中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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現場は経営者の鏡

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国1805人で、その内訳は東京392人、神奈川188人、埼玉117人、千葉117人、愛知92人、大阪180人、兵庫44人、福岡93人、北海道110人などとなっています。東京などで、検査データの少ない月曜日としては過去最多を更新するなど、各地で感染拡大が続いています。

大阪では、入院中の重症患者が165人と過去最多となり、柔重症者を受け入れられる運用病床の使用率は80%を超えました。また、入院中の軽症・中等症患者も934人と過去最多になり、軽症・中等症患者の運用病床使用率も77%と上昇してきています。医療体制がひっ迫していることは明らかです。

こうした中、日本医師会などの医療9団体が異例の緊急会見を開き、今のまま新型コロナの感染拡大が続けば、国民が必要な医療を受けられない「医療崩壊」の恐れがあると、強い危機感を訴え、「日本が誇る医療制度は風前の灯」と「医療緊急事態」を宣言しました。日本医師会の中川会長は「政治家の皆さん。批判や牽制ではなく、建設的な議論に限られた時間を費やしましょう」と訴え、日本病院会の相澤会長は「個々人の努力に頼るだけでは、もう感染の拡大を防止することはできない。国が先頭に立って移動制限や行動制限を政策として掲げていかなければ駄目ではないか」と訴えています。

昨日は、医療9団体の会見の後、西村担当大臣と分科会の尾身会長もそろって臨時会見を開きました。医療団体が求める更に強い対策が打ち出されるのか注目されましたが、「緊急事態宣言を出す段階ではない」「緊急事態宣言を回避すべく都道府県知事と連携して取り組みを強化していきたい」とこれまでと同様ほとんど内容のない会見でした。この中で尾身会長が、夜の会食に留まらず、昼間のフードコートなど「飲食を中心に感染拡大している」との見解を示し、「会食・飲食による感染拡大リスクを徹底的に押さえることが必要」と訴えましたが、具体的な対策は語られませんでした。

医療現場からの切実な声がどこまで菅首相や政府に届いているのか極めて疑問です。

今日はこれと言った記事が見つからなかったので、ダイヤモンド・オンラインの「現場はなぜ『経営者の鏡』なのか」を取り上げます。以前、ココイチ流『行き当たりばったり』経営論」を取り上げたときにも書きましたが、「現場主義」は重要です。現場を見なければ経営の課題は見つかりませんし、現場を見ることによってはじめて「顧客第一主義」にも結び付いてきます。

この記事はアジアンカフェ「ゴンチャ」を運営するゴンチャ・ジャパンの原田泳幸氏と日本最大級の美容室「EARTH(アース)」の取締役山下誠司氏の対談となっています。

1.現場に出なければ、経営課題は見つからない。

 原田氏は、「週3回はどこかの店舗に、事前告知せずプライベートで行く。気づかれないように、代金もきちんと払う」と言っています。これは顧客体験をするためで、実際に客として店に並んでみて初めて顧客が抱く問題点や課題が見えてくるのです。例えば、店の駐車場に車を停め、列に並んで注文し、商品を受け取って車に戻るまでの所要時間を測るのです。「ゴンチャはいつも人が並んでいますね。売れていますね」とよく言われるようですが、原田氏は、「それはよいことだとは思わない」と言います。「並びたくないからゴンチャには行かない」という客が並んだ客よりも多いからだというのです。

 現場に出ないと課題は見えてきません。現場に出て実際に客として並んで、客と同じような並んで待たされる苛立ちを経験して初めて見えてくる課題もあるのです。普通の経営者なら、「客が並ぶほど流行っている、よく売れている」と安心するのですが、「列を作っていること」に危機感を持ち、問題点を見つけ改善するのです。

 原田氏は、「お客様を並ばせ待たせてはいけない」と言い、多かったメニューを削除 しました。商品数が多いと客も迷い、店員のオペレーションも煩雑になって時間がかかります。こうしたことも現場に出て顧客体験をしたから分かることなのです。

 原田氏は、「子供は親の鏡」と言われるのと同じように、現場で起こっていることはすべて「経営者の鏡」だと言います。顧客を待たせるのは店舗が悪いのではなく、経営者が悪いのです。それは経営者の課題です。つまり、経営者が客を待たせない仕組みを作らなかったというのが問題で、現場に足を運んで体験し課題が見つかればそれを改善するのは経営者の仕事です。

2.真実は現場にしかない。

 山下氏は、「『原田さんから現場に行って子供の声を聞いた方がいい』と教えられ、現場に行って店長ではなく新人の話を聞くようになった」と言っています。これによって、現場の真実が分かるようになったというのです。店長などになるとだんだん忖度し良いことしか言わなくなるのですが、新人のアルバイトは嘘をつかないというのです(本当かどうかは分かりませんが)。

 原田氏は、商品を値上げすると、顧客から「なぜ値上げしたのか」と聞かれるので、本部が作成した「模範解答」がレジの裏側に貼るようにしていると言います。2人の店員に「実際どのように対応しているのか」「模範解答をどのように活用しているか」と確認したところ、1人はマニュアルを棒読みしていると答えました。もう1人のアルバイトは、「マニュアルは専門的で分かりにくいので『おいしくなったから』と伝えている」と返答したのです。この場合、専門的な用語を使って説明するよりも顧客の立場に立って「とてもおいしくしたのです。ぜひ召し上がって下さい」と答えるのが正解です。現場の声を聞いて初めて本部のマニュアルの問題点に気づいたというわけです。

3.データをうのみにせず、自分の頭で考える。

 原田氏は、「『データに基づいた経営戦略』にはそれほど期待していない」と言っています。大切なのは「自分の頭で考えること」、つまり「常に自分の心で考えることによって、お客様に感動を与えられる商品を生み出すことができる」ということです。

データが全く無意味というわけではありません。客観的なデータを分析してそこから必要な課題を見出し、それを生かして改善に結びつけるということは必要です。しかし、データを分析してそれを生かすのもすべて人です。データや数字だけに頼った経営では血や肉の通った経営はできません。経営の根幹は人です。それは現場であるとともに顧客(お客様)です。自分の頭で考えた心のこもった経営がお客様のためになるのです。

ココイチ流『行き当たりばったり』経営論」で書いたように、「現場主義」「お客様主義」「率先垂範」が経営の本質です。徹底した現場主義を貫くことが、顧客のためになるということです。