中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1072人で、そのうち東京は186人、大阪は187人で、大阪が東京を上回りました。東京はピークを過ぎやや下火になってきているように見えます。一方大阪は重症者や死者が多く、昨日も全国最多の5人(全国で14人)が亡くなりました。近畿圏では兵庫49人、京都38人と増えてきています。福岡も103人と5日ぶりに100人を超え、沖縄は71人で、人口10万人当たりの感染者数が30.68人と上がり全国最多となっています。そろそろお盆休みの状況が判明するころになりますが、帰省自粛の候がそうして新規感染者が増加しなければいいと願っています。

日本感染症学会の学術講演会で、舘田一博理事長が冒頭のあいさつで「『第1波』は緊急事態宣言の後何とか乗り切れたが、いままさに『第2波』の真っただ中にいる」と述べる一方「ピークを越えたようにも見える」としながらも再上昇しないか注意が必要だと語りました。舘田理事長によればウイルスの遺伝子で見ると、最初の武漢由来、欧州から来た大きなピーク、更に少し変異した今回の波があり、第3波と呼ぶのかもしれない」とも言いながら「第1波や第2波という呼び方にとらわれず、状況を理解してできる対策をとることが重要」と強調しています。若年層から中高年層に、夜の街から家庭内・職場内にと広がりを見せています。政府や各地方自治体には今できる最上級の対策をとって、これ以上重症者や死者を出さないようにしてもらいたいものです。

今日は、「日本企業がテレワークで生産性を上げられない根本的な要因」という記事を取り上げます。この記事は日本におけるテレワーク導入の問題点を大前研一氏が解説したものです。

新型コロナ禍で、現底として「在宅勤務」「テレワーク」にシフトする企業が増えています。しかし、テレワークや在宅勤務で生産性が下がったという企業も多く、テレワークでいかに生産性を上げるのかが課題となっています。

この記事では、日本企業がテレワークで労働生産性を上げるのは至難の業で、現状を維持することも難しいと指摘したうえで、その理由として、従来の「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へのシフトを短期間に実現することが日本企業にはほぼ不可能だからだと言っています。欧米では一般的なスタイルである「ジョブ型雇用」は仕事内容、目的、目標、責任、権限、知識、スキル、経験、資格、学歴などを詳細に記述した「ジョブディスクリプション(職務記述書)」という書類に基づいて雇用する制度で、労働者はジョブディスクリプションに書かれていない命令には従う義務はありません。

一方、日本で一般的な「メンバーシップ型雇用」では、仕事内容や勤務地などを限定せず、日本独自の「年功序列」「終身雇用」「新卒一括採用」などを前提としています。

言い換えれば、「ジョブ型」は「仕事に人を割り当てる」雇用形態で、「メンバーシップ型」は「人に仕事を割り当てる」雇用形態です。

日本企業の中にも今回のコロナ禍でジョブ型に移行しようとしている企業もありますが、大前氏は、日本企業で明確にジョブディスクリプションを描きだせる人事部や管理職の人はいないと指摘しています。

ジョブ型の大前提は雇用契約が永遠ではないということです。在宅勤務・テレワークになるとも読元仕事をしない社員は増し済ます仕事をしなくなります。多くの企業でそのような状況が生まれています。在宅勤務・テレワーク中の仕事ぶりを逐一テックしたり細かく報告させても、それを正しく評価できる仕組みになっていません。ジョブ型では、毎年もしくは半期や四半期に一人一人の社員に求める成果を決め、これとこれは達成したが、これは出来なかったから来期はここを改善せよと1対1でレビューしなければなりません。上司は、このレビューに時間と手間をかけねばならず、合意事項は書類で残しておかなければなりません。そういう仕組みがあって初めてジョブ型は機能するのです。

大前氏は、「今日本企業がやろうとしている中途半端なジョブ型へのシフトは、嘗ておざなりの成果主義を導入した時と同じ轍を踏み惨憺たる結果に終わるだろう」と言っています。企業は、真面目な社員は過重労働になり、さぼっている社員にも給料を支払うチャリティ機関になってはいけないのです。日本企業にメンバーシップ型からジョブ型への移行を求めることは難しいですが、コロナ禍で働き方が変わりテレワーク・在宅勤務を本格的に導入するならやらなければならないことです。