中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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ペーパーレスと生産性

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で717人、うち東京は182人、大阪119人、神奈川57人、愛知43人、福岡53人と大都市での感染者数は以前に比べれば減少しています。死者は神奈川、大阪で各3人、東京で2人など14人で、相変わらず大阪での死者は多く、8月のっ死者は44人となり1か月の死者数としては最多になりました。

東京では、病院勤務の女性看護師が、7月にも感染しいったん陰性となっていたのに再陽性となったということです。都によると、これまでも再陽性となったケースが10件ほどあるようです。新型コロナに感染後に回復した後に再感染する事例は、香港、オランダ、ベルギー、ブラジルでも出ています。少数とはいえ、再感染感謝が出ていることは、予防接種ワクチンの開発、生産に影響を与えるとの懸念の声もあります。以前、新型コロナの抗体は2~3カ月で激減するというニュースがありました。ウイルスとの闘い中で「集団免疫」を獲得するということが重要ですが、このようにほかの感染症に比べ極めて短い期間で抗体が激減するならば、「集団免疫」の獲得はままならないことになります。

香港での研究によれば、再感染した患者を検査した結果、1回目の2回目では異なるコロナウイルス株に感染していたというのです。コロナウイルスは変異して強毒化あるいは弱毒化していきますが、変異した異なるコロナウイルス株に感染すれば、抗体は意味がないということになるのでしょうか?厄介なウイルスです。さらなる研究が待たれるところです。

新型コロナウイルス対策で拡充している雇用調整助成金の特例措置について、政府は、現行の助成率や上限額のまま12月末(本来の期限は9月末)までに延長することを決めました。雇用調整助成金は、仕事がない時に労働者を休ませた企業に対し、休業手当を支援するものですが、新型コロナの感染拡大で雇用情勢の悪化が見込まれるために縮小せず、延長を決めました。来年1月以降は縮小される予定なので、多くの中小企業には利用してもらい、雇用の維持に努めてもらいたいものです。中小企業の助成率は100%、1日当たり上限1万5000円となっています。

今日は、文春オンラインの「なぜ『紙の資料』は職場の生産性を下げるのか」を取り上げます。この記事は、日本マイクロソフト社が、昨年末から取り組んできた「週勤4日週休3日」制に挑戦するなど企業の生存をかけた働き方改革を取り上げた最終回に当ります。日本マイクロソフトでは就業規則に「出社不要」が掲げられ、緊急事態宣言発令前から「本社出社率1.7%」まで低下していました。これは「出社するのが本当に生産性を向上させ、企業の価値を高めているのか」という問題意識です。「リモートワークは単なる福利厚生ではありません。企業が優秀な人材を集め、組織としての勝ちやブランドを高めていくために必要な経営戦略の1つ」と言っています。日本マイクロソフトが導入した「週勤4日週休3日」はただ休みを1日増やしただけではなく、その結果、ペーパーレス化、リモートワークの活用、1時間以上の会議から30分会議への移行、積極的な人材交流などによって労働生産性を上げているのです。

働き方改革の一環としてペーパーレス化も重要な意味を持ちます。新型コロナの影響もあり、リモートワークと相まってペーパーレス化は避けて通れないものとなっています。緊急事態宣言下で「書面にハンコを押すためだけに出社する」ということが問題となりました。このように、紙を使う業務は世の中の空気を読まず、人を場所に縛り付けてしまいます。デジタルへの移行が可能である業務であっても、紙とハンコに拘る企業は少なくありません。しかし、日本マイクロソフトでは、外部の顧客に対して説明する際に使用する資料以外はほとんどペーパーレス化が進み社内業務の9割がペーパーレス化されています。紙に拘らなければ、場所の制約を受けることなく仕事ができ、情報のやり取りが可能です。どうしてもハンコが必要ならば電子印鑑も法的に問題はありません。

それに紙の情報は古いのです。紙で会議用の資料を作成しても、前日までに作成しプリントアウトしていれば前日までのデータになります。誰でもリアルタイムでアクセスできる環境があれば、会議で最新データに郭セスできます。

スピード感のある企業は、〇月〇日〇時からというような固定的会議だけではなくビジネスチャットで話していた流れですぐにリモート会議が立ち上がり、関係者を巻き込むというケースが当たり前になっています。このような時にあらかじめ作成された紙の資料などありません。今あるデータにアクセスして議論が進められます。

この記事では「『紙の資料はやめましょう』のレベルの問題ではなく、紙文化ではこれからのコラボレーションを前提としたビジネス環境には全く対応できない」と言っています。

また、この記事は、「情報共有」の観点からペーパレス化を考えています。情報共有には「今、この場で情報を共有する」と「時間差で共有する」の2つがあります。紙文化は、「限られた人だけ」の情報共有スタイルで、クローズドな情報共有スタイルと言っていいものです。それに対し、デジタル化された情報は、時間差、すなわち非同期の情報検索と共有をしやすくします。オープンで、コラボレーションしやすい環境を実現するためにもペーパーレス化は避けて通れないと言っています。限られた空間で行われる「井戸端会議型意思決定」ではベテランだけが仲間内で結託し、若い層のモチベーションを著しく下げているケースもあります。情報がクローズドになりやすい制度や文化では、それだけで働く人の意欲を下げ、ひいては企業のブランド価値も下げてしまいます。

確かにこの記事が言う通りですが、日本マイクロソフト社のように、出社率を数%にしたりペーパーレス化を9割達成するというのは並大抵なことではありません。特に中小企業の場合、出社が必要な業務が多くテレワークに向かない業務が多くあります。出社が必要な業務とテレワークでできる業務とをしっかりと区分けしてメリハリをつけて「週のうち〇日出社、〇日在宅勤務」というようにテレワークを導入すべきです。また、ペーパレスについてもペーパーが必要なものと必要ないものを区分けして必要ないものから順次ペーパレスに取り組みましょう。少しずつ自社の状況に合わせて取り組むべきです。「世間の流れがこうだ」からとすぐに飛びつくことは得策ではありません。自社に合う者と合わないものがあります。それを見極めながら徐々に取り入れながら状況に合わせ修正していくという方法が一番です。何事も臨機応変に対応することが重要です。