中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 私立時計ヶ丘高校タイムトラベル部

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で731人、そのうち東京203人、神奈川62人、埼玉41人、千葉41人、愛知42人、大阪96人、兵庫48人、沖縄40人、北海道60人などとなっています。首都圏、大阪、北海道、愛知、沖縄で増加傾向にあります。東京では法政大学、早稲田大学の合宿所でクラスターが発生し、北海道ではススキノの接待を伴う飲食店でクラスターが発生しています。第3波が足元に近づいてきているのではないかと懸念します。GoToトラベル、GoToイートなどによって気が緩み予防意識が低下してきているように思います。経済優先で経済を回すことのみに意識が向いていると感染防止がおろそかになり再び経済を止めなければならない事態になりかねません。感染予防と経済のバランスを考えた両立が必要です。

昨日海外から成田空港に到着した男女13人が新型コロナに感染していることが判明しました。先日来書いていますが、政府は経済優先で、ビジネスでの入国者の制限を緩和する方向に動いています。緩和される対象は、原則ビジネス目的での滞在者ですが、安易に緩和するとさらに多くの感染者が見つかりその中には空港の検疫を逃れて入国してくる者も出てきそうです。相手国の感染状況を見ながら段階的に行うべきですが、入国に当たっては慎重かつ厳格な検査を行って入国させてもらいたいものです。

昨日は、経営に関する本を紹介しました。今日は、私が興味を持っている物理学の本を紹介します。と言っても、難しい本ではありません。小谷太郎著「私立時計ヶ丘高校タイムトラベル部」(中経出版)という本です。

著者の小谷太郎氏は、東京大学理学部物理学科卒業後、理化学研究所NASAゴダード宇宙飛行センター、東工大などを経て現在青山学院大や神奈川大などで講義、専門は宇宙物理学、観測装置開発です。

その小谷氏が高校生でもわかるように、相対性理論量子力学宇宙論などの最先端の物理学を、図解を交えストーリー形式で説明してくれています。

時計ヶ丘高校に入学した理数系が苦手な男子高生・今野世界が、美人の先輩・玄野星に誘われて”時間旅行”の物理学を学ぶ”タイムトラベル部”に入部することになります。彼らは、夜間観測、文化祭、夏合宿、数々の学校でのイベントを通して、タイムトラベル理論を見つけ出し、タイムマシーンを作ることが出来るのでしょうか?

