中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

ミスが起きる原因

f:id:business-doctor-28:20210922080449j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5万4024人と全集同曜日を下回り、徐々に減少ペーシに入っていますが、重症者数1348人、死者数246人と相変わらず高い水準が続いています。3回目のワクチン接種ですが、全国の摂取率は全人口の23%程度で、まだまだ低いように思います。第6波の収束・まん延防止等重点措置解除は、3回目のワクチン接種がどこまで進むかが鍵となりそうです。しかし、私も含め、第2回目の副反応から3回目接種を躊躇している人は多いようです。今日の朝テレビで、「副反応が出たということは、出なかった人より抗体が多くでき効果が出ている」との説明があり、成程と納得しました。副反応を恐れず、仕事が落ち着いたら3回目のワクチン接種をしたいと思います。

さて、今日は、日経ビジネスの「『不注意だからミスは起きる』というのは大きな誤解」という記事を取り上げます。

ビジネスにおいても日常生活においても、ミスをするのは注意が足りていないからだと考える人は多いのです。部下がミスをすれば、「注意力が足りない」叱っているのではないでしょうか?

ミスをするのは、能力が低いからでしょうか? それとも注意力が散漫なからでしょうか?

1.ミスが発生するのは、個人の能力・性格・心構えが原因?

 些細なミスが大きな事故に繋がることもあります。場合によっては信頼を落とし、企業の存亡に関わることにもなりかねません。今はSNSで、すぐに情報が拡散してしまいます。ちょっとしたミスがその対応のまずさで炎上し、組織の根幹を揺るがす事態に陥ることもあり得ます。

 多くの経営者やリーダーは「打ちの会社はデキる奴がいないからミスが多い」「ミスしない優秀な人材が欲しい」などと、ミスを人の資質や能力のせいにしてしまっています。こうした経営者やリーダーは、「ミスをするな」「注意せよ」と意識を徹底するように訴えます。

 しかし、この記事が言うとおり、相手の心構え・姿勢・意識に訴えかける「内面にフォーカスするマネジメント」は「ミス・事故をなくすマネジメント」にはなりません。

 意識に訴えるだけでは、同じミスを繰り返すことになりますし、他の人が同じミスをすることも防げません。

 「いつ・誰が・誰に対して・どこでやっても」同じ効果が出る、高い再現性が認められるマネジメントでなければ、ミスや事故をなくすことはできないのです。

2.人間は「メリットのある行動」を選択する

 注意しても、マニュアルがあっても、ミスが起きるのは「人間の行動原理」に原因があります。

 人間は、結果にメリットのある行動を選択するものです。

 正しいやり方を教えられても、マニュアルやチェックリストがあっても、ミスがなくならないのは、「人間の行動原理」の方が勝るからに他なりません。

 このことを頭に入れて、ミスをなくす方法を考えない限り、ミスがなくなることはありません。

 この記事では次の2点が指摘されていますが、その通りだと思います。

  • マネジャーやリーダーがフォーカスすべきなのは人間の行動原理であり、そこから発生する具体的な「行動」
  • ミスや事故を防止するために、相手の「行動」をコントロールする必要がある。

3.上司の常識は部下の非常識

 相手の行動の背景にある者、すなわちミスが生まれる背景を知らなければなりません。職場でミスや事故が起きる最も大きな背景の一つが、「指示が曖昧で、どう行動していいか分からなかった」ということです。

 「分からなければ聞けばいい」という常識は通用しません。部下が上司に聞き返すのを求めるのは間違っています。聞き返すことで「叱られるのではないか」「能力が低いと思われるのでないか」と考えて聞くのを躊躇してしまいます。その結果曖昧に把握した上で事を進めてしまうのでミスが起きるのです。部下が指示の内容を正確に把握していないと言うことは指示を出した上司が悪いのです。上司の方が明瞭な指示を出し、部下が指示内容をちゃんと把握しているか確認しなければなりません。

  ミスや事故をなくすには、何よりも曖昧さを排除し、具体性のある言葉で指示を出すことです。そうすれば、具体的な指示にあった行動をとることがデキるので、ミスや事故は減ります。

 多くのミスは「曖昧な指示」から生まれています。指示を出す上司が具体性があると思っても、聞いた側からは何を意味しているのか分からないということもあります。

経験値も知識量も違う相手に対して、自分では分かったつもりで言葉を使っても、相手は理解できないということも多いのです。相手の表情を読み取りながら、本当に相手が理解しているか確認しながら指示を出すべきです。

 経験値や致死量は年配者の方が多いということを意味していません。若手が、「資料はグーグルドキュメントにアップしています」と年配者に伝えてもグーグルドキュメントの存在を知らないし、利用した経験のない年配者はいます。「しっかり報告しろ「レポートを挙げている」とトラブルが発生することになるのです。

4.MORSの法則

 相手の意識ではなく「行動にフォーカスし、その行動をコントロールしてミスの発生を抑えるためには、指示の言葉も「行動」を示していなければなりません。具体的な行動を指示する必要があるのです。

 行動科学マネジメントの「MORSの法則」が「行動」を定義してくれています。

  • M:Measured(測定できる)・・・どのくらいやっているのか数えられる(数値化できる)
  • O:Observable(観察できる)・・・誰が見ても、どんな行動か分かる
  • R:Reliable(信頼できる)・・・誰が見ても同じ行動だと分かる
  • S:Specific(明確化されている)・・・誰が見ても何を、どうしているか明確である

 この4つがそろって初めて具体的な言葉で表わされた「行動」になります。逆に言えば、この4つが満たされていなければ「行動」ではないということです。

 ビジネスで使われる「売上目標を達成する」「顧客目線で考える」「親切丁寧に説明する」「きちんと挨拶をする」というのは日常用語では「行動」に当たりますが、MORSの法則に従えば、行動には当たらないのです。MORSの法則の「行動」に該当するように、具体的に4つの条件を満たすように掘り下げなければ「行動」にはなりませんし、この4つの条件を満たさなければ曖昧で、恣意的な判断で行動する余地があり、ミスが起きる可能性が残されているのです。

相手の意識ではなく、行動そのものにフォーカスして、具体的な行動(MORSの法則で言う「行動」)を示す言葉で伝える。これを実践することで、ミスや事故を抑えることができるようになるのです。