おはようございます。
昨日の新規感染者数は全国で438人、うち東京100人、大阪53人、神奈川50人、愛知43人、福岡30人、沖縄23人となり、亡くなった方は大阪4人、東京3人を含め全体で14人となっています。大幅に減少しているように見えますが1日の陽性率は変わらず、むしろ悪化している地域もあり、もともと休日で検査数が少なかったことが要因です。大阪の吉村知事は、感染者が減少傾向にあるとして、警戒レベルを1段階下げ、「5人以上での飲み会や宴会自粛」を解除しました。元々どれだけ効果があるか疑問でしたが、大阪での死者数の多さや感染拡大状況からみると気を緩めるのは若干早すぎるように思います。
安倍総理の辞任から4日が経ち、ポスト安倍・次期総裁が誰になるのか、巷を賑わしています。菅義偉官房長官が立候補し、最大派閥の細田派、麻生・二階両派も菅氏を支持すると表明し、菅氏優位という情勢です。今回は緊急事態ということで、自民党員投票を省略して両院議員総会で選出される見通しが強くなっています。こうなると、地方人気が強いものの小さな派閥の石破氏は劣勢に立たされます。小泉進次郎氏ら若手議員が党員投票の実施を求める要望書を提出し、各地方自民党議連からも党員投票を求めるなどの動きがあり、今日の総務会でどのように決定されるか注目です。
「派閥の論理」、「村社会の論理」で一国の首相が決められる政治システムはいかがなものかと思います。数十年前から、こうした「派閥の論理」は問題視され批判されてきましたが一向に変わりません。「派閥の論理」で選ばれた総理が国民のために行動してくれるとは思えません。所詮は、閣内人事も「派閥の論理」で決められ、支持してくれた派閥の顔色を伺い、目は「外(国民)」ではなく「内(派閥)」に向いて行動するだけです。
一国の総理を国民が選べないという政治システムは問題です。安倍首相は次期総理が決まるまで職務を行うと言っています。総理が急死したり入院して職務が出来ない状況でなくそれほどの緊急性があるとは思えません。党員投票を実施するとしても総裁が決まるのが1,2週間先になるだけです。少なくとも地方にいる100万人を超える自民党員に国民の代表として投票できる党員投票を実施してもらいたいものです。こうすれば少しは「派閥の論理」を覆すことが出来ます。党員投票を実施したくないのは「石破氏を総裁に選任したくない」という「派閥の論理」の表れのような気もします。
もう、こんな茶番は止めて、一国のリーダーは国民自身が選出する大統領制に移行すべきだと考えます。
もちろん、令和おじさん・菅氏が総理にふさわしくないというつもりはありません。安倍首相を陰で支えた立役者で、優秀な政治家だと思います。しかし、優秀な政治家が、一国の総理・一国のリーダーにふさわしいかどうかは別問題です。
今日は、ダイヤモンド・オンラインの「仕事ができる人が必ずしもリーダーにふさわしいわけでない理由」を取り上げます。
国に限らず、企業・その他どの組織でも、誰をリーダーにするかは悩むところです。それは、仕事ができる人が必ずしもリーダーとしてふさわしい行動をとれるとは限らないからです。だからと言って、仕事能力で劣る人物をリーダーに指名しても、仕事ができる人のモチベーションが下がり組織として大きな損失になり、また不満も噴出して混乱することにもなりかねません。望ましいのは、仕事ができる(仕事能力で優れた)人にリーダーとしてふさわしい行動・能力を身につけてもらうことです。つまり仕事ができる人にリーダーとしての資質を教え教育するということです。リーダーとしての資質には天性のものがあるようにも思いますが、ある程度は育成することで身につきリーダーとしてふさわしい行動を起こせるようになるでしょう。
以前にもリーダーやリーダーシップについて書きましたが、今回のこの記事は、心理学の立場から「リーダーとして力を発揮している人たちが身につけている心理機能」について説明していますので、以前のプログとは重複しない内容となっています。
