中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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戦略的健康経営

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で、7000人を超え7570人と過去最多となりました。その内訳は、東京2447人、神奈川679人、埼玉460人、千葉450人、愛知431人、大阪607人、兵庫284人、京都143人、福岡388人、北海道161人などで、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡を含む20都府県で1日当たり新規感染者数最多を更新しています。

今日午前0時から、東京、神奈川、埼玉、千葉を対象に緊急事態宣言が発令されましたが、全国的な感染拡大からすれば、1都3県だけの限定的な緊急事態宣言ではどれほどの効果が期待できるか疑問です。大阪府の吉村知事は、前言を翻して、兵庫、京都とともに緊急事態宣言の要望を政府に出すようです。状況が変化したのですから方向転換することは責められることではありませんし、迅速で適切な判断だと思います。愛知も緊急事態宣言の要請を検討しています。ただ、菅首相は、昨日の記者会見で、大阪をはじめとする関西圏、愛知などの緊急事態宣言発令に消極的な姿勢を示しています。相変わらず後手後手の対策で、今度は首都圏以外の地域で感染拡大が懸念されます(中途半端な緊急事態宣言なので首都圏での感染拡大が収まるとは思えませんが)。

昨日の菅首相の記者会見もひどいものでした。下を向いて原稿を読むだけ、心のこもった言葉で聞く者の心に響くようなものではなく、時折笑みを浮かべるなど、緊急事態宣言の記者会見にふさわしいものではありません。緊張感と危機感を持って、誠心誠意国民に協力をお願いする記者会見のはずです。絶賛された独メルケル首相の演説とは比べるべくもなく、欧米をはじめ全世界のリーダーの演説と比べてみても最低です。自分の言葉で喋らず人(官僚)が作った原稿を自ら咀嚼せず棒読みしているだけで、熱量も違いますから、当然です。

一昨日、尾身会長は「緊急事態宣言が出ても1か月で『ステージ3』相当に戻るのは至難の業だ」と言いましたが、昨日、菅首相は「1か月後には必ず事態を改善させる」と根拠のない発言をしました。今必要なのは具体的かつ強力な対策であり、今回のような中途半端極まりない緊急事態宣言では新型コロナを抑え込むことができないのは専門家の方々が言っているところです。

更に、「1か月で事態を改善できなかったらどうするのか」という記者からの質問に「仮定の話にはコメントを差し控える」とお得意の言葉で返しました。仮に今回の緊急事態宣言が1か月で事態を改善できる内容であるとしても、万が一事態が改善できなかった場合を想定し第2、第3の対策・代案を検討し準備しておくことが危機管理の基本です。こういうことも分かっていない人物に日本のかじ取りを委ねなければならない我々国民は悲惨・悲劇です。

また、昨日も書きましたが、未だに経済優先が頭にあり、中韓など11か国・地域とのビジネス関係者の入国は停止しないことを決めました。これでは変異種の流入を水際で食い止めることは不可能といってよく、感染力の強い変異種が国内に蔓延すれば感染者数は増加します。変異種は強毒化するとのエビデンスはないということですが、重症化率・死亡率が変わらないとしても感染者数が増えれば、重症者数・死亡者数は大幅に増加します。

政府自体を信用できず、自らの命と健康を委ねることができない以上、自分の身は自分で守るしかありません。ごく当たり前のことですが、密を避け、新しい生活様式を実践し、うつらない・うつさないための行動を全員で行っていくしかありません。しかし、駅や繁華街で、思いのほか人出が減少していないのが気がかりです。

さて、今日は、「5億円相当の広告効果も。”戦略的”健康経営に成功している企業の共通点」というヤフーニュースを取り上げます。

健康経営」というのは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等の健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。

経済産業省は、「健康経営銘柄」「健康経営優良法人認定制度」など健康経営に係る各種顕彰制度を創設し、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受ける環境を整備しています。

従業員の健康に投資することによって、中長期的な利益を生むとされる健康経営ですが、副業やテレワークが一般的となり、企業と従業員の関係が変わる中で、優秀人材の確保や離職率の防止にも力を発揮することが期待されます。

本記事は、どのようにすれば、経営戦略の一環として健康経営を増進し効果を上げることができるか、健康経営の投資効果を分析している山野美容芸術短期大学の新井卓二特任教授に話を聞いた内容です。

先ほども書いたように、健康経営は、従業員の健康増進が中長期的な収益につながることを見込み、健康管理を戦略的に実践することですが、元は医療費削減の目的で始まった子にの取り組みが、経産省の巧みな働きかけによって企業に広く伝わったものです。

