中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 ザ・コーチ 最高の自分に出会える「目標達成ノート」

f:id:business-doctor-28:20210904081511j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で16,738人、そのうち東京2539人、神奈川1869人、埼玉925人、千葉1163人、愛知1720人、大阪2305人、兵庫870人、京都372人、福岡732人、沖縄507人、北海道251人などとなっています。検査数によるものなのか、減少傾向にあるものなのかはわかりませんが、先週よりは減少しています。政府分科会でワクチン接種で制限を緩和するかどうかが議論され、政府が検討しているロードマップでは、緊急事態宣言下でも感染対策を行った飲食店での酒類提供や営業時間の制限を緩和することが盛り込まれています。しかし、新規感染者数が一日当たり2万人近くいて重傷者も最多を更新している状況で、宣言緩和の議論をすることは、国民に謝ったメッセージを届けることになりかねません。デルタ株の感染爆発、更にはワクチンの効果を弱めるミュー株の出現、ワクチンを接種しても感染するブレークスルー感染もありうることから、集団免疫の獲得は困難な状況です。誤ったメッセージの発信で国民の意識が低下しさらなる感染拡大につながるのではないかと懸念します。

急転直下、菅首相が総裁選不出馬を表明しました。表向きは「コロナ対策に専念したい」と言っていますが、本気でコロナ対策に取り組みたいのであれば、再選を目指してコロナ対策を重点課題として取り組めばいいはずです。実際は、自民党の若手・中堅層を中心に「菅では戦えない」との「菅おろし」が加速し、総裁選での敗戦が濃厚だからでしょう。自民党史上、現職首相で総裁選に負けたのは福田赳夫ただ一人です。菅首相も、こうした不名誉な事態だけは避けたかったので、不出馬という選択肢を選んだものと思われます。なお、形勢不利で出馬を断念した総裁としては、鈴木善幸河野洋平谷垣禎一がいます(河野と谷垣は首相ではありませんでしたが)。この河野洋平の長男である河野太郎が、今回総裁選に出馬を決意したようです。河野家は戦前・戦後90年にわたり国政に議席を持ち続け、鳩山家、岸・安倍家と並ぶ政界の名門ですが、「総理になれない一族」と呼ばれています。祖父河野一郎も父河野洋平も総理の席に手が届きながら結局はつかみ取ることができず無念の人生を送っています。河野太郎が総理の座に就くことができるのかは見ものです。

さて、今日は、谷口貴彦著「ザ・コーチ 最高の自分に出会える『目標達人ノート』」(プレジデント社)を紹介します。この本の帯には、「最強のコーチは自分自身です。保証します。あなたの生き方が変わる本」とあります。また、帯の裏には本書が年齢や職業を問わず支持され続ける理由、読者から寄せられた感想として

  • 「やらなければいけない」が「やりたくなる」に変わる、すごい本!
  • 「変わる」とは本来の自分に「還る」ことだと知り、楽になりました。
  • こんなにもわかりやすい言葉で、こんなにも深く心に伝わるものか。
  • おぼろげだった「自分のやりがい」や「生きがい」が明確になりました。
  • 多くの自己啓発書を読んできたが、見える変化が現れたのは初めて。
  • 頑張っていおるのに成果が出ない営業マンや就活の学生さんにお勧め!

などと書かれています。

この本は、物語形式で書かれており、分かりやすく、読みやすくなっています。

主人公の星野(36歳)は、住宅メーカー営業部の万年係長です。人柄も良く、寄れなりに人望もあるのですが、いかんせん業績が振るいません。ある日、今月一番期待していた顧客に逃げられ、むしゃくしゃした星野は、いつもの公園にさぼりに出かけます。

犬を連れスケッチブックを手にした老人がベンチに座っています。星野は老人の隣のベンチに腰を下ろしますが、この老人との出会いが、星野の人生を大きく変えることになるのです。星野は翌週も公園に行くと老人が座っています。お互いに自己紹介すると、

この老人こそ、戦後の苦しい時代に、一代で大蔵建設を築き上げ、今ではいろいろな援助活動を行っている大蔵建設の会長、星野のあこがれの人でした。この日をきっかけに、大蔵会長の星野に対する個人授業が始まります。

