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顔の見えない時代のチームワークとマネジメント

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1709人、そのうち東京501人、神奈川210人、埼玉87人、千葉113人、愛知110人、大阪108人、兵庫34人、広島27人、福岡40人、沖縄115人、北海道88人などとなっています。政府は、8都道府県に出されている緊急事態宣言について沖縄を除く7都道府県は解除し、広島(完全解除)以外の6都道府県はまん延防止等重点措置に移行させることを決定しました。また、それに伴い、まん延防止等重点措置が取られている地域での酒類提供を午後7時まで認めることにするようです。政府分科会は、オリンピックとは無関係という政府の言を信じ、「大規模イベントについて1万人を上限として観客を入れる」ことを認めましたが、二枚舌の政府の言うことを鵜呑みにしてはいけません。あくまでもオリンピックで観客を入れるための布石でしかありません。今回の緊急事態宣言解除、規制緩和もすべてオリンピック開催に向けての布石です。オリンピック開催前に変異株による第5波が襲来し再び緊急事態宣言発令ということにならないことを祈るばかりです。万が一そのような事態になった時は、オリンピック開催という理由で発令を先延ばしするのではなく速やかに発令すべきです。発令が遅れさらに感染拡大し多数の死者が出るようになれば、それこそ人災、政府・菅首相の責任です。

さて、今日は@ITの「顔色が見えない時代のチームワークとマネジメント」という記事を取り上げます。

コロナ禍でテレワークが導入され、緊急事態宣言で飲み会もなく、外に出る機会も大幅に減った人も多いと思います。コロナが収束しても新しい働き方としてテレワーク、リモートワークが定着するかは未知数ですが、働き方が変化していくことは間違いありません。

この記事では、テレワークを続ける日々で、われわれの仕事がどのように変化していくのか、それに対して、われわれはどのようにしたらいいのかが語られています。

1.顔色が見えない時代

 これまでも何度も書いていますが、テレワーク、在宅勤務で問題に挙げられるのが「コミュニケーション」です。テレワーク、在宅勤務は、通勤の時間や疲労もなく、自由に仕事ができるというメリットはありますが、オフィス勤務と違い上司や同僚に相談するということもしにくく、上司は部下の管理に目が届かずというように、コミュニケーション不足が問題となります。

 昨日も書きましたが、対面のコミュニケーションと違い、メールやチャットでは、伝達される情報が激減します。相手の表情やしぐさ、抑揚・イントネーションから相手の感情を読み取ることができません。オフィス出社なら、挨拶や顔色で「今日は元気がないな」と気づき、声掛けをして悩みや抱えている問題の相談に乗ったり、息抜きをするタイミングで雑談をする機会があります。テレワークでは、気軽な声掛けや息抜きの雑談などができにくくなります。

 テレワークで、上司や同僚に何かを相談しようとすると結構面倒です。

 相談したい → 「今会話できますか」とチャットで呼びかける → 返事がない  → 相手のカレンダーで予定を確認する(別の会議中) → 相手の予定の空き時間を探す → 相手の空き時間に再度呼びかける

 このような流れになることが多いのです。面倒くさ過ぎてやる気が失せ、「相談したい」「会話したい」と思った瞬間の熱意が冷めてしまったりします。この諦めてしまった会話の中に、仕事の不安やトラブル、プライベートな悩み事が含まれていれば、本人だけでなく、チームや会社にとっても大きな損失になりかねません。

 テレワークの時代というのは、相手の顔色が見えない時代なのです。

(1)顔色が見えない時代の「チーム」

 現代の仕事の多くは複雑で、一人でできるものではなく、チームで取り組んで成果を出すというものです。それはテレワーク下の仕事も同じです。

 テレワークでもチームで仕事をすることになりますが、テレワークの期間が長くなると、これまで一度も顔を合わせたことのないメンバーとオンラインで一緒に仕事をするという機会が増えてきます。顔色が見えない時代であっても、チームとして一緒に仕事をする以上、チームが抱える問題や課題を共有し解決し成果を上げるためにメンバー間のコミュニケーションがしっかりと行えなければなりません。

(2)顔色が見えない時代の「マネジメント」

 テレワーク下では、チームとして仕事をするのも大変ですが、そのチームをマネジメントしていくことはもっと大変です。マネージャーにとってオフィス勤務の時にできていたメンバーの「困った顔」や「ため息」のキャッチができにくくなっています。オフィスであれば、カジュアルな立ち話で済んでいた進捗確認も、テレワークでは、カレンダーを見る→空き時間を探す→チャットにつなぐ→会話をする という手順を踏まなければならず面倒です。

 また、コミュニケーション不足を思い、何らかの方法で会話や雑談をしようとしても、マネジャーもメンバーも慣れていないので、対面では何の問題もなくできていた会話や雑談がぎこちなくなり、緊張したり身構えて何を話していいのかわからなくなってしまいます。

