休日の本棚 新しい「男」のルール
おはようございます。
昨日の感染者は全国で509人、そのうち東京66人、神奈川36人、埼玉22人、千葉9人、愛知33人、大阪78人、兵庫17人、京都9人、福岡21人、沖縄25人、北海道24人などとなっています。前週の同曜日に比べても大幅に減少しており、来週からは各地の新規感染者数を挙げるのを止めることにします。これまで注意喚起のために挙げてきましたが、新規感染者数を挙げてもあまり意味がなくなってきました。これまで通り、気を緩めることなく従来通りの感染対策を行っていくことです。再び感染拡大させないために、一人ひとりが頑張っていきましょう。
さて、このところ、ハーバード・ビジネス・レビューなどビジネス・経営に関する本や論文を紹介してきました。今日は、ちょっと気分転換で、肩の凝らない読み物、潮凪洋介著「新しい『男』のルール」(フォレスト出版)を紹介します。
コロナ禍で、テレワーク、リモートワーク、ワーケーションなど、新しい働き方のスタイルが出てきました。そして、人々の仕事に対する意識や価値観も変わりつつあります。しかし、今までと同じように仕事は苦痛であると思っている人も多いのです。
先日、品川駅のコンコースに大量に表示された「今日の仕事は楽しみですか。」という広告がネットで炎上し、撤去されることとなりました。「月曜の朝など気分が滅入る」といった感想を持つ人も多く、「不快」「社畜回廊」「ディストピア」などとの批判が殺到したのです。これに対して広告を出した企業が「配慮を欠く表現だった」と謝罪に追い込まれることになりました。
働き方改革が叫ばれ、ワークライフバランスを考える人が増えている中でも、「仕事は苦痛」「食うために働いている」的な考えを持つ人は減っていません。こういう人から見れば、「何が楽しいもんか」と不快に感じるのかもしれません。自分が好きなこと、楽しいことを仕事にしている人はほんの一握りです。自分が食うため、家族を養うために、上司に怒鳴られながらも耐えて嫌な仕事を続けていかざるを得ないのです。この広告を出した企業は、他の企業に比べ意識が高すぎるのかもしれません。そこの社員がこの記事を見てどう感じているのか聞いてみたい気もします。
今日紹介する「新しい『男』のルール」では、著者の潮凪氏は「仕事するように遊び、遊ぶように仕事をする。そういう男が勝ち残る」と言っています。「仕事をするように遊び、遊ぶように仕事をする」のであれば、品川駅の大量広告にも不快感を抱くことはないでしょう。
潮凪氏は、これからの勝ちのキーワードは「衝動」と「公私混同」であると言います。
人は、自分の「衝動」に従って行動することで、「精神的自由」「時間的自由」「お金の自由」を手に入れることができるというのです。
「衝動に従う」というのは、「心に浮かんだやりたいことをやる」ことです。本当にやりたいことであれば、それが仕事でも、遊んでいるときのように没頭し、成果を出すことができます。また、遊びの中からビジネスを生み出すこともできるというのです。
潮凪氏は、自分の中にある欲求を知ることが大切だと言います。
しかし、最近の若者(若者に限ったことではないかもしれませんが)には、「そもそも好きなこと、やりたいことが分からない」という者が多いのです。短絡的な論理ではありますが、教育によって、「他人と足並みをそろえるよう」に協調性というまやかしで個性が埋没させられているのです。自らの個性を作り出せないから、本当に自分がやりたいものが見つからないのです。
「これがしたい」という願望を持つことが大切だという潮凪氏の主張はその通りだと思います。自分の心の声に耳を傾け、自分の感覚に耳を澄ませれば、「何がしたいのか」を突き止めることができます。
それは、今の仕事の中にあるかもしれませんし、趣味の延長戦にあるかもしれません。潮凪氏は、仕事とプライベートの境界線がない生き方こそが、これからの時代を勝ち残る条件だと言い、これを「公私混同」の生き方と呼んでいます。
潮凪氏が言う「仕事をするように遊び、遊ぶように仕事をする」という生き方ができれば、どんなに素晴らしいことでしょう。それができないからこそ、多くの人は悩み苦しみ、品川駅の大量広告に不快感を抱いてネットに書き込み炎上させているのです。こうしたことにしか捌け口がないのかもしれませんが、捌け口を外に向けるのではなく、自分の中にある欲求に向けることが大切ではないかと思います。まずは自分の意識を変えることです。