ネタバレになるので、物語のストーリーは割愛します。短時間で読める本なので、興味があれば読んでみてください。

この本に書かれている言葉の中から役立つと思われる言葉を列挙しておきます。

  • 夢を持っているだけでは、いつまでも夢のままです。夢を夢で終わらせないためには、夢に向かって一歩踏み出し、歩き続けることです。そのために必要な人生の技が【目標の達人】になることです。
  • 世の中で何らかの達人になる人は、「知識」「道具」「能力」の3つのことを真剣に考え、優先して取り組みます。日々、達人になりたいと思う事柄についての知識を増やし、道具を整え、能力を強化するのです。目標についても同じです。
  • 大蔵会長からの宿題ー目標・目的・夢・ゴール・ビジョンの意味を5人以上の人に聞き、辞書で調べる。目標とは、目的を達成するために設けた目当て、目的は成し遂げようと目指す事柄。目的、ゴール、目標の関係を理解して、区別しながら、自分の人生の様々な場面で設定することが大事です。
  • 目標の達人になるには、どんな些細なことでもいいから、自由に「夢」や願望をリストアップし、その夢の中から、本当に心から実現したい夢をいくつか選んで、どうしてそれを手に入れたいのか、いつまでにどんな状態になりたいのかと言った「目的」や「ゴール」江尾ハッキリさせる。次に、そのゴールを手にするために、具体的な目印や通過点といった「目標」を設定する。ゴールに向かう行動を促進するために、ゴールを手にした瞬間の「ビジョン」や上手くいったときのイメージを繰り返し心の中に描く。
  • 夢、目的、ゴール、ビジョンを明確に設定して行動していくことで、自分が得られるベネフィット(恩恵)にはどのようなものがあるか?→①ゴールを目指すことで、どんな人間に成長したかが重要。②多くの共感者や協力者と出会い、さらに大きなことがなせる ③精神的に強くなり、更なる大きな決断の時に必要な勇気を手にする ④人と人との絆が生まれ、人生の宝を得る ⑤人生がワクワク感やドキドキ感にあふれた、感情豊かで感動的なものになる ⑥知識が増える ⑦選択肢が増す ⑧決断力が増す ⑨集中力が増してパフォーマンスが高まる ⑩失敗の体験から次の成功の糧を手にする ⑪可能性の扉が開き想像もしなかった未来の自分に会える ⑫精神的な視点が高くなり、人生で見る景色が変わる ⑬人生を存分に堪能できる
  • 夢やゴールを設定することを妨げているものは何か?→①他社との比較による批判や非難を受ける負の感情 ②結果だけで自分の価値を決められる評価 ③夢やゴールそのものに対して、他者の価値観に向けられる批判 ④結果による人格否定 ⑤弱みを克服することばかりを強いられる経験 ⑥学習性無力感 ⑦夢やゴールや目標に対する無知 ⑧変化に対する恐れ ⑨選択と決断に対する恐れ 
  • 目標はあくまでも目的のための通過点なので、いつでも再設定していい。目的には最後までこだわる方がいいが、目標はいくつもの選択肢がある。目標は最後までやり遂げるに越したことはない。結果はコントロールできないが、プロセスはコントロールできる。だからプロセスに全力を尽くし、結果は神に委ねる。
  • 組織において、部下にゴールを設定するときのポイントは?→①会社の目標と個人の目標の接点を見つけて共有する ②部下にゴールを設定する目的は、結果に対する責任を押し付けるのではなく、ゴールに向かう過程で部下を成長させること(ゴールに対する結果の責任は与えた方にある)③目的はゆるぎなく、ゴールを手にする方法は無限にあると知り、目標は柔軟に対応する ④ゴール達成を構成している要素を分解し、そこに期日と量と基準を盛り込んで旗を立てる ⑤自分に合ったゴールまでのたどり方に合わせて、ゴールや目標を設定する
  • ゴール設定をより効果的にするポイントは? ゴールの構成要素を分解して書いた設計図、ゴールを手にした時のイメージを書いた写真・絵・完成予想図、実際にゴールを手にする工程・行動計画を書いた施工図の3つ。
  • ゴールや目標を立てるときには行動が伴います。行動にはエネルギーが必要です。だから、自分にとって行動のエネルギーになるのが何かを明確にして、ゴールを設定すればいい。さらにほかの人の行動の動機を知れば、その人のゴールへの行動を、持ってサポートすることもできます。ゴールや目標に向かう時の動機となる感情が、やりがいや生きがいと言われる。
  • 生きがいややりがいにつながる目的とゴールをセットで設定する。ゴールのための行動計画を目標とすると、ノルマ化して意欲が下がる。目的やゴールは抽象度が高かったり、望む状態屋のボム結果を表しているので、自分でコントロールできないことも出てくる。目標は通過点なので、ゴールを構成している要素に分解して、いつ、何が、どうなっているかを表すもの。コツは、目標文の守護は必ず「私」にすることで、目標が自分でコントロールできるものになる。
  • やるべきことを目標にしてしまうと、自分への問いかけは「今日やるべきことをやったか」という閉じた質問になる。答えは「やったか」「やれなかった」で、発展や成長が感じられない。本来の目標とは、作業を消化することではなく、効果的に行動したり、行動から学習したりするための指標である。目標を、目的やゴールに対する通過点だと考えれば、自分への問いかけは「今日、目標に向けてどんなことをやったか」「もっと古プ科的に進むためにはどうすればいいか」という開かれた質問になる。開かれた質問から思わぬ気づきを得たり、発展的思考ができるようになる。目標に向かうということは、自分を成長させること、その道のりで出会う壁や課題を解決する思考力を磨くことが重要である。

この本は、単なる自己啓発書ではなく、ビジネスにも役立ちます。ビジネスにおいても、目的や目標を設定し、戦略を立てて、目的に向かって行動を起こしていかなければなりません。その際抽象的で漠然とした目的を念頭に突き進んでいくというのは難しいものです。目的達成のために目的を細分化し、それぞれの要素において具体的な戦略を打ち立て、段階的に進めていくことが大切です。企業経営においても、目的達成に至る方法・プロセスは多数あり、軌道修正しながら目的へと向かうのは個人の自己研鑽・自己啓発と同じです。

f:id:business-doctor-28:20210904120755j:plain