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戦略人事

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で17万6554人で、東京では2万8112人(先週日曜日の1.58倍)となっています。政府は濃厚接触者の待機期間を短縮しましたが、医療機関や高齢者施設でも短縮して大丈夫なのかという懸念があります。万一、短縮した結果クラスターが発生し亡くなる人がでるような事態になれば、それは紛れもなく人災です。責任は誰がどのようにとるのでしょうか? 一律に短縮するのではなく、高齢者施設や医療機関などリスクの高い施設と一般社会とは区別し、それぞれに応じた基準を設けるのがリスク管理の基本中の基本です。また、政府は行動制限を行なわないまま現在の事態を乗り越えようとしています。行動制限しない代わりに何を行なうのか、国民はこの感染拡大に対してどのように対処すべきなのか、明確なメッセージを国民に出すべきなのに、岸田首相は何もしていません。安部の国葬だけは迅速に決断し、国民のための施策については決断が鈍い。困ったものです。

さて、今日は、日本の人事部の「9割近くの企業が『戦略人事』の重要性を認識しているが、実際に『戦略人事』が機能している企業の割合は約3割にとどまる」という記事を取り上げます。

「日本の人事部人事白書2022」によれば、業績の良し悪しに関係なく、「戦略人事が重要である」と回答した企業が約86.7%に上っており、多くの企業が戦略人事の重要性を認識しています。一方で、「人事部門が戦略人事として機能しているか」という質問に対しては、約66.7%が「機能していない」と回答しています。

このことから、戦略人事の重要性は認識しつつも、実際に機能している企業は約3割に留まっていると言うことがわかります。

1.戦略人事とは

 「戦略人事」というのは、人事部がこれまでのような管理的業務を中心とした対応から、経営戦略の実現を担う戦略部門へと転換すべきであるという考え方です。

 経営戦略と人事(人材)マネジメントを連動させることによって、寺社の競争優位の実現を目指そうというものです。これは、アメリカの経済学者デイブ・ウルリッチ氏が提唱した考え方です。

 「日本の人事部人事白書2020」によれば、戦略人事の定義について、「人財と組織を通じて事業に貢献すること」「経営計画の実現と人的資源管理のコラボレーション」「経営戦略を実現させる人事」「人で勝てる組織を構築すること」「事業部のビジネスパートナーになり発言力のある人事」というように、各社が置かれた状況や抱えている課題によって、その定義は多様です。このことからわかるように、戦略人事は一言で語れるものではないのです。「各社各様の戦略人事のあり方が存在する」ということです。

 業績が市況よりも良い企業の場合、これから10年、20年饒辺かを見据えた雇用、規定、要員確保、要員育成など将来に向けてのビジョンを明確に打ち出し、それを具現化するのが戦略人事であると、確固たる定義を持っているケースがほとんどです。一方で、業績が市況よりも悪い企業の場合、業績を回復させるための対応として戦略人事を定義しています。

2.戦略人事に求められるスキル

 従来、人事部の長と言えば、人事領域で垂直型のキャリアを積んでいた人がたどり着くポジションでした。しかし、戦略人事の重要性が認識されると、「一貫して人事」のキャリアは求められず、どこかのタイミングで「事業側」を経験した人が求められるようになっています。人事としての専門性よりも、「ビジネス」「経営」を理解していることが重視されているのです。人事領域に関するスキルだけでなく、経営視点から出来事を捉えるスキルが必要だということです。

 以前、「人的資本経営」で書きましたが、今後戦略人事の責任者に求められる要素として、次のようなものが挙げられます。

  • データ分析力・・・人的資本の最大化のための施策、更にそれを開示していくに当たって定量化が必要
  • 転職経験・・・1社だけの経験では、その会社の価値観や判断基準がすり込まれ、先入観にとらわれ、客観視できないという懸念。転職経験がなくても社内の色々な部署を経験し客観的な視点を持っていることが大切
  • 人への興味・・・「人の成長に興味がある」「人の成長を科学すること」にやりがいを感じることが必要

 ビジネスは人と人の関係ですから、スキル以上に重要なのはマインドです。よりよい人間関係や信頼関係の構築です。

 いまは、何が正解かわからず、社会や経済環境は刻々と変化しています。こうした時代には、リーダー自らが方向性を示し、周囲を巻き込んで進めていくしかありません。会社の存在意義、目指しべきビジョンを実現するためにミッションを作り、それが統合的に実行される会社組織に浸透していくことが大切です。