中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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経済的死者を増やすな!

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おはようございます。

東京オリンピックが1年程度延期となりました。中止とならず良かった半面、1年間の延期がもたらす経済的損失は約6408億円との試算が出ています。問題は本当に1年後に新型コロナウイルスが終息しているかです。こればかりは現時点で何とも言えませんが、万が一、1年後に終息していなければ再度の延期ということは考えられず中止となる公算が高いように思います。是が非でもここ数か月以内に終息するように世界各国が手を携えて最大の対策をとるように努力し1年後の東京オリンピックがつつがなく行われるようにしなければなりません。

また、これまで話題にしてきた現金給付についてですが、政府が一律支給を見送る方針で調整に入ったというニュースが流れてきました。富裕層には支給しないということのようです。これには賛同する人もいるかと思いますが、現金支給は経済的弱者を救済するためのものではありません。今回の新型コロナにより生活が困窮した人に対しては第1弾・第2弾で、内容的には会社従業員とフリーランスを差別し金額的にも十分とは思えませんが、一応の対策は示されています。これをさらに充実させないといけないことに異論はありません。しかし、現金給付は、景気刺激策として行おうとするもので社会保障的な意味合いがある弱者救済措置とは異なります。目的が違うのです。重要なのは迅速に行い景気を刺激するタイミングです。そのためには一気呵成に行わなければありません。富裕層には支給しないなどと言っていたのではどこで所得制限を設けるのか、富裕層の家族に支給するのかなど検討しなければならない事項が増え、支給が大幅に遅れます。今でさえ5月末と言われており、アメリカのトランプ大統領が2週間以内で支給すると言っているのと大違いです。この現金支給は、所得制限を設けず全員に早期に一律に行ってこそ意味があると思います。

今日は、東洋経済オンラインの「『経済的死者』の急増を阻止する対策が必要だ」を取り上げます。

新型コロナウイルスによる死者は3月24日現在世界で約1万7000人になっており、イタリアをはじめ欧州で今後ますます増加するように思われます。

この記事は、「新型コロナウイルス感染症に対する経済対策は、経済活動の収縮による損失を可能な限り小さくすることに重点を置くべきだ。新型コロナウイルスの感染拡大による死者を減らすことができたとしても、経済的な死者をそれ以上に増やしてしまえば、新型コロナウイルスとの闘いに負けたことになる」と言っています。ここに言う「経済的死者」とは、失業などの経済問題を理由とした自殺者のことです。リーマンショックの時にも自殺者は増加しました。今回の新型コロナウイルスによって景気低迷が続けば倒産⇒失業⇒自殺と言った悪循環に陥ります。こうした悪循環を断ち切らなければなりません。

経済的自殺者を減らすためには失業者を減らさなければならず、失業者を減らすためには企業の倒産を防ぐことが必要です。通常の経済対策では、景気悪化によって落ち込んだ需要(消費)を喚起することに重点が置かれます。しかし、現在感染拡大を防止するために自粛を要請し人為的に需要を抑えているという特殊な状況にあります。

この記事は「通常の景気後退期には、所得税・消費税の減税、給付金の支給の消費押し上げ効果が期待できるが、今回の消費が失われたままでは生活必需品に対する支出はある程度増えるものの、現在需要が低減している外食、旅行、娯楽などの需要増加に役立たない」「現状は感染拡大を防ぐために自粛要請を続けているのだから、その間は需要の拡大をあきらめるしかない」と言っています。しかし、このような悠長なことを言っていれば昨日書いたように倒産件数はどんどん増加します。まずは、これまでも書いているように、一斉自粛と言うのではなく自粛するケースと自粛を解除しても良いケースを明確にして自粛解除してもよい場面で需要(消費)を増やすような対策をとるのです。「需要の拡大をあきらめる」なんて飛んでもありません。できるところから需要を拡大していかなければ日本経済は大変なことになります。

また、この記事は「政府が打ち出している中小企業の資金繰り支援、休業補償、雇用調整助成金の拡充などは一定の効果があるが、現在直面している事態への対応としては十分とは言えない」としていますが、この点に関してはその通りです。更なる中小企業対策として、第3弾、第4弾の経済対策が望まれるところです。

さらにこの記事は、「業種を限定したうえで、売上高が一定以上減少している企業や個人事業主に対し、雇用の維持を条件として、失われた売上高の相当分に対して返済不要の資金提供を行えば、倒産や失業の急増に歯止めをかけることができる」とします。極めて大胆な提言で、実現すれば倒産件数を減らすことができそうですが、実現困難な意見と言わざるを得ません。しかし、中小企業に対する助成金の拡大、無利子・無担保での長期間返済猶予の貸付などは可能性があるように思います。どうしても政府の目は大企業に行っていますが、今こそ99.7%を占める中小企業の救済に乗り出さなければ日本経済は沈没します。政府には、日本経済を支えているのは中小企業だという認識を持ってもらいたいものです。消費が増えれば経済は回り中小企業も潤うので倒産件数を減らすことができます。消費を増やすためにも早急な現金給付が必要だと思います。それによって経済的死者を減らせるようにも思います。