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できるリーダーの4原則 まとめ型リーダーシップでよいのか?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で775人、そのうち東京157人、神奈川36人、埼玉51人、千葉32人、愛知57人、大阪78人、北海道200人となっています。これは日曜の検査結果に基づくものなので、本来なら検査件数が少なく感染者数も少ないはずですが、このことからも増加傾向にあることが見て取れます。北海道が過去最多の200人超えで東京を抜きました。GoToトラベルを使った北海道旅行のキャンセルも多発しているようですが、政府は、まだGoToトラベル除外を検討する時期ではないとしています(政府基準でステージ3になった段階で検討するとのこと、現在はステージ2です)。どうもこれも後手後手に回りそうです。

政府の新型コロナ感染症対策分科会は、全国的な感染増加傾向にあるとし、このままでは「急速な感染拡大に至る可能性が高い」とし、「5つのアクション」を含む対策強化を求める緊急提言をまとめました。

「5つのアクション」とは、

  1. 今までより踏み込んだクラスター対応
  2. 感染リスクについて、若年層や飲み会参加者にも伝わる情報発信
  3. 店舗や職場などでの感染防止策の確実な実践
  4. 国際的な人の往来の再開に伴う取り組みの強化
  5. 友好なウイルスの遺伝子解析の推進

です。この5つの行動に加え、①年末年始の休暇の分散 ②小規模分散型旅行の推進 ③保健所機能や医療提供体制の強化もこれまで以上に進めていくことが盛り込まれています。しかし、政府の分科会というだけでなく、穿った見方をすれば日本学術会議任命拒否に伴う萎縮効果もあるのか、歯切れが悪く、政府の経済優先に配慮した内容になってしまっているように思います。抜本的な対策をとらない限り、急激な感染拡大に至る可能性は極めて高いと思われます。

これから冬に向かい換気が不十分となり、また年末年始で飲み会などが増える状況で、一人一人が気を引き締めて感染防止の対策を心掛ける必要があります。

さて、国会での論戦が始まっていますが、どう見ても茶番劇です。代表質問に対し、菅首相をはじめ「答弁を差し控えさせていただきます」という回答拒否が80回以上に達しています。日本学術会議関連が半数ですが、それ以外にも議員の不祥事、外交国防、憲法改正など多岐にわたり、全く説明責任を果たしていません。新型コロナ関係の質問にすら回答拒否があります。安倍政権時代よりもひどい状況です。官房長官時代には「問題ありません」「関係ありません」などと言っていればよかったのですが、一国の首相になった今、それでは通用しません。菅首相の答弁や態度を見ていると、説明能力や会話能力、説得力に欠けるように見えます。

昨日も書きましたが、リーダーシップに必要な資質として、誠意をもって事実をわかりやすく伝える能力、希望を与えられるようなメッセージを伝える能力が必要ですが、菅首相にはそうした資質が欠けています。安倍政権で官房長官として官僚を押さえてきたことから(これがよいことかどうかの評価は別として)、優秀な人であることは否定しませんが、所詮は2番手、3番手、縁の下にいて力を発揮する人物です。首相、一国のリーダーとしては分不相応です。最近の菅首相の顔を見ていると疲労困憊、かなり疲れているように見えます。2代続けて「健康不良」で政権を投げだすようなことだけはやめてもらいたいものですが。

アメリカに目を転じれば、バイデンが大統領選に当確し、既に政権移行に動き始めました。「新型コロナ対策」を第1に掲げ、国民にマスク着用を呼びかけました。また「黒人差別問題」「経済再建」「気候変動(温暖化)問題」を主要な課題として取り組むようです。

一方、トランプは、敗北宣言を行うことなく沈黙を貫いています。法廷闘争で徹底的に戦うという話もあれば、メラニア夫人らが敗北を認めるよう説得しているとのニュースもあり、よく分かりません。

アメリカでは、敗北宣言の歴史は長く、1896年の選挙で敗北したウイリアム・ジェニングス・ブライアンが、当選したウイリアム・マッキンリーに送った電報が最初の敗北宣言と伝えられています。以来、30回行われた選挙では、敗者が敗北を受け入れ勝者をたたえ、勝者を支持すると表明し、分断を回避してきました。

敗北宣言の中には歴史に残るような素晴らしいスピーチもあります。

1992年にクリントンに敗れ再選を果たせなかったジョージ・ブッシュは、敗北宣言で、「違いに関係なく、すべてのアメリカ人は同じ目的を共有している。すなわち、世界で最も偉大な国家であるこの国を、より確実に安全なものにし、すべてのアメリカンドリームのチャンスを保証することである」などと述べて、当選者の後ろ盾となって団結するように呼びかけました。

2008年にバラク・オバマに敗れたジョン・マケインは、「私を支持してくれたすべてのアメリカ人に、私とともに、オバマ氏を祝福するだけでなく、私たちの善意と、団結する方法を探るための真摯な努力をささげることを要請する」と述べています。

また、2016年、トランプに敗れたヒラリー・クリントンは、選挙日の夜に直接トランプに電話を入れ敗北宣言するとともに翌日公の席で「トランプ氏がすべてのアメリカ人にとって成功した大統領になることを願う」とスピーチし、特に支持してくれた女性や少女に対し、ホワイトハウスに女性が選ばれることを夢見続けるように促し、アメリカが平和的に権力を移譲できたことを素晴らしいことだと語っています。