この本は、「あなたが何がしたいのか」を突き詰める手助けをするために書かれています。
- 第1章 仕事と遊びの境界をなくす働き方・・・これから先の不安定な時代に、確実に成果を出していくための仕事の哲学について書かれています。
- 第2章 お金の臭覚を磨く男が勝ち残る・・・お金の臭覚を磨く方法について書かれています。
- 第3章 デカくなる男はアゲマンを捉まえる・・・あなたの可能性を最大限に高めてくれる女性(異性)との出会い方等について書かれています。
- 第4章 突出する男はライフスタイルをデザインする・・・その他大勢から抜け出すためのライフスタイルの作り方について書かれています。
- 第5章 最短で夢をかなえる男の美学・・・自己実現する男の美学について書かれています。
この本では、人生を劇的に変える55のルールが紹介されています。すべてを紹介するわけにはいきませんが、そのいくつかを紹介します。
- 男は仕事で磨かれる部分が多い。好きな仕事を一生懸命やっている人はいい顔になり、魅力的な雰囲気を発するものだ。輝く男は2種類。1つ目は、転職につき、その道で輝く男。2つ目は、普段も仕事は稼ぐためと割り切り、プレイべーとでもう一つ本当に自分を輝かせるための仕事や活動をしている男。
- 社畜にならない人は「2:6:2」の法則で仕事を効率化させている。人についていえば、20%がやる気のある人、60%が可もなく不可もない人、20%が足を引っ張る人、仕事で言えば、20%が上手くいく仕事、60%が可もなく不可もない仕事、20%がダメな仕事というわけです。付き合う相手や仕事についても切り捨てる冷酷さが必要である。
- 心が衝動的に「この人とつながりたい」と思える人とだけつながり、あるいは信頼に満ちた師弟関係のみ大切に維持すればいい。
- 嫌いな仕事、しっくりこない仕事、相性の悪い仕事では、どんなに努力しても成功できない。社外で本当の「好き」を探せ。
- 会社を辞めたくないけど「会社が嫌い」な人は、今すぐ、ダブルワークを始めよ。自分を表現し、自分を好きになる場所、自分にしかできない存在意義を自覚できる時間・休刊・人間関係をつくれ。
- 「私は無駄な時間を過ごしている」と認めてしまったほうがいい。そこで白黒つけた方が人生は好転する。いったん「切る」からこそ、有益で充実感に満ちた「努力」「苦労」を始めることができる。
- 充実感を得ながら、愛を抱き、周囲に心地よい風を届け、信頼されて人生を過ごす生き方をしたいのならば、最初の「愛の衝動」を絶対に失ってはならない。どんな仕事でも、最初に「仕事愛」「社会への愛」という衝動を抱くことができる。その衝動を大切に抱き続けることが重要なのだ。
- 欠点にとらわれて足踏みするのは時間の無駄でしかない。「できること」を徹底的に伸ばすことが重要である。
- 社会的影響力が強くなった時こそ、逆に以前より謙虚になる。過剰な自身も禁物である。
- 「居場所を変える」だけで人生は好転する。表情も物腰もオーラも変わり、全く新しい人生をはつらつと生きることができる。
- 「何かやってみたい」という衝動に駆られたら、まずはやるべき。「何かをやってみたい」という衝動を眠らせず形にすること。そこからすべてが始まる。
- 心を閉じて生きるか、開いて生きるか。このどちらのスタンスを選ぶかで、人生の色は大きく変わる。私たちは人生の中で幾度となく「心の開閉」を繰り返す。「開いて生きる時間」を増やし、前向きな感情で過ごしたいものである。
- 筋を通して生きることを意識すると、生きることが楽しくなる。筋を通すことで、「自分にはやましいものはない」という確信が持てる。筋を通す習慣が、いざという時に自分を強く信じられる心をつくる。誇りをもって、人生の勝負に挑める勇敢な心が築かれる。自分のために「筋を通した生き方」をすることで、人生に大きな変革をもたらす。
- 本当のインテリジェンスとは、多少否定的な表現をしなければならない場合も、「肯定的トーン」で「改善策を含めて表現できるセンス」のことを言う。
現在、多くに人が社畜に近い状態に陥っています。だからこそ、品川駅の大量広告に過剰な反応を示すのです。いかにすれば、社畜から脱することができるのかが、この本には書かれています。
本の題名は「新しい『男』のルール」ですが、男に限ったことではありません。第3章を除いて女性も読んで役に立つ本です。