コロナショックがリーマンショックより深刻な4つの理由
おはようございます。
昨日の新規感染者は東京67人、全国で127人でした。東京では夜の街関連で池袋が新宿を上回りました。一昨日、埼玉県の大野知事が東京での会食や夜の街への外出の自粛を呼びかけましたが、これに対し朝のワイドショーでカズレーザーが「人の移動を制限することはあり得ないことだと思いますし、知事ともあろう人が県境を壁かなんかと勘違いしてる」と批判めいた発言をしていました。埼玉での感染者数の増加はキャバクラでのクラスターですが、そのもとは東京由来ということです。池袋での感染増からすれば、池袋と接する埼玉県知事が東京の夜の街での外出自粛を呼びかけるのは当然のことと思います。大野知事は別段東京へのすべての移動の自粛を呼び掛けているのではなく、東京の夜の街での飲食や遊びを自粛するように呼び掛けているだけです。また、大阪も10人と1月半ぶりに2ケタとなりましたが、全員「夜の街関連」ではなく感染経路不明者が半数を占めていて今後の感染者数の動向が心配です。
さて、新型コロナ関連の破綻(負債1000万円以上)が7月1日までに全国で304件に達しました。コロナ破綻は2月25日に第1号(北海道三富屋)が発生して以降、4月27日に100件目、6月3日に200件目、6月はこれまでを上回るペースで103件発生し、7月1日に新たに10件の経営破綻があって300件を超えました。これ以外にも負債額1000万円未満での小規模・零細・商店の経営破綻も存在します。また、破綻に至らなくても休業した事業者も多数存在します。
都道府県別では東京が73件、大阪が27件、北海道20件、静岡県15件、兵庫県14件、愛知県13件と10件以上の発生は6都道府県です。
業種別では、飲食業が最多で49件、次いでインバウンド需要の消失、旅行自粛が影響した宿泊業が39件、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造・販売)が36件と迫り、個人消費関連が目立ちます。
緊急事態宣言が解除され経済活動が再開されましたが、新たな生活様式の影響もあり従前のような状況は戻っていないのが現状です。また経済優先では第2波が心配です。経済と新型コロナ感染防止対策のバランスが重要です。そのためにもしっかりとした経済的な支援が必要です。ところが政府の中小企業支援は極めて不十分かつスピード感が欠如し遅いです。いまだに持続化給付金を申請しても給付されていない事業者は多数存在しますし、新型コロナ感染症特別融資を受けられていない事業者も多く存在します。このような状況でやむなく倒産した事業者もいます。それでは天災ではなく政府による人災です。経済を回すだけでは救済できない中小・零細企業に対する更なる支援が必要です。
今日はプレジデントオンラインの「コロナショックがリーマンショックより深刻な4つの理由」を取り上げます。
新型コロナウイルス感染症の拡大は日本経済にリーマンショック以上の打撃を与えるとみられています。新型コロナショックはリーマンショックよりも質的に悪性の不況だと捉えられています。リーマンショックの場合は世界中の金融機関が打撃を受け、海外の景気が悪化し、その影響が遅れて日本に来たため、中小企業や国民の所得に悪影響が及ぶまで時間がかかりました。一方シン柄コロナショックは非常にスピードが速く、特に観光、運輸、外食、イベント、レジャーなど特定の業種が壊滅的な打撃ウを受けています。リーマンショックの場合には企業部門の輸出や設備投資などが悪化したものの、個人消費はそれほど悪くならなかったのです。しかし、今回は経済活動の自粛で家計部門が甚大な打撃を受けるとともに企業部門も苦境に立ち、家計部門も企業部門も総崩れの状態になっています。通常の不況であれば、景気回復期に不況時の減少分を取り戻すことが出来ますが、今回の場合、失われた消費は元に戻ってこないと考えられます。つまり、今苦境に陥っている観光、運輸、外食、イベント、レジャーなどは感染症が収束して景気が良くなったからといって、一人の人間が2倍、3倍消費できる性質のものではないのです。
この記事では、リーマンショックより深刻な理由として次の4つが挙げられています。
- 今回は、利下げを行っても感染症は減らないし、サプライチェーンの修復はできず、財政・金融政策というマクロ経済政策が非常に効きにくいタイプの不況である。
- 今回は単なる需要ショックではなく、需要と供給量再度の複合ショックである。サプライチェーンの打撃からスタグフレーション(不況時の物価高)のリスクが高まり、より一層政策手段が縛られてしまう。
- グローバルな企業の過剰債務問題が深刻で、企業が借金漬けの様相を呈している。大手企業の信用不安に飛び火し、金融システム不安が再燃する懸念がある。
- 新型コロナウイルスの拡大は、いつ歯止めがかかるか分からない。
この記事では、「感染症の拡大とグローバリゼーションの進行はいわばセットであり、我々は最終的な目標として、感染症に対するレジリエンスがある(耐性の高い)社会を構築しなければならない」と言っています。そして、基本的な考え方として「感染症の拡大抑制と、社会活動・経済活動の持続可能性(サスティナビリティ)のバランスの回復を目指す必要がある」としています。
ただ、その中で、「失業率1%増で自殺者1800人増」というデータから、「感染症の拡大から国民の生命を守ることは重要だが、感染症の拡大防止を目的とした休業要請などを背景に経済の急激な縮小が続くと、自殺者の増加によって、また違う角度から国民の尊い生命が奪われることもありうる」とし「新型コロナウイルスで亡くなられる方と経済苦で自殺される方をトータルで見たときに最小化するという視点が重要」と言っています。なかなか難しい判断ではありますが、政府が行うことは新型コロナ感染防止対策と、自殺者を最小限に食い止めることです。
以前から書いていますように、倒産→失業→自殺という悪循環を断ち切ることです。まずは倒産防止のための支援策を徹底的にスピード感をもって行うこと、つぎに失業者・低所得者に対する支援策です。
企業も自社が倒産すれば失業者を生み出し、ひいては自殺者を生むことになるということを頭において、この未曽有の危機を乗り切るためにあらゆる手段を講じて倒産回避に向け努力してもらいたいものです。万が一、倒産と言う道を歩まなければならなくなった場合には、残された従業員の生活が成り立つように最善の方法をとってもらいたいものです。夜逃げなどもってのほかです。