ストーリーの内容はネタバレになるのでやめて、いくつかの物理学の理論、特に奇妙な信じられないような理論(と言ってもこれが真実で実証されています)を紹介します。

  • 特殊相対性理論・・・アインシュタインが1905年に「運動する物体の電気力学」という論文の中で発表した理論。運動する人が時間や時刻や長さを測ると、静止している人が測るのと違う値になるのです。時間は何処でも誰にも同じように流れているわけではないのです。この理論の前提には光速不変の原理(光の速さは毎秒30万キロメートル、これは実験室の装置でも高速で飛ぶ飛行機やロケットの中で測定しても変わらない)から導かれています。
  • ウラシマ効果・・・特殊相対性理論から導かれます。猛烈な速度で進行するロケットを考えます。ロケットのスピードが光速の99%になると、ロケット内の時間の進み方が地球の7分の1になります。光速に近いロケットに乗って宇宙旅行を10年続けて地球に戻ってくると地球では70年の時が過ぎているのです。まさに浦島太郎のような経験をすることになるのでウラシマ効果と呼ばれています。
  • 一般相対性理論・・・アインシュタインが1915年に発表した理論です。特殊相対性理論は等速運動が前提となっていましたが、重力を加え、加速度運動にも適用できるように一般化したものです。一般相対性理論では時間だけでなく空間も歪むのです。質量のあると、その近くでは空間が歪み時間の進みがゆっくりになるのです。一班相対性理論は、重力の理論であり、宇宙の理論であり、タイムトラベルの理論でもあります。ブラックホールは強力な重力を持つ天体で、近づきすぎると、光でさえ脱出できなくなります。巨大な質量を持つブラックホールの近くで過ごすと時間の流れが緩やかになり、未来へのタイムトラベルが理論的には可能ですが、潮汐力によって身体がバラバラにされてしまいます。光速を超えるスピードで走ると過去へのタイムトラベルが可能だと理論的には言われています。しかし、光より速く進むものは存在しないので、このようなタイムマシンを作ることは不可能でしょう。
  • ゲーデル宇宙・・・1949年、クルト・ゲーデルが「アインシュタイン重力場の方程式の新しいタイプの宇宙解の例」という論文を発表しました。ゲーデル宇宙は球の表面のような宇宙で回転し、ある距離旅すると元に戻ってくるのです。ロケットもぐるっと輪を描いて出発地点に戻ります。光速にきわめて近いロケットでゲーデル宇宙を旅すると、光を追い抜き、出発時刻に戻ってくるのです。出発時刻より過去に戻ることも可能で、出発前の自分に出会えるというのです。
  • シュレーディンガーの猫・・・ハイゼンベルグ量子の不確定性理論を発表しました。これによれば、量子の位置が特定されればされるほどその速度と方向はあいまいになり、その逆も然りというのです。量子は粒であるとともに波であり人間に観測されるまではぼんやりとしていて観測されて初めて明確になるというのです。シュレーディンガーが次のような思考実験をしました。猫を1匹、箱に閉じ込めます。そこにはガイガーカウンターとごく微量の放射線物質が入っています。この放射線物質の量はごく微量で、1時間後に原子が一個崩壊している確率が50%、崩壊するとアルファ粒子のような極微の粒子を放出し、それにガイガーカウンターが反応して、ハンマーを動かし青酸ガスの入った瓶を割り、ガスが放出されれば確実に猫は死にます。1時間後猫はどうなっているのでしょうか。猫も原子でできているので量子力学の理論が妥当するはずです。そうすると、量子の不確定性理論により、原子が崩壊していなければ猫は生きていて、崩壊していれば猫は死んでいるのですが、不確定性理論で原子が両方の状態にある(量子のもつれ)ので、猫も生きている猫の状態と死んだ猫の状態が同時に存在し、半分生きていて半分死んでいる猫が箱の中にいて、観察者が箱を開けて初めて生きているか死んでいるか確定するのです。
  • ワームホール・・・ワームホール型タイムマシンはカリフォルニア工科大学のキップ・S・ソーン教授が提唱しています。ワームホールというのはドラえもんのどこでもドアのようなものです。第1に量子重力理論によってミクロなワームホールを作り、第2にそれを人や物が通れるまで拡大し、第3に特殊な物質を詰め込んで安定化させるという工程で作ろうとしています。量子重力理論によると、この時空は揺らいでいて、ミクロのワームホールが生まれては消えているのです。それらを利用できれば、ワームホール型タイムマシンは可能かもしれません。
  • 祖父殺しのパラドクス・・・タイムトラベルと言えば、バックトゥザフューチャーですが、第1作では、過去にタイムトラベルした未来の息子マーティに若き母ロレインが恋をします、これでは父と母が結婚せずマーティが生まれなかったことになるのでマーティが父と母をひっつけようと奮闘する話になっています。私が過去にタイムトラベルし、父方の祖父が祖母に会う前に祖父を殺すと父が生まれないことになるので、私も生まれないことになり、そうすると祖父を殺すことはできなくなります。すると祖父と祖母が結婚し父が生まれ父と母が結婚して私が生まれ、私は祖父を殺すために過去に行き・・・この繰り返しです。これが祖父殺しのパラドクスと言われるものです。この解決に対してはいろいろな説が唱えられています。過去に行っても歴史を変える行動をとることはできないというものもありますが、有力なのはヒュー・エヴェレットが50年前に提唱した「多世界解釈」に基づくものです。宇宙は絶えず枝分かれし、平衡宇宙・パラレルワールドが存在するというものです。これによれば、祖父が殺された世界と殺されていない世界が枝分かれして並行して存在しているということになります。
  • 時間順序保護仮説・・・ホーキング博士が唱えました。もしタイムトラベルが可能なら、「未来から現在にタイムトラベルしに来ている人がいるはずだ。それがいないということは、時間には順序があってタイムトラベルできない」というのですが、タイムトラベルできないという物理法則はなく、後日ホーキング博士もこの説を撤回しました。ただタイムマシンが出来る以前にさかのぼってはタイムトラベルできないと考えられています。

物理学はある種のロマンがあって面白いと思っているのですが、どうでしょうか?

私が生きている間には無理でしょうが、科学も刻々と進歩しています。いつの時代かは分かりませんが、タイムトラベルできる未来が来るでしょう。

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