しかし、新井氏は、各企業が経営効果につながる健康経営ができているかというとその数はかなり限られ、多くは労働安全衛生の延長線上に留まっていると言っています。

経営戦略として健康経営を実践する」ということは、具体的には、役員層が経営戦略としての健康経営に本気でコミットすることです。「健康経営優良法人認定制度」では、認定要件として「経営者による健康経営宣言の発信」や「経営者自身による検診受信」が挙げられていて、経営者が「健康が経営に資する要素である」と認識し積極的に参加することが大前提になります。

また、複数の部署が参画し、経営が分かる人材が運営することが必要です。つまり、経営者としての視点を持ち合わせている人材により、投資の観点から健康経営を回すことができるということです。一般的な産業保健スタッフ主体では、産業保健や安全衛生の知識は豊富でも、組織マネジメントの経験がほとんどないので投資の観点から健康経営を回すことはできません。

経営戦略の観点で健康経営を推進できている企業は、経営企画や人事のほか、広報、IR,そして労働組合など多くの部門が関わってきます。これは効果検証の上でも重要なポイントです。健康経営は間接投資に当たるため、費用対効果が見えにくいためです。例えば、高ストレス状態の従業員の減少が、離職や採用に与えた影響を測るには、ストレス対策を始める段階で、人事とコンセンサスを図っておく必要があります。健康経営をコストではなく投資として推し進めていくには、企業活動を意識した体制作りが欠かせません。

1.健康経営を取り入れることの効果

  1. コミュニケーションの活性化・・・健康とパフォーマンスは関連性が高いため、仕事の質や量、働き方について、上司・部下・同僚間での話し合いが必要。また仕事以外での会話も増える。意思疎通がスムーズにいくと従業員のヘルスリテラシーが高まり、メリハリのある働き方を実践するようになるので、生産性も向上する。
  2. 外部に対するイメージアップ効果・・・健康経営銘柄や健康経営優良法人に認定されると、メディアも取り上げ、企業イメージが上がる。取引先、従業員、家族にポジティブな印象を与え、リクルートにもプラスに働く。
  3. 医療費の削減・・・期待される医療費の削減は、短期的に見るとむしろ増加傾向にあり、ストレスチェックや産業カウンセリングの実施などでメンタル不調の早期発見が促され、休業率も一時的に高くなる。しかし、これまでなら離職に至っていたケースを未然に防ぐことができ、企業にとっても戦力の喪失や採用への影響などのダメージを軽減できる。

2.健康経営成功企業に共通する特徴

  1. 健康経営をけん引するタレントの存在・・・経営を説得し行動に移せるようなキーパーソンが存在する。健康は一人ひとりに密接している。健康経営ならぜひやりたいと手を挙げる人がいるはず、そうしたタレントを組織から発掘することが手始めとして大切だ。
  2. 広報の存在・・・健康経営の成否のカギは広報戦略にかかっている。企業ブランディングを意識し、経営戦略と絡め効果的なタイミングでプレスしたり、適切なメディアを選択したりすると、外部に与えるインパクトは大きく変わる。社内広報においても広報の力を借りて従業員に違和感なく伝えることが大事だ。
  3. 独自の健康哲学がある・・・健康経営優良企業の基準を満たすことを目指すのではなく、自分たちの組織にとって望ましい「健康な状態」を定義し、その達成に向けていろんな施策に取り組んでいる。最初は、経産省の基準を満たすことを目指してもいいが、今後は自分たちの組織に根差した健康経営の狙いを定める時代がやってくる。

健康経営を進めるうえで気を付けるべきこととして、「経営と現場の乖離を避けること」が挙げられています。いくら健康上正しい施策であっても従業員に支持されないと浸透しません。自社の健康課題や従業員のニーズをリサーチできている企業は、うまく運営できているのです。アンケートやヒアリングを行って、従業員とともに健康経営を作り上げていく仕組みが重要です。

新型コロナの影響で、働き方改革が加速しました。しかし、新井氏は、「働き方改革が健康経営にポジティブに作用することはない」と言っています。副業などにより却ってワーカホリックな状態を引き起こし、健康被害を招くことも考えられますし、テレワークなどで従業員がオフィスから離れることで健康管理を個人に任せることにもつながるからです。しかし、逆に「健康経営が働き方改革にポジティブに作用する」ことは明らかです。健康管理の観点からか労働を抑制したり、メリハリのある働き方を実践したり、ストレスケアに力を入れたりすることにつながるからです。

今後ますます健康経営が重要になってきます。新井氏は、健康経営抜きに経営を語れない時代が来ると言っています。

コロナ禍の今だからこそ、健康経営を考える時期かもしれません。