 また、マネジャーの重要な仕事である「メンバーが成果を出せるようにサポートする」ということも相手の顔色が見えずに難しくなってしまいます。

2.チームのアップデート

 テレワークが前提になると、コミュニケーションが難しくなり、チームワークが難しくなり、マネジメントが難しくなります。しかし、「難しい」と嘆いていても仕方ありません。テレワークに対処するために、今までのやり方をアップデートしなければなりません。

 チームで成果を出すために、最も重要なものは「心理的安全性」です。この「心理的安全性」というのは、「成果を出すチームに共通の重要な因子である、人間関係のリスクなしに議論や実験が行える雰囲気」のことです。テレワーク下ではこの心理的安全性の需要はさらに高まります。

 テレワークでは、対面のコミュニケーションではそれほど問題とならない「会話の品質」によってコミュニケーションが阻害されてしまうのです。マイクの音質、周囲の雑音、通信回線の状況などによりコミュニケションが妨げられ、聞き取れなかったことをその場で聞き返して確認するということに気後れしてしまいます。心理的安全性があれば、躊躇することなく聞き返すということができるようになります。

 心理的安全性は、チームで成果を出すためのチャレンジを奨励し、学びを共有し、建設的な議論を促すために重要なものです。それに加えて、テレワークの「顔が見えない時代」では、不足しがちなコミュニケーションを補うためにも重要なものになっています。

3.同期を取ろう

 テレワークの時代になると、日々の業務は。1人でもくもく作業を進める(非同期)⇒時々ミーティングや相談で会話をする(同期)というようになります。これでは非同期が主流になってしまいます。テレワークでも、オフィスでも、同期的に相談してタスクを分担する→非同期に個々がタスクを進める→集まって相談し状況を同期する という流れが必要です。オフィスでは「ちょっといいかな」と簡単な相談(同期)ができますが、テレワークでは難しくなります。同期の頻度が下がり、非同期でタスクを進める時間が長くなると、発生する「手戻り」のダメージが大きくなってしまいます。同期コミュニケーションでは、コミュニケーションを通じてブレ・ズレを修正し方向性を一致させることが可能ですが、非同期の時間が長くなればなるほど、ちょっとしたズレやブレが大きな差となり最終的には修正不可能になってしまいます。手戻りのダメージを小さくするために、テレワークだからこそ小まめに同期を取ることが必要なのです。そのためにはカジュアルに相談できる「心理的安全性」が重要です。

4.マネジメントのアップデート

 テレワークになってマネージョーは顔色を見ることで得られる情報が少なくなり、そのためにマネジャーの仕事は増えています。仕事が増えたことによる忙しさがメンバーにも影響を与えます。「忙しそうだから声をかけるのをやめよう」とか「ちょっと相談したいことがあるけであとにしよう」というようにメンバーが気を使い、かえってメンバーの情報収集がますます難しくなるのです。下手をすると「なんでもっと早く相談してくれないんだ」と手痛い失敗をしてチームにも大きな損失となりかねません。

 マネジャーは仕事量が増えたことを自覚し、情報の質、量を見直し、仕事の優先順位をつけていくことが求められます。

 特に、テレワーク下では「コミュニケーションデザイン」という仕事が重要になっています。それは、メンバーとマネージャーの、メンバー同士がチームとして行うコミュニケーションをデザインするという仕事です。

  1. 同期・・・デザインすべきコミュニケーションの一つは、同期です。作業の方向性がずれたまま進んでしまうことによる手戻りを防ぎ、仕事の効率を上げていくのがマネージャーの仕事となります。チームとして理想的なのは、メンバー同士が自発的に同期を行い、効率よく進めてくれる状態です。そのためにマネジャーは、問題を提起しメンバー各自に認識させることで、実際に同期する機会を提供することが必要です。
  2. 雑談・・・雑談の重要性はこれまでも何度も書きました。仕組みとして雑談をデザインすることで、チームに雑談の習慣ができることが大切です。仕組みによる雑談でコミュニケーションの障壁を減らし、相談しやすい空気を耕し、心理的安全性を育てていくことです。
  3. ファシリテーション・・・ファシリテーションとは、会議や研修、ミーティングなどで良質な結果が得られるようにサポートしていくことです。単にデザインした「機会」をメンバーに丸投げするのではなく、「場」へと成長させていくことがマネージャーの仕事です。具体的には、コミュニケーションの目的を見失わないようにリードする、特定の人がじゃべりすぎたり黙ったりしないようにケアする、予定された時間内で終わらせるようにタイムキープするなどです。

コロナ禍でテレワークが導入されましたが、コロナが去った次の時代でも新しい働き方としてある程度は残っていくように思います。オフィスワークでもリモートワークでもコミュニケーションは極めて重要です。コミュニケーションの機会が増えれば、メンバーとの信頼関係を育てる場にもなります。コミュニケーションによって「経験値を形式知化する」ことができますし、マネージャー自身にとってもフィードバックを得られるような関係を構築すること、マネージャー自身も成長することが重要です。

リモートでも対面でも、より良いコミュニケーションができ、その結果としてチームが生き生きと働き、成果を出していけるように、マネージャーとして何をするべきか、を考えることが必要です。