中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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高級ブランド業界のコロナ禍生存戦略

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で431人、そのうち東京132人、神奈川49人、埼玉40人、千葉25人、愛知21人、大阪50人、沖縄29人、北海道24人などとなっています。感染者が出ているのは全国で23都道府県で、47都道府県のうち半数で感染者が確認されておらず、明暗が分かれています。やはり感染者数が多いのは首都圏、関西圏、観光客が多い沖縄、北海道といったところです。それでも、青森のようにスナックやクラブなどでクラスターが発生すると急増します。東京では劇団四季、大阪の関西大学、神戸市のスナックなどでもクラスターが発生しています。

ヨーロッパでは新型コロナの感染者が再び急増し、1日当たりの新規感染者がヨーロッパ全体で15万7000人を超えています。これは第1波の時の最多が4万人程度だったので、それをはるかに超える数字です。各国は規制を強化してコロナの抑え込みに必至です。フランスは非常事態宣言を宣言し、夜間の外出が禁止され(罰則あり)、イギリスでも飲食店の夜間営業が禁止され、さらに自宅やレストランで同居している家族以外と会うことが禁止されました。スペインのマドリードでは通学・通勤を除く都市の出入りが禁止されています。しかし、第1波の時と異なるのは、感染状況に応じて地域単位で規制に強弱が付けられている点です。これは全国的なロックダウンが経済と人々の生活に深刻な影響をよぼすためです。

いったん収まりかけていたコロナが感染再拡大したのは飲食店の営業再開や夏のバカンスシーズンで人が移動したためです。日本でも、同様の事態はGoToトラベルの東京追加、GoToイートの推進によって人々の気が緩むと起こり得ることでもあります。万が一感染が再拡大した時には、感染状況に応じて規制に強弱をつけるというヨーロッパが現在採っている対策は参考になりそうです。

今日は取り上げようと思う記事が見つかりません。そこで、ヨーロッパの感染再拡大の流れで、「ヴィトンやエルメス、仏ハイブランド業界のコロナ禍生存戦略」という記事を取り上げます。インバウンドで利益を上げていた業界には参考になるところがあるかもしれません。

新型コロナの影響で観光客がいなくなり、フランスの高級ブランド業界は大きな打撃を受けています。ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドを傘下に収める世界最大のラグジュアリーグループLVMHは、2020年上半期の業績はグループ全体で84%減と公表しました。

この記事は、「世界的規模で人々が外出を控え、イベントやセレモニーなどの機会が減少したため、外出の場面にこそ必要だった高級ファッションブランドはもはや不要なものしょうか?」と問題提起します。

コロナ禍でパリ市内は閑散として、高級ブランド業界はこのまま衰退していくのかと言うと、そう言い切ることはできないようです。

LVMH傘下の「エルメス」は2023年に新たな製造工場建設に向けて着々と準備を進めています。これは500名の雇用見込んだこの計画は最大の企業計画となり、業界の将来性を確信しているからだと言います。LVMHは、今後一層のオンラインショップの強化を宣言しています。「2か月間のロックダウンが明けた中国には、早くも購買活動への意欲が見られる」ので、オンラインショップを活用すれば、いつでも世界中の顧客に向けて販売が可能になります。

つまり、フランスで製造した高級ブランド品をオンラインで諸外国に売るという戦略を展開するのです。

高級ブランド店の顧客のほとんどが外国人であることを考えれば、厳しい状況はコロナが収束するまで続きます。ドバイや中国主要都市の実店舗は現在も好調で、こうした好調な実店舗での売り上げとオンラインショップで利益を確保しつつ、苦戦中の実店舗を摩耗という考えのようです。将来的に再び観光客が戻ってくることを予想しつつ、それまでの間耐え抜こうという戦略です。

また一方で、実店舗の活性化に積極的に取り組んでいるのがヨーロッパ最大のデパート「ギャラリー・ラファイエット」パリ・オスマン店です何とかして地元パリ、ヨーロッパの消費者を引き付けようと様々な取り組みを行っています。開催される催しも、以前は外国人観光客向けでしたが、コロナ禍以降はDIYやヨガレッスンと言った地元の消費者向けに変え、売り場は活性化しているようですしかし、こうした地元の消費者が高級品を購入することはほとんどありません。そこで、「新作や限定品に力を入れてオンラインで販売していく」という戦略に出ています。定番商品は世界中の実店舗で購入できますが、新作や限定品はフランスでなければ購入できないことが多く、こうしたフランスでしか購入できない新作や限定品を前面に出しオンライン販売していくという作戦です。外国人旅行者に支えられてきたフランスの高級ブランド業界も、このコロナ禍で新たな道、新しいビジネスの方法を探ろうとしています。

こうした高級品のオンラインショップの出現は、ネット通販業界にも影響を与えそうです。これまでは安い価格のものを探すためにネットショップを使うというのが主流でした。高級ブランドのネットショップが出来るとそこに違いが生まれてくるはずです。高級ブランドの実店舗では、ソファーに座ってくつろいでいただいてという風に、接客のノウハウや場の演出をも含めての価格です。オンラインショップではそれがなくなります。

この記事では、「接客の技術ではなく、お届けのパッケージやウェブサイトを作るデザイナーや、それ以前の戦略を考える人間に、より重点が置かれるかもしれません。オンラインとオフラインを融合させたサービスの新形態が登場する予感があります」と言っています。

フランスの高級ブランド業界は、コロナ後を見据えて今を乗り切ろうとしたたかに戦略を展開しようとしていることが見て取れます。

日本においても、インバウンド客の大幅な減少により多くの業界が痛手を受けました。その中で、現状を見据え新しい戦略を取った事業者がどれだけあったでしょうか?

生き残るためには、したたかにかつがむしゃらに戦略を練り直し今を乗り越え再びインバウンド客が戻ってくるのを待つということが必要です。

インバウンド客が来ないのであれば地元や国内の消費者を取り込むための戦略を打ち出し、日本に来れない旅行者・外国人にはオンラインで物やサービスを売るといった戦略を展開する必要があります。

地元や国内の消費者をないがしろにし、安易に利益が上がるインバウンド客に依存し本当の意味でのおもてなしのサービスが低下したことを反省し、新しい生存戦略を打ち立て生き延びることが重要です。コロナはいずれ収束します。インバウンド客もいずれは戻ってきます。それまでは耐えて生き延びるしかありませんが、まずは地元、国内の消費者に向けた戦略が大事です。