心理学においても、リーダーシップの研究が行われ、リーダーシップには、「主に2つの心理機能が求められる」とされています。その2つの心理機能とは、「課題遂行を志向する機能=集団としての目標達成に向けて皆を引っ張っていく機能」と「人間関係を志向する機能=集団のメンバーの気持ちや関係性に配慮して集団をまとめていく機能」です。こうした理論の代表が三隅二不二博士のPM理論です。リーダーシップP行動(集団の目的達成機能を重視するリーダー行動 PはPerformanceの略 大文字Pは目的達成機能が強く、小文字pは目的達成機能が弱い)とリーダーシップM行動(集団維持機能・人間関係を重視するリーダー行動 MはMaintenanceの略 大文字Mは集団維持機能が強く、小文字mは集団維持機能が弱い)の2つの次元で考えるものです。
三隅博士らの研究では、次のような結果になっています。(これは記事には載っていません)
- P行動・M行動共に強いPMの場合・・生産性・モラール(士気)ともに最高
- P行動・M行動共に弱いpmの場合・・生産性・モラールとも最低
- P行動が強くM行動が弱いPmの場合とP行動が弱くM行動が強いpMの場合・・どちらも生産性・モラールは中間値をとるが、Pmの方がpMより生産性は高くモラールは低い
それでは、P行動=目標達成機能とM行動=集団維持機能に含まれる具体的行動とは何でしょうか。
P行動(目標達成機能)に含まれる10個の行動は次のようなものです。
- 目標を明確化し、部下に目標をたえず意識させる。
- 目標達成のための計画を立てる。
- 部署としての方針を決め、それを徹底させる。
- 目標達成のための方法を具体化し、それを部下にしっかりと理解させる。
- 部下に役割を割り振り、それぞれの役割分担を明確にする
- 部下に行動の開始や役割の遂行を促す。
- それぞれの部下の仕事の進捗状況を把握する。
- 目標達成の過程において生じた問題点を明確化し、その対処法についてアドバイスを与える。
- 情報源・アドバイザーとしての役割を果たすべく、専門的知識や技能の習得に励む。
- それぞれの部下の成果を正確に把握し、正当に評価する。
M行動(集団維持機能)に含まれる10個の行動は次のようなものです。
- 快適かつ友好的な雰囲気の情勢・維持に配慮する。
- 部下相互の交流を促進する。
- 部下相互の情報交換を促進する。
- 少数派にも発言の機会を与えるように配慮する。
- 内部でいざこざが生じたときは仲裁する。
- 集団の和を乱す部下に対しては適切な対応をする。
- 部下一人一人の意見を尊重し、自主性・当事者意識を持たせる。
- 部下一人一人の気持ちに配慮し、不平・不満に耳を傾ける。
- 悩みや迷いを抱える部下の相談に乗る。
- 部署の代表として、必要なときは他の部署の人たちとの交渉を行う。
三隅博士らの研究からすれば、P行動、M行動共に強いリーダーが生産性・モラールともに高く、優れたリーダーであることが分かります。しかし、上にあげたP行動の10項目、M行動の10項目の全てを兼ね備えたリーダーなど存在しません。普通はそれぞれの10項目のうちのいくつかの行動をとり、かつどちらかに偏りが見られるものです。それが個性です。リーダーと言えども完璧なロボットではありません。人間です。性格的に人をぐいぐい引っ張っていくのは得意だが気配りは苦手というタイプ(Pm)もいれば、人の気持ちに敏感で気配りはできるが目標に向けて皆を引っ張っていくのは苦手というタイプ(pM)もいます。
上記それぞれの10項目をチェックし、自分が得意なところと苦手なところを自覚し、自分の課題を把握して苦手・不得手なところを伸ばしていくように努力することも重要です。また、現実的には、リーダーが苦手とする心理機能をサブリーダーが担うなど、目標達成機能と集団維持機能を分担するようなリーダーシップ・システムを構築することも必要です。
また政治の話に戻りますが、誰が次期総理になっても完璧な人はいません。派閥の論理に惑わされず適材適所に人を配置し、自分の苦手・弱点を補完しながらリーダーシップを発揮してもらいたいものです。