中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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カルチャー改革は現場から

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で21万1058人で、東京は3万842人となっています。専門家の試算によれば、東京は今週末をピークに減少に転ずるとのことですが、第6波までと違い高止まりが続く見通しもあります。全国知事会は、全数調査の見直しを提言し、尾身氏ら分科会有志も全数調査の取りやめを提言しました。ここ2年半で分科会は専門家集団として適切なコロナ対策を政府に提言できていたでしょうか。全数把握が混乱を招いていることは理解できますが、これまでしっかりとした体制整備を怠っていたから混乱を引き起こしているのです。全数把握が間違っているとは思いません。むしろ全数把握をすることで、的確な状況把握ができ適切な対応をとることができるのです。正確な数字が把握できなければ、分析も検証もできませんし、適切な対策や戦略を立てることもできません。全数把握を放棄することは責任逃れ、責任の所在を不明確にするためと言われても仕方ありません。

さて、今日は、東洋経済オンラインの「組織を強くしたい『勘違いリーダー』よくある4NG」という記事を取り上げます。

データ偽装をはじめとする大企業での不祥事、国際競争力の低下、労働生産性の低迷など、いま日本企業が置かれている状況は極めて深刻です。組織の活力が失われ、社員やメンバーの「活気・やる気・熱気」も消え失せてしまっています。

組織が重篤な状況から脱却し、競争力を回復するには、現場力を再強化し、現場機転で活力を取り戻すしかありませんが、そう容易いことではありません。

組織を変革し活力を回復するには、組織の土壌である「カルチャー」を本気になって変えていかなければならないのです。一昨日書いたように企業文化を変えていかなければなりません。

1.健全な「カルチャー」は現場からつくり上げていく

 「カルチャー」というのは、組織の土壌です。植物が土壌の良し悪しによってどのように生育するかが決まるように、健全で良質な土壌によって、組織で働く人たちの能力(ケイパビリティ)が育ち、それが遺憾なく発揮されるのです。

 土壌である「カルチャー」は、誰かから与えられるものではなく、自らが耕しつくっていかなければならないものです。そして、それは上から押し付けられるものでもありません。確かに、カルチャーや企業文化を作るのに、経営者やリーダーの役割は重要です。一昨日も書きましたが、リーダーの言葉が企業文化を作っていくのです。しかし、上から押し付けられ、強制され、嫌々ながらそれに従っているうちは、カルチャーや企業文化にはなりえません。上から示されたものであっても、下の者がそれを理解し、自ら咀嚼し腹落ちして自らの血となり肉となって初めて、カルチャー、企業文化と言えるのです。

 この記事でも、「現場からのカルチャー改革には経営トップやリーダーの旗振りは必要不可欠だ」と言っています。現場が自ら動き出す「お膳だて」は経営トップやリーダーにしかできないのです。

2.リーダーのアプローチの誤り

 多くの経営トップやリーダーには「組織を強くしたい」「現場を元気にしたい」という強い思いはあります。「何としてもカルチャーを変えるのだ」という強い信念を持っている経営トップやリーダーもいます。しかし、アプローチに仕方を間違えれば、社員やメンバーのやる気や活力をそぎ、強い組織になるどころかさらに弱体化させてしまいます。この記事では、アプローチの仕方を間違えてしまう4つの失敗事例が紹介されています。

⑴ トップの独りよがりで始める

 カルチャーを変革するには、経営トップやリーダーの強い信念や意思、覚悟が必要不可欠です。だからと言って経営トップやリーダーが独りよがりになってはいけません。

 経営トップが率先して取り組むことは大切ですが、重要なのは全社を巻き込むことです。実際に動くのは現場です。現場を巻き込んで現場がその気になって動いてくれなければ、カルチャー変革はできません。いくら経営トップが「意識を変えろ!」「カルチャーを変えろ!」と叫んでみたところで、社員一人ひとりが意識を変え、考え方を変え、行動を変えなければ、何一つ変わらないのです。

 カルチャー変革は、現場から仕掛けなければなりません。現場には様々な考えや価値観を持った人がいます。その考えや価値観を変えるのはとても面倒くさいプロセスであり、手間がかかります。だからと言って手をこまねいていたのでは前に進みません。やるしかないのです。

⑵ 組織を一気に変えようとする

 多くの経営トップやリーダーはすぐに結果を求めます。カルチャー・企業文化というのは、その集団の人たちが、自分たちが考えたことや感じたことを言葉にし伝え合うことで、組織の中に浸透し形作られるものです。つまり、長年時間をかけて作り出されたものです。それを一気に変えることなどできません。すでに形づくられたカルチャーを新しく変えるには、これまでのカルチャーがつくられたのと同じくらいの時間がかかります。新しいカルチャーを根付かさせるには、現場から一人ひとりの社員に働きかけ、その意識に浸透させ行動を変えていかなければなりません。最初は少人数の社員かもしれませんが、それが一つの現場に広がり、さらに次の現場へと伝播させていくのです。

 最初から一気に組織全体のカルチャーを変えようとするのは現実的ではないのです。

⑶ 変化の「見える化」を怠る

 カルチャー変革は手間も時間もかかります。組織を一気に変えることは現実的でなく、足元の現場から改革すると言っても、組織全体への情報発信は欠かせません。経営トップが明確な意思表明をすることも大切ですが、現場での取り組みの様子や成果を「見える化」し、啓蒙していく努力が不可欠です。具体的な方法としては、SNSを活用し、現場での取り組みを動画配信したり、現場の実践者が直接語り掛けたりする、などがあります。

 取り組みの様子や成果を「見える化」によって共有し、全社に当事者意識を芽生えさせることで、その後の展開をスムーズに行うことができるようになります。

⑷ 「仕組み化」を怠る

 変化の芽を伸ばし育てるためには、どこかの時点で「仕組み化」が必要です。属人的な要素に頼っていたのでは、人によってその成果もまちまちになります。仕組みができることで、変革を加速させ、定着させることができます。

3.健全なカルチャーは足元の課題解決から

 プロジェクトの初期段階では、難易度の高い壮大な課題に取り組んだところで、頓挫することが多いと言えます。それよりも、足元の課題に着目し、みんなで汗をかいて、解決することで「自分たちで動けば変えられる」という自信が生まれ、プロジェクトへも勢いが加わります。それが会社全体に広がることによって、「良質なカルチャー」が徐々に醸成されていくのです。

 足元の課題を解決するためにメンバーが一丸となって努力することで、小さなkJALチャーの眼が生まれ、それを育てていくことで、全社的なカルチャーへと生育します。「良質なカルチャー」が醸成され、組織に根付くには最低10年はかかります。だからこそ、簡単に真似のできない最強の模倣困難性となるのです。