中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 世界最高のリーダー養成機関(2)

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おはようございます。

昨日の新規感染者数は全国で599人、うち東京181人、大阪76人、神奈川67人、愛知34人、福岡27人、沖縄20人となっていますが、京都の私立高校でクラスターが発生しています。全体的には減少傾向にあります。世界的には、アメリカで減少傾向がみられるもののインド撫ででは増加傾向にあり感染は横ばいで、再燃リスクは今なお残っています。WHOは「パンデミックが過ぎ去ったと言える国はない。このウイルスは容易に広がり、すべての年代の人にとって致命的で、多くの人が感染しやすい状況にあるのが現実だ」と警鐘を促しています。日本においても、まだまだ気を緩めず警戒が必要です。

さて、今日は昨日の続きで、田口力著「世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられている仕事に基本」(角川書店)を紹介です。

4 第3章「費用対効果の高い意思決定を」ー自分で「考える」

「木を見て森を見ず」と言うことわざがあります。物事の一部や細かいことに気を取られていると、全体を見失ってしまうという意味ですが、仕事においても自分の目先のことばかりに集中していると、その根本原因である問題の解決が出来ないことになります。GEのクロトンビルの選抜研修の初日に、「今年の全社戦略はどうなっているか」[「財務的側面から見た業績はどうなっているか」「重点取り組み課題は何か」「各事業部の前年度の売上高や利益はどうか」といった会社全体の大きな方向性の確認が行われます。リーダーとなるためには全社的な視点、大局的な視点が必要だということです。しかし、それだけにはとどまりません。自分が行う仕事がその上位目標と一線化がとれているかという視点や自分の行う仕事の意味を認識する視点、自分のキャリアを考える際に必要な視点を獲得するためでもあるのです。マクロ経済や産業構造全体の観点を「森」とすれば、企業の観点が「木」、そして職場の観点は単なる「草」です。草を見て木を見て森を見ることが必要になります。異なる3つのレンズ、望遠レンズ、広角レンズ、接写レンズを持つことが必要です。

田口氏は、これからのビジネスパーソンに必要なのは、「和魂洋才」だというのです。これは「和洋折衷」とは異なります。日本に古くからある精神を大切にしながら、西洋の考えや技術を取り入れていくということです。もっと言うならば、せっかく持っている素晴らしい企業理念や経営の仕組みなど、その良さを顧みることなく、闇雲に欧米企業の考え方や仕組みをコピーしても駄目だということです。欧米流の考えや仕組みを取り入れるとしても自社の確固たる理念や信念、価値観といったものを核に据え、その核に照らしてかみ砕き(解釈し)、飲み込んで(よくよく考えて)、栄養にする(自社の成長の糧にする)ことが必要です。企業の価値観というのは、企業を擬人化して考えたときに、その企業が行動をとる、あるいは意思決定をする際によりどころとする考え方です。

昨日、「三点一平面決定の法則」というのを説明しました。そこで重要なのは、優先順位をつけて3つに絞るということです。「重要なのは何なのかを絞る」ということは「全部はやらない」ということです。優先順位を付けた上位3つをやって7つはやらないのです。優先順位をつけて上から順に全部やりきるというのでは、結局上位3つも中途半端になってしまいます。下位7つに投入する労力や時間ウィ上位3つにつぎ込む方が費用対効果で断然優れています。

5 第4章「学ぶことを止めたら、会社を去れ」-自分を「鍛える」

「目の前のマシュマロを我慢すればもう1個マシュマロをあげる」という子供向けのマシュマロテストがあります。「自分が満足感を得ることを遅らせることが出来る能力」が試されています。この衝動抑制あるいは自制心はある種のスキルです。「ニーズに基づいて自分の衝動を抑制できるか」ということですが、良いことばかりではありません。この衝動抑制能力が強すぎると「物事を先に進めない」「問題を先送りしてしまう」と言うマイナス面が見られます。適度な衝動抑制適度な自制心が求められるのですが、これはなかなか難しいです。しかし、これはスキルなのでコントロールできることです。

