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「自己犠牲による忠誠」を強いる時代の終焉

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1147人、そのうち東京154人、神奈川123人、埼玉78人、千葉83人、愛知73人、大阪141人、兵庫78人、京都27人、福岡39人、沖縄40人、北海道19人などとなっています。もともと少ない月曜日ですが、東京、大阪ともに久々の100人台、このまま収束に向かってもらいたいところですが、新型コロナウイルスはしたたかです。人間が気を緩めるやいなや牙をむいて襲い掛かってきます。政府は明後日で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置を全面解除する方針ですが、時短営業は一定期間継続するようで、制限緩和を段階的に行うことは間違っていないと思います。ただ、飲食店の営業自粛や酒類提供禁止が新型コロナ感染者の増減にどの程度の効果があったのかの検証も十分に行われていません。営業自粛が一定の効果があったことは否定しませんが、その結果経営に苦しむ飲食店があることも事実で、その支援は必要です。一方で、協力金・給付金で焼け太りした飲食店もあることも事実で、国税が有効に使われたとは言えません。何が正解かわからない状況ですが、将来に活かすために十分な検証を行うことが今後のリスク管理に生きてきます。楽観論と間違ったバイアスに支配されていた菅政権は終わります。新政権ではしっかりとした危機管理を行ってもらいたいものです。

さて、今日はITmediaビジネスの「社員に『自己犠牲による忠誠』を強いる時代の終焉」という記事を取り上げます。

これまで、企業は労働者に長時間労働を強い、労働者は仕事に追われワークライフバランスを実現することは不可能でした。働き方改革関連法が成立し2018年4月から労働基準法をはじめとする8つの法律が順次改正・施行され、少しずつ労働者の意識も変わってきました。

企業経営は闘いです。経営環境は変化が激しく、何が正解かわからず、先が見通しにくくなっています。こうしたVUCAの時代において、生き残りをかけた戦いを行うには、一人ひとりの働き手のわがままを聞いているわけにはいかないことも事実です。働き手の力を結集し一丸となって進んでいくには自己犠牲をものともしない忠誠心で会社に尽くす姿勢を求めることは一見すると理にかなっているようにも見えます。確かに、それが働き手の志向と合致しているのであれば、これほど強い味方はありません。

実際、多くの企業は働き手に自己犠牲による忠誠心を求め、その精神が組織統制機能の軸になっているともいえます。しかし、そうした自己犠牲による忠誠心を強いる中で、パワハラ、過労死、自殺などの不幸な事例が後を絶ちません。

1.「美徳」から「危険な精神」へ

 上述のような痛ましい事件について、これまでは「臭いモノには蓋」で黙殺されてきました。しかし、時代の流れとともに、それが許しがたい社会悪として認識されるようになってきています。それには、これまで「美徳」と見なされていた「自己犠牲による忠誠」を時には命をも奪う「危険な精神」と見なす方向にシフトしたことが起因しています。

 このような価値観のシフトが社会全体で起きれば、働き手の志向や意識に影響することも事実です。社会全体の価値観のシフト、働き手の志向や意識の変化が徐々に進んでいる中で、新型コロナによるパンデミックが起こりました。このコロナ禍が、テレワークなど働き方改革に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。

 今は小さなパラダイムシフトに過ぎないものが、大きなパラダイムシフトが起きる予兆であるかもしれません。この記事では、今後どのようなパラダイムシフトが起き、それが採用市場にどのような流れを生み出すかについて3つのポイントを挙げて考察しています。

  1. 前例にない調整を必要とするケースの増加・・・AIなどに通じた特別の技能を持つ人材を好待遇で迎え入れたり、コロナ禍という非常事態の中で事業を動かしたりと、会社運営は異例の対応を強いられることが増えてきています。これは、これまでの延長線上に描かれた未来像に基づく事業計画に限界があることを示しています。
  2. 画一的ルールから個別最適ルールへ・・・働き手の志向に応じてテレワークを認めたり、副業をする社員が増えてきたりすると、特例とされてきた働き方と通例の働き方の垣根が分かりづらくなります。社員一人ひとりの勤務条件が異なることが当たり前となり、同じ時間に出社、同じ時間に休憩を取り、同じ時間に退社という画一的なルールが適用できづらくなり、それぞれの事情に合わせた個別最適でのルール運用へと移行していくことになります。
  3. 採用勝ち組と負け組の二極化・・・1、2で示した変化を見越して対応している企業と何も手を打っていない企業とで二極化が起こります。特にテレワークと副業への対応が顕著な差となって現れます。採用側と働く側の選択肢を一気に拡大させる市場を形成する流れに乗るか、あくまでも狭い選択肢に押し込められた市場に留まり続けるか、で勝ち組か負け組かに分かれるように思います。

2.新たな市場が形成されていく

 1から3の流れについては、これまで自己犠牲による忠誠を求め、働き手に対する強い拘束力で企業秩序を守ってきた企業にとっては受け入れがたいことかもしれません。しかし、社会環境が変化し、見通しがつかない時代になっていることは紛れもない事実です。この事実から目を背けていたのでは、持続的成長どころか、確実に衰退して生き残りをかけた戦いに負けてしまいます。まだ負け組として細々と生き残ることができればいいのですが、場合によっては社会や市場から完全に放逐されてしまいます。企業はゴーイング・コンサーン、生き残ることが使命です。

 上述の流れの中で新たにできた市場の中で戦っていくしか生き残る道はないのです。

コロナ禍で働き方は大きく変わりましたが、政府が働き方改革に乗り出したのはコロナ以前です。コロナ禍が働き方改革を加速しましたが、働き方改革は大きな流れであり、今後も続いていくものです。この流れに乗り遅れることは死活問題になります。

この記事が言うように、これまでのように会社が働き手に自己犠牲による忠誠を強いる時代は終わります。

これまで何度も書いていますが、経営は「ヒト、ヒト、ヒト」です。「ヒト」は使い捨てする経営資源ではなく、自己犠牲による忠誠を強いる存在でもありません。一人の人間として尊重されるべきものです。企業・経営者と働き手(社員)は対等の立場にあって、お互いがより良い関係・信頼関係を築き、お互いを高めていくことが大切です。そうすることによって企業も持続的成長が図れるのです。