アメリカは、共和党民主党の二大政党制であり、両党支持が拮抗しています。両党支持者を分断することなくアメリカを一つにするために120年以上にわたり慣例的に行われてきたのが敗北宣言です。

トランプは敗北宣言を拒否続けていますが、アメリカを分断し、世界を分断してきたトランプらしいと言えばトランプらしいと言えます。

トランプが敗北宣言できない理由についても色々と憶測が出ています。大統領の地位にあることで守られてきたトランプ疑惑が一気に吹き出るからです。大統領の地位を利用したホテル事業などへの利益誘導、さまざまなセクハラ疑惑、選挙資金の公私混同、長年にわたる脱税行為など枚挙にいとまがありません。退任後起訴されて有罪になる可能性もないわけではなさそうです。退任後悠々自適というわけにはいかず、約400億円ともいわれる借金で破産ということになるかもしれないようです。トランプは選挙集会で「バイデンに負けたら気分が悪い。そうなったら国を出るしかないかも」などと発言しており、この発言をとらえてトランプ亡命の可能性を言うメディアもいるようです。

また、トランプはバイデン陣営の不正投票を主張していますが、一部米紙報道では「トランプ陣営が不正投票するように支持者に働きかけていた」というニュースもあるようで、何が正しいのかわからなくなってきます。

どこの国の政治家も変わりませんね。

さて、今日は、というか今日もリーダーについてです。「パンデミックであらわになった『できるリーダー』の4原則」というネットニュースの記事を取り上げます。

この記事では、「これまで、偉大なリーダーと平凡なリーダーとの違いは、勝てる戦略を考え出す能力にあると信じていたが、これは間違いではないか」と言っています。つまり、戦略主導で統制型のリーダ-シップは時代遅れだというのです。

現在のような混乱した状況では、予測不可能で1人のリーダーがすべてを把握して優れた戦略を立案することは不可能です。不確実性に満ち溢れた状況で、リーダーが出来ることは、従業員が気持ちよく働ける状況を整え、それぞれがそれぞれの責任分野において戦略を立て、何がうまくいき何がうまくいかないかを確かめながら、目標を達成するまで調整し続けられるようなサポートをすることだと言っています。

確かに予測不能で不確実な状況では調整型のリーダーシップが有益なこともあります。しかし、未曽有の危機的状況では、誰もが責任を取りたがらず、リーダー自身が決断せざるを得ない状況になります。そのためには出来るだけ多くの情報を把握し、それに基づいて戦略を立てて決断し、その結果に応じて臨機応変に対応するという姿勢が重要なように思います。

ただ、このような未曽有の危機的状況とは言えないような情勢下では、ここに挙げられている調整型のリーダーが有効な場面もあるように思います。

ここに挙げられている4つの原則とは次のようなものです。

  1. 孤独感を和らげる・・・孤独感を与えないためにリーダーはチームメンバーにタスクを割り当て、実行プランをメンバーが立案することを奨励し、信頼できる同僚やメンターからフィードバックをもらうように促す。リーダーがメンバー一人ひとりに時間を取り、孤独感を和らげる努力を取る。在宅勤務・リモートワークが増えれば、こうした孤独感対策は必要です。
  2. 自分の価値観を伝え、現場社員に判断をゆだねる・・・リーダ-が価値観を明確にし、現場で働いている社員に自分の価値観に沿った意思決定と行動を求める。
  3. 自分の考えを押し付けず、部下の話に耳を傾ける・・・リーダーは自分ですべてやろうとするのではなく、ポテンシャルの高い人たちに仕事を任せ、次世代のリーダーを育成する。
  4. 模範を示す・・・リーダーには部下にある行動をとるように言いながら、正反対の行動をとっている者がいる(政治の場ではよくいます)。リーダーは部下にとってほしい行動を身をもって示す必要がある。自ら模範を示すことはパワフルな効果を生み出す。

ここで挙げられるリーダーシップは、部下にある程度の責任を与えるとともに任せ、自らは調整役としてまとめていくというスタイルです。「まとめ型のリーダーシップ」と言ってよいでしょう。かつて、日本の企業や政治の場ではこの「まとめ型のリーダーシップ」がもてはやされましたが、欧米では自らが責任を持ってグイグイ引っ張っていく「率い型のリーダーシップ」が主流です。どちらがいいかは時代や情勢・状況によって異なりますが、両者のバランスが重要なように思います。リーダーが率い型であれば、サブリーダーにはまとめ型を配置し、リーダーがまとめ型ならばサブリーダには率い型を持ってくるというのがよさそうです。

ただ、コロナ禍のような危機的状況では、リーダ-は率い型である方がうまく運ぶように思います。まとめ型では、時間がかかり、緊急事態への対処が遅れます。安倍政権時の新型コロナ対策がその最たるものでした。

但し、率い型と言っても強引に物事を進めるのではなく、失敗すればそれを認め、周りの批判や意見に耳を傾け、新しい情報を得ながらすぐに対応し、臨機応変に軌道修正していくスタイルが重要です。

危機的状況でなければ、まとめ型のリーダーシップも日本では有益かもしれませんが。