田口氏は、「企業も人も研究開発投資をしないと成長できない」と言っています。これがまさに「学ぶことを止めたら会社を去れ」ということです。給料の6%を学びのために自分に投資しろを言っています。その中には読書や研究会・勉強会への参加の他に飲みに行くというのも含まれます。飲食・会食で人脈が広がるならそれも自分への投資になります。

また学ぶということは「経験から教訓を導き出す習慣づけ」です。この習慣が「振り返り」つまり「反省」となるのです。「内省する力」すなわち経験から教訓を引き能力こそがビジネスパーソンの基礎能力として最も大切な能力だと言っています。困難であることを承知しながらチャレンジすることも大切です。

6 第5章「GEでは7割オッケーならゴーです」ー自分を「変える」

優れたリーダーは土曜の午前中を有効に使っています。「寝だめ」はかえって身体のリズムを崩します。土曜もいつもの時間に起きて、一週間を振り返る、語学の勉強をする、本を読む、瞑想する、運動をする、何でもよいので有効に使うことが大切です。

日本人は、「石橋を叩いて渡る」、「質問をしない」「まるでツバメのヒナのようだ(1から10まで教えないとだめ)」と言います。田口氏は「最初に考えるのは良いが考えすぎるな。ある程度考えたらあとは走りながら考えろ」「恥をかくことを恐れるな。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」「本を読むときも人の話を聞くときも常に『本当か』ととい続けろ」と言っています。

ここでは「GEの重要キーワード」が挙げられています。

  • Growth・・・会社業績の向上とその基盤である個人の成長を第一とする
  • Performance・・・単なる仕事上の業績だけでなくGEバリューの発揮度も含む
  • Speed・・・100%を求めず70%で先に行く。拙速でよいから走りながら考えよ
  • Change・・・GEでは固定化されることは何もない。常に変化に備え、変革を推進しろ。
  • Stretch・・・変革を起こすために背伸びやジャンプをしないと届かない目標を設定せよ。
  • Challenge・・・仕事も個人の成長も、共にその機会を逃さずに勇気をもって挑め
  • Leadership・・・主体性を持って他社や仕事を率先して導け。影響力を磨け
  • Commitment・・・一度約束した目標は石にかじりついても成し遂げろ
  • Execution・・・単に言われたことを行うのではない。期待される結果を出すのが遂行だ。

7 第6章「自分の運命は、自分でコントロールしなさい」-自分を「導く」

田口氏は、「『ドア際族』になろう」と言っています。「窓際族」と言うのは居場所がなく仕事もなく定年を待つ人ですが、「ドア際族」はいつでもドアから出ていく準備が出来ている人です。これは今ある組織でしか通用しない人材ではなく、どの産業のどの会社でも働けるプロフェッショナルになるということです。自他ともにその実力が「プロ」のレベルであるからこそ、いつでもドアから出て行けるので、会社と対等の立場でものが言えるのです。

GEをはじめ多くの外資系企業では辞令一本で西や東に飛ばされることはありません。空いた職務や新プロジェクトは公募システムで公開され、社員が応募するのです。自分のキャリアや次の仕事をどうするかは大原則として社員本人の責任です。ウェルチ氏は「自分の運命は自分でコントロールしなさい。さもなければ誰かにコントロールされるだけだ」と言っています。

8 第7章全社員がリーダーであることを望みます」-他者を「導く」

GEは新幹線型の組織を目指しています。組織の全階層にリーダーと言うモーターを埋め揉み、組織は30万人規模と大きくとも軽やかに走れるようにしていると言います。部下概要がいまいが、役職が高かろうが低かろうが、リーダーシップとは関係ありません。誰もがリーダーシップを発揮できることが求められているのです。自分の職務や職位に付随する権限を用いて人を動かすのはマネジメントで、その権限を用いないで人を動かすのがリーダーシップだと言っています。リーダーシップの本質は「影響力」であり、影響力を発揮するのに役職や肩書、部下の有無は関係ないのです。マネジメントとリーダーシップは車輪の両輪のようなもので、バランスよく両輪が回らなければなりません。「リーダーシップ」の定義に決まったものはありません。語った人の数だけ定義があるといっても過言ではありません。ですから、リーダーシップについて自分なりの考えをまとめることが大切です。