中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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コロナ禍の格差と分断

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で835人と2日連続で800人を超えました。そのうち東京は239人、大阪は141人となっています。東京では、20代・30代で約6割、40代以上が87人と全体の3割強で、そのうち70歳以上が約1割います。各世代に感染が拡大しています。夜の街関連と思える感染者は16人と以前に比べ大幅に減少し家庭内・職場内と市中感染が広がっています。全体の約6割が感染経路不明者です。大阪でもほぼ同じ傾向が見られますが、東京に比べ若年層の割合が高いです。しかし、今後は東京と同じように各世代に広がっていくように思います。また兵庫で49人、福岡90人、熊本21人と過去最多を記録しています。全国的な感染拡大は止まりません。

こうした中、「GoToトラベル」が実施された4連休が終了しました。このGoToトラベルで感染者がさらに広がっていないことを祈るばかりです。

西村経済再生担当相は、新型コロナ感染者の全体的な増加を受け、従業員7割のテレワークや時差出勤などの実施を経済界に改めて要請する考えを示しました。このほか、感染防止ガイドライン徹底や体調が悪い従業員の自宅待機、接触確認アプリの導入も求めていくとしています。これには、テレワークが実施できない業種、業態もあり、批判も出ています。しかし、テレワークをはじめとした働き方改革はコロナ禍が起こらなくても取り組まなければならなかった課題です。新型コロナの感染拡大によってその時期が早まり即座に取り組まなければならなくなっただけです。別段、すべてをテレワークで行う必要はありません。テレワークで行える業務とテレワーク出来ない業務との区分けを行い、できるところから取り組めばいいのです。完全なテレワークは求められていませんし、それは不可能です。テレワークと出社の混合型でよいのです。

プレジデント・オンラインに「『日本中テレワークすればいい』と思っている人に伝えたいこと」という記事が載っていました。これの記事の筆者は「テレワークのできる高所得者の暮らしを、テレワークのできない低所得者が支えている。このままでは格差と分断が加速するだけだ』と言っています。高所得な職業・業種の人々ほどテレワークの対応が可能であり、低所得の職業・職種の人々ほどテレワークを選択する余地がなく、「ステイホーム」のしわ寄せの多くは低所得者が被ってきたというのです。確かに、外出自粛や休業要請で職を失った人たちの多くはテレワークできない職業・業種の人たちであり、自粛期間中でも出社しなければならなかった人たちもテレワークできない職業・業種の人が多かったことは否めません。しかし、テレワークできる職業・業種かということと所得の多寡とは直接関係しないように思います。元々在宅勤務をしているフリーランスの人たちはそれほど高所得者ではありませんし、高所得者の花形と思われている医師は全時点ではテレワークに向かない仕事です。記事自体にあげられている富裕層は世界的なIT関連の企業経営者や投資家・資本家で、一般的な企業に勤務するサラリーマンや従業員ではありません。一般的な企業を例にとればテレワークできる職業・業種とテレワークできない職業・業種でそれほど大きな差がないように思います。テレワークできる職業・業種の中にもテレワークできない職業・業種と賃金的に大差がないところもありますし、テレワークできない職業・業種であってもテレワークできる職業・業種のように高い賃金を出しているところもあります。要は各企業の経営状況・経営姿勢などによっています。

どの企業でもテレワークできる業種とできない業種があるはずです。100%できる、100%できないということはありません。先ほども書きましたが、内容を区分けしてテレワークと出社の混合型(週に何日テレワーク、何日出社)で行うべきです。

確かに飲食業やアパレルなどの店舗店員はテレワーク出来ません。このような仕事・業種では時差出勤や徹底した感染防止対策で感染リスクを減らしてください。休業や時短によって減少した給与に対しては国は給与補填すべきです。

今回の新型コロナウイルスはテレワークできる職業・業種かどうかとは関係なく、企業や店舗の経営に多大な影響を与えてきました。多くの企業・店舗が倒産・廃業・閉店に追い込まれ、多くの失業者を出しました。テレワークできるかどうかと無関係に、コロナ禍によって格差や分断が生まれているのは事実です。こうした格差や不平等をどのようにして是正するかが政治の役割です。

コロナ禍においてはコロナの影響をもろに受けた企業や業種・業態に経済的支援を行うことも必要です。ただ、どのような支援を行うかは内容と時期をしっかり精査したうえで適切に行う必要があります。今回のGoToトラベルは景気低迷する旅行業・観光業の支援を目的としたものでその目的自体は良かったのですが、政治判断のミス(?)で時期と方法を誤ったことで多くの批判にさらされています。8月には、飲食店の支援を目的としてGoToイーツをスタートさせるようですが、GoToトラブルの批判を参考に適切な内容で行ってもらいたいものです。感染者の拡大が続くようならば時期を延期するという判断も必要です。