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コロナ禍で低下したモチベーションへの対処法

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で19,311人、そのうち東京3081人、神奈川2362人、埼玉1463人、千葉1207人、愛知1385人、大阪2389人、兵庫916人、京都469人、福岡957人、沖縄580人、北海道359人などとなっています。日曜日ということもあり2万人は下回りましたが、全国の重傷者は2070人と17日連続で過去最多を更新しています。モデルな生ワクチンの異物混入で、接種直後に2名の方が亡くなっています。厚労省は因果関係は不明としていますが、有耶無耶にすることなく、異物混入の原因を究明するとともに、亡くなった方や副反応が出た方には真摯に対応して行うべき補償はしっかりとすべきです。

さて、今日は、キャリコネニュースの「部下のやる気が崩壊、管理職のモチベーションも限界・・・一体どうすればいい?」を取り上げます。

この記事では「コロナの影響で目標達成が全く見えず、メンバーの士気が下がっている。目標は下げられない。メンバーのモチベーションをどう上げたらいいかわからない。そもそも、自分自身のモチベーションも上がらない」といった相談に対し、こうした状況を打開する方法が説明されています。

コロナ禍で、新型コロナ関連の倒産件数は1850件で(帝国データバンク)、東日本大震災後10年間の震災関連倒産に匹敵する数字になってきています。業種別では、飲食、建設、宿泊と続き、依然として厳しい状況にあります。このところの新規感染者数の推移をみると、9月12日に緊急事態宣言解除は難しく、デルタ株による感染爆発から、いつ解除できるのか全く先行きが見通せません。

1.先の見えない時代に必要なこと

 先が見えない状況では、すべての人が不安感を抱き、上司もメンバー(部下)も心身ともに疲弊し、モチベーションを高めたり維持することが難しくなっています。こんな時こそ、仕事の目標や人生の目標を自分自身で見つけていく力が必要です。

 企業は、いかに未曽有の危機に直面したとしても、「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を、それぞれの資源の特徴を生かしながら統合し、複数の人が共に働く持続的な協働体系に仕上げ、市場での戦いに勝ち抜いていかなければなりません。その中で最も重要な経営資源は「ヒト」ですが、「ヒト」という経営資源を最大限生かすには人間関係やモチベーションのような非経済的な動機が重要になるのです。

 こうした中、社会学・心理学など多様な学問を包含している行動科学が経営学に取り入れられ、「人間は何によって、またはどのように、特定の行動に動機づけられていくのか」が研究されたのです。

 モチベーション(動機づけ)は行動又は活動を喚起させ、それを維持し、そのパターンを統合していくプロセスであり、具体的には、従業員の持つ様々な欲求や期待を、企業がいかにして充足し、積極的な行動に向かう彼らの意欲・原動力を掻き立てるか、ということです。

モチベーションに関する理論には、マズローの欲求5段階説、アージリスの未成熟=成熟理論、マグレガーのX理論・Y理論などがあります。マズローの5段階説やマグレガーのX理論・Y理論については、2021/3/5「『ご褒美型』では効果薄!モチベーションを上げる方法」で書いていますので参考にしてください。

 この記事では、ハーズバーグの動機づけ=衛生理論(二要因理論)が取り上げられています。

 ハーズバーグは、「嫌な経験(職務不満足)」の要因を「衛生要因」と呼び、「良かった経験(職務満足)」の要因を「動機づけ要因」と呼んでいます。

 衛生要因(不満足要因)は、生命喪失、飢え、痛みなどの不快を避け、安全を図りたいという回避欲求で、欠乏すると職務不満に結びつき、充足しても不満の減少にはなるが積極的満足にはつながらないものです。「不満」の反対は「満足」ではなく「不満なし」にしかすぎないのです。

 一方、動機づけ要因(満足要因)は、継続的な生悪心的成長にお寄り、自らの潜在能力を実現したいという欲求で、充足されれば職務満足に結びつき、欠乏しても必ずしも不満の増大にはならないのです。「満足」の反対は「不満」ではなく「満足なし」ということです。

 したがって、給与や物理的な作業環境などで、従業員が感じている不満の原因を取り除いても、不満を緩和させるだけで、従業員の動機づけにはつながりません。従業員の仕事に対する動機づけを高めたければ、仕事の達成とその承認といった仕事そのものにかかわる要因を重視しなければならないということです。

 ハーズバーグは、「人間を満足させて仕事へと動機づけしていくためには、『動機づけ要因』に働きかけていくことが必要であり、そのために『職務充実』を図らなければならない」と言っています。ここでの「職務充実」とは、職務上の判断、洗濯など担当者の自己裁量をもっと認め、現在の職務の中に、計画や統制などの管理的要素を付加して責任や権限の範囲を広げ職務を垂直的に拡大することを言います。

 簡単に言えば、例えば、仕事の成果を認められること、責任ある仕事を与えられること、承認欲求が持たされること、重要な決定に参加すること、自分の成長を実感することなどです。

 この記事では、上司自身とメンバーの衛生要因と動機づけ要因の現状を整理することが重要であると言い、その際、以下のポイントで整理することを勧めています。

  1. 仕事の目的に対して役割と目標達成状況
  2. 役割に対する承認行為(結果とプロセスに対する承認を分けて整理)
  3. 売上達成以外での達成要因や成長要因の有無

2.どんなことをすればいい?

 ここでは、内発的動機と外発的動機について説明されています。

 内発的動機というのは、「内面に沸き起こった興味・関心、好奇心や探求心、意欲」などを言い、外発的動機は「アメとムチ」のように外から刺激を与えることです。

 上司もメンバーも、モチベーションがなかなか上がらないときには、内発的動機に焦点を当てた施策を考えるのがいいのです。

 内発的動機づけが得やすいのは、仕事の中で「自分の能力を発揮できている」『自分自身で目標を定め、計画を立て、実行している」といった感覚があるときだとされています。目標や目的が明確に定められている、できるという感覚が感じられる、自己裁量権が与えられていると感じられる、チームに安心やつながりが感じられる、上司のサポートがある、キャリア目標があるなどです。

 この記事では、次のような施策例が紹介されています。参考にしてください。

  • チームの目標や目的をチームメンバー全員で考えるワークショップの開催
  • これまで培ってきた能力とこれから育んでいきたい能力を明確にした勉強会
  • メンバーの自己裁量権を伝える1on1ミーティングの開催
  • 現在の悩みや課題をチームで共有する泥吐きの場の開催
  • 外部講師を招いてのキャリア研修会

コロナ禍で企業・個人も誰もがが苦しい時期です。こんな時だからこそ上司と部下との対話、人との対話を大切にしつつ、仕事や個人の目標を明確に定め、前向きに進んでいきたいものです。