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ジョブ型とメンバーシップ型のハイブリッド雇用

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5819人、そのうち東京766人、神奈川269人、埼玉192人、千葉132人、愛知666人、岐阜132人、大阪477人、兵庫242人、京都134人、岡山134人、広島222人、福岡500人、沖縄203人、北海道604人などとなっています。大阪はピークアウトし減少に転じていますが、緊急事態宣言延長後も百貨店などの大規模施設やイベントの休業要請を継続したことが功を奏したものと思われます。緊急事態宣言を延長しても中途半端に緩和した結果ピークアウトしたものの減少に転じず高止まりしている地域や増加している地域があります。沖縄が緊急事態宣言発令を要請するようですが、もっと早めに出すべきでした。結局は相変わらずの後手後手の対策になりそうです。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「新時代の雇用制度、理想はジョブ型とメンバーシップ型の『ハイブリッド』だ」を取り上げます。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用についてはこれまでも何度か書いてきましたので、あえて付け加えることはありません。しかし、その時にも書きましたが、欧米型のジョブ型雇用が絶対的によいというわけではありませんし、欧米型のジョブ型雇用をそのまま日本に持ち込んでもひずみが生まれます。日本の社会や企業文化に適した「ジョブ型雇用とはどのようなものか」「メンバーシップ雇用の利点をどのように残すのか」を時間をかけて考えながら自社に適した雇用形態を採用すべきです。これもコロナ禍の働き方改革であるとか「他社が導入したから自社も」と安易に飛びつくことなく、目的と手段を混同せず、じっくりと時間をかけて検討すべきことなのです。

この記事によれば、欧米を含めた優れた企業は、ジョブが型とメンバーシップ型の良い部分を上手に取り入れ、「ハイブリッド型」の雇用制度を実現していると言っています。これまで「ジョグ型がいいのか、メンバーシップ型がいいのか」と二者択一的に議論されてきた傾向がありますが、そもそもジョブ型とメンバーシップ型は相反するものではありません。ジョブ型とメンバーシップ型の両方の利点を取り込むことは可能なのです。その両方の利点を取り入れた雇用形態が「ハイブリッド型」です。

この記事では、「ハイブリッド型」の説明の前に、それぞれの弊害について説明されています。改めて、メンバーシップ型雇用の弊害とジョブ型雇用の弊害を見ておきます。

1.メンバーシップ型「4つの弊害」とジョブ型「5つの弊害」

 メンバーシップ雇用というのは、仕事や勤務地などを限定せず候補者はポテンシャルや人柄などを考慮して採用され、社員が転勤や配置転換によって様々なポストを経験していく雇用形態で、日本ではこれまでの一般的な雇用形態で終身雇用・年功序列・新卒一括採用と結びついています。職務内容があいまいであることが多く、成果を客観的に評価しにくいものとなっています。

 一方、ジョブ型雇用というのは、求人時点で職務内容や勤務地、責任範囲をジョブ・ディスクリプション(職務記述書)で明確に定められており、労働者はその内容に自分の希望やスキルがあっていれば応募します。ジョブ・ディスクリプションが更新されない限り、配置転換や昇給、キャリアアップはありません。成果主義と結びつきやすい性質を持っています。

 (1) メンバーシップ雇用の弊害

  1. 内集団バイアス・・・自分たちは優秀だ、よそ者を評価しないという意識
  2. 集団的浅慮・・・異議が唱えにくい、オープンイノベーションが進まない
  3. 多様性への不信感・・・中途採用者をよそ者扱い
  4. フリーライドの許容・・・働かない人も高い給料、温情人事

(2)ジョブ型雇用の弊害

  1. 協働・・・多くに仕事は一人で完結しない。チームビルディングを意識すべき
  2. 組織市民行動・・・仕事と仕事の間、組織と組織の間にある仕事を拾う人がいなくなる。
  3. カルチャーフィット・・・経験やスキルからジョブを担えても仕事に向かうスタンスや仕事の仕方が合わないというケースがある。
  4. 適職・・・自分が向いている仕事を自分で理解していることが前提になるが、実際にやってみないと分からないことも多く、機会を喪失する可能性もある。
  5. 育成・・・全く新しい環境に適応する過程で人は成長するが、ジョブ型だと異動させにくいので成長の可能性を阻むことになる。

2.欧米優良企業や日本の優良IT企業は「ジョブ型+メンバーシップ型」

 人間は、もともと愛国心や愛校心などを持ち、どこに所属しているかが自分のアイデンティティを形成していると言えます。社会的なつながりや組織への貢献が自分の幸福度を測る指標ともなっています。心理学的に見て、人間はメンバーシップ型なのです。その意味では、メンバーシップ型の前提である「カルチャーフィット」が重視されているのです。

 この記事で挙げられている、セールスフォース・ドットコム(米国カリフォルニア州に本社を置く顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業)は、お互いを家族のように大切にする「Ohana」という文化があり、これにフィットするかどうかを重視して採用活動を行っています。またグーグルはあいまいで不明瞭な環境を楽しみつつ、解決方法を見つけられる自主性を持つ「グーグルらしさ」があるかどうかが採用基準になっています。このように欧米の優良企業でも選考時から自社の独自のカルチャーにフィットするかということを重視しており、メンバーシップ型の利点を取り入れています。日本の優良IT企業もすでにジョブ型の採用と運用を行いつつも、メンバーシップ型の利点を残しています。

3.メンバーシップの弊害がなければジョブ型導入の必要はない

 いつも言っているように、ジョブ型が流行りだからといって飛びつく必要はありません。そもそも何が問題なのか、自社の課題を問い直すことがスタートです。

 例えば、年功序列型の人事で働いていないのに高い給料をもらっている人がいる温情人事という問題があるとします。これは高い給料に見合った仕事がないことが問題なのです。給料に見合った仕事を提供できれば、制度を変える必要はなく、問題は解決します。仕事に見合った報酬を提供できるような人事制度に変えればいいだけです。この場合、あえてジョブ型雇用を導入する必要はありません。

この記事では、プロのスポーツ選手を例にとり、「プロフェッショナルとして個人の役割を全うしながら、チームのために協働する」ように、ビジネスにおいても「個人がプロフェッショナルとして働きながらも、メンバーが協働する」ことが必要で、企業は自社に合った形でメンバーシップ型とジョブ型のちょうどいいハイブリッド型を模索すべきだと言っています。

メンバー氏z津プ型雇用にもジョブ型雇用にもメリット・デメリットがあります。それらのメリット・デメリットを考慮しながら自社に合ったハイブリッド型を模索すべきです。