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やる気を引き出す内発的動機付け

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3万6189人で、5月20日以来の3万6000人超となりました。東京は5000人を超え前週同曜日の2倍以上となり、47都道府県すべてで前週同曜日を上回り、島根・愛媛・熊本の3県は過去最多となっています。特に島根ではBA.5が猛威を振るい部活や施設などでクラスターが起きています。自粛緩和に伴う行動制限の撤廃、冷房での換気不足、BA.5への置き換わりなどで、第7波の襲来と言っていいように思います。いまのところ重症者数や死亡者数はそれほどではありませんが、既に過去2回のワクチン接種の効果は薄れてきているので、3回目、4回目とワクチン接種を行なっていない限り、コロナ感染者は増加し、重症者、死者数も増加すると思われます。3回目のワクチン接種を受けるとともに、これまで通りの感染防止策を採り続けるしかありません。

さて、今日は、プレジデントオンラインの「こうして社員はやる気を失う いつまでも部下の信頼を得られない上司に共通する『最悪の口癖』」という記事を取り上げます。

この記事では、「いかに部下のやる気を引き出すのか」に頭を悩ませている上司・管理職は多いと思います。この記事では「部下を信頼せずにすべてを決めるのも、反対にすべてを丸投げするのもダメ。重要なのは部下としっかりと対話をすること。対話がなければ、部下のやる気を引き出せない」と言っています。ビジネスは人と人との関係、少子と部下との関係においても信頼関係や人間関係の構築にコミュニケーションが重要であることは当然のことです。

1.部下に考えるスキを与えない過保護上司

 プレイヤーとして実績を上げてきた上司は、部下に任せるよりも自分でやった方が早いし確実だと考える傾向にあります。ついつい、部下のやり方に口出しし、ときには部下に任せられずに自分が率先してタスクをします。これでは部下が育つはずはありません。上司の重要な仕事は部下を育てることです。上司自らが率先して仕事をすれば短期的には効率よく成果を上げられるかも知れませんが、長期的には部下が育たず成果を上げることができなくなります。

 部下に仕事を任せないというのではなく、部下の仕事に口出ししたり、失敗しないように事細かな指示を出す上司もいます。これらは部下のことを思って親切心でやっているのかも知れませんが、これでは部下が自分の頭で考えて自主・自立的に行動を起こすことができません。「決められたとおりにやればいい」というのでは、部下のやる気を下げてしまいます。

2.部下に主体性を与える「内発的動機付け」

 人がやる気になる動機付けには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。「外発的動機付け」は、金銭・懲罰・名誉・昇進など報酬に基づく動機付けです。一定の成績を上げた社員に報酬を支払うインセンティブ制度や、成績優秀者の表彰など、多くの企業で「外発的動機付け」を取り入れています。

 「内発的動機付け」は、お金や他者からの評価とは事なり、内面から湧き起こる興味・関心や意欲に動機づけられて行動を起こすものです。「外発的動機付け」の場合、そこで得られる報酬そのものが目的となりますが、「内発的動機付け」では行動自体が目的となり、より主体的に取り組むことになります。

3.内発的動機付けを促す3つの要素

 「内発的動機付け」を促す要素として、ロチェスター大学の心理学者エドワード・L・デシは、提唱する「自己決定理論」で「人は生来、能力を発揮したい(有能感)、自分でやりたい(自律性)、人々と関係を持ちたい(関係性)という3つの心理的欲求が備わっている」と言っています。

 人は仕事をする中で、「自分は○○ができる」という「有能感」が実感でき、誰かの指示や命令ではなく自分で決定しているという「自律性」を感じ、同じ目標を目指す仲間との交流を通じて刺激し合う「関係性」を持つことで、やる気が出てくるのです。

 逆に言うと、これらを実感できない環境や関係性の中では、徐々にやる気を失っていくのです。上司やリーダーは自分の言動がこれらの環境を阻害していないか、「内発的動機付け」を意識した関わりや環境作りができているかを考えなければなりません。

4.極端な「任せきり」は却って部下の不安を生む

 これもで何度も部下の育成方法は「認めて、任せて、褒める」であると書いてきました。これは間違いではありません。「認めて、任せ」なければ、部下は成長の機会を得ることも成長もできません。「任せる」というのは、丸投げして、全く関わらないというのではありません。任せても、部下の行動にしっかりと目を向けて、部下が間違った方向に進まないように必要に応じてアドバイスをすることは重要です。また、部下が相談してきたときには、親身になって丁寧にアドバイスすることです。

 「任せた」という言葉は、部下を信頼しているように聞こえますが、部下からすると、本当に信頼されて(認められて)任せてもらったのか不安になることもあります。任せるところは任せ、アドバイスするところは的確にアドバイスするというメリハリが必要です。放任主義の丸投げでは部下の成長は望めません。

5.相互理解のための対話で共有

 人は一人ひとり価値観が違います。同じ会社で同じ企業文化・組織文化の中にいても、考え方や価値観が違います。特に正解がない時代においては、それぞれが考える正解も異なってきます。

 ビジネスは人と人との関係ですから、よりよい人間関係や信頼関係の構築には相互理解が必要であることは言うまでもありません。これは相手の考えや価値観を無条件に受け入れると言うことではありません。考え方や価値観が違うのは当たり前です。自分とは違う考え方や価値観があることを認めた上で、相手の存在をそのまま受け入れることです。

 相互理解のためにはコミュニケーションが重要であることは言うまでもありません。

 コミュニケーションで重要なのは、単に何を考えているのか、どんな価値観を持っているのかをするだけでなく、なぜそのように考えるのか、なぜそのような価値観を持っているのかという背景やプロセスを共有することも大切です。

 同じ事実や事象を見ても、どう捉えたか。何に着目したか、どう考えたかは人それぞれで、その結果、そこから生まれる結論も違ってきます。お互いの考えたプロセスを聞くことによって、相手を本当に理解できるようになるのです。

 場合によっては、「意見が合わない」と思っていた相手も、その考えの背景やプロセスを知ることで、理解できたり共感できたりすることもあります。

 多様な意見を理解し共有することで、新たなアイデアが生まれイノベーションに繋がることもあるのです。