです。

さて、今日はエイプリルフールですが、新型コロナウイルス関連のウソ・デマはやめてほしいものです。

今日は、Newsweekの「コロナ危機が中小企業にとってはるかに致命的な4つの理由」を取り上げます。この記事は、2020年4月7日号「コロナ危機後の世界経済」特集のリーバイ・キング氏(フィンテック企業NAV共同創始者・会長)の執筆によるものからの抜粋です。アメリカ国内の状況から「イベント中止、店舗は閉鎖、リーマンショックとは桁が違う」と言っています。日本では、現段階ではそこまでいっていませんがロックダウンされると状況は一変しアメリカ同様の状況になるように思います。

この記事では、「今回の新型コロナウイルスリーマンショックと比較されがちだが、今回の方が小規模経営者にとって致命的」だと言っています。「新型コロナショックは桁違い」その理由として4つあると言います。

  1. 奮起と創意工夫のチャンスがない。リーマンショック時は消費が減少しても店はまだ営業していたので、奮起して創意工夫で消費を呼び込む余地があった。今回は、店は閉めても経費はかかり現金は減り底をつく。先ほどの名指しされた業種(夜の店)では店を閉めねばならず、アメリカの状況に近づいています。
  2. 規模を縮小したら経営が成り立たないところが多い。イベント中止で儲けはゼロになる。リーマンショック時も打撃を受けたが今回ほど壊滅的ではなかった。
  3. 全ての顧客が影響を受けている。リーマンショック時は誰もが影響を受けたわけではないが、今回は全世界のすべての人が影響を受けている。
  4. 仕事に行くことが健康リスクになる。リーマンショック時も小規模事業の経営者は生活が懸かっていたが、命がけではなかった。しかし、今回は感染すれば死亡するかもしれず愛する人や従業員の健康に配慮しなければならず命がけである。経営者には在宅勤務でいいと言ってくれる上司がいなけれな、傷病手当も有給休暇もない。

終わりが見えないところはリーマンショック時と同じです。リーマンショック時は危機がどの程度長引くのか、経済低迷がいつまで続くのかが問題となりましたが、今回もいつ終息するのか、人命や経済への影響はどこまで深刻化するかは誰にもわかりません。

この記事は、今回の危機を乗り切るために、経営者はどんなに大変でも状況に適応する努力をし、ためらわずの顧客に支援を求めるべきだとしています。消費を呼び込む以外に新型コロナショックを乗り切るカギはないとしてテイクアウトの注文やギフト券の購入による支援を呼びかけています。

先日、ニュースでごちそうさまの先払い「さきめし」という取り組みが紹介されていました。新型コロナショックで苦しむ飲食店を「ごちそうさまの先払い」で応援しようとする取り組みです。新型コロナウイルスで影響を受けている飲食店へ食事代を先払いして新型コロナウイルス終息後に来店して食事の提供を受けるというものです。これも顧客が店を応援支援するという取り組みになります。

しかし、消費を拡大しお金を回していくためには現金が必要になります。今は経済が停滞しお金の流れが滞っています。経済が回りこうした支援の取り組みにまでお金が回るためにはどうしても現金支給のところに話が行きつくのですが、どうでしょうか。

そこで、ダイヤモンドオンライン「コロナ経済対策が『ベーシックインカム的』であるべき理由」を取り上げます。「英国のジョンソン首相が新型コロナウイルス対策としてベーシックインカムを検討」というニュースが流れました。今回のコロナウイルスによる感染症は、観光業やサービス業、小売業、飲食業など「日銭」で回っている業種に大きな打撃を与え、需要が低迷すると真っ先に失業する非正規労働者フリーランスに影響を及ぼしています。本記事は、景気への対策以前以前にこうした「急に弱者になった人」へ「一時的生活保護」的なサポートが必要だとし、一時的生活保護の役割を果たし同時に景気の下支えにもなる対策として『ベーシックインカム』ないし『ベーシックインカム的』な政策が望ましいとしています。望ましい対策の条件として①迅速であること②公平であること③十分であることの3点が挙げられます。

ベーシックインカムとは、最低生活補償の一種で、政府がすべての国民に対し最低限の生活を送るに必要な額を定期的に現金支給するという政策です。

この長所は次の通りです。

  • 予め予想できる収入なので生活設計がしやすい
  • 使い道が自由である
  • 公平に支給される
  • 支給対象者を確認する手続きがいらない
  • 受給者が恥をかかなくて済む
  • 定額なので額が大きすぎなければ労働意欲をそぐことがない
  • 他の社会保障制度よりも事務が簡素で低コストである

高所得者への支給について批判もあり得ますが、上乗せ部分の収入に加算して所得税・住民税で調整すれば問題はありません。

新型コロナウイルスでの経済対策で検討されている現金給付は定期的に支給されるべーシックインカムではありませんが、①迅速に行えること ②使途が自由であること ③事務が簡素であることなどを考えれば、ベーシックインカム的である方が望ましいと言えます。この記事でも書かれているように、本人と扶養家族が受け取った給付は、所得に組み入れて後に所得税や住民税の対象にすれば公平になります。サラリーマンは年末調整で調整すればいいですし、フリーランスなど確定申告している人も確定申告に反映されます。一律支給なので金額も確定しておりごまかしもききません。

所得で対象者を限定した場合、例えば年収400万円未満の世帯を対象とした場合、年収400万円の世帯と399万円の世帯で所得の逆転が生じますし、子供らが「お前の家は現金支給の対象なのか?」などと話し合うような政策が良いとも思えません。飲食店が困っているのは事実ですが、飲食店に納入している業者も影響を受けています。業種で対象者を絞るのもよろしくありません。商品券という案もありますが(私も以前利用期限を設けた商品券が良いと書いたことがありましたが撤回します)、①無用に使途を制限する非効率性 ②手続きにかかるコストが非効率的 ③時間がかかる ④対象商品の選定にかかる不公平性などから、現金給付が良いでしょう。対策の迅速な決定と実行から、所得制限を設けず(生活困窮者には別途対策を)特定業界への復興策を持ち込まない(これも別途手当てすべきですが)現金給付を迅速に行うことが肝要です。