中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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企業変革の時期

おはようございます。

大企業では、企業変革を行なうために「プロ経営者」を招聘するところもあります。「プロ経営者」とは企業の再建等の目的のために外部から招請された経営の専門家です。しかし、中小企業の大半はオーナー企業で外部から招請された「プロ経営者」ではありません。しかし、中小企業においても、経営のプロである「プロ経営者」の戦略は役に立つはずです。新型コロナウイルスの影響やウクライナ情勢に伴う原油価格・物価の高騰で中小企業を取り巻く経済社会環境は大きく変わりました。企業が生き残り存続し続けるために新たな試み・変革が必要になってきています。多くの中小企業・店舗が生き残りをかけた戦いをスタートさせています。
1.散弾銃戦略と順繰り戦略
 企業を変革のためには2つの戦略があります。それは、地政学に基づく戦いの戦略、「散弾銃戦略」と「順繰り戦略」です。
 「散弾銃戦略」というのは、ランダムに散弾銃を撃ちまくり、的に当たったものを成長させていくという戦略です。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」方式です。思いつくままに様々な事業改革案を出し、それを順次実行していくということです。その中にはうまくいくものもあるというわけです。
 それに対し、「順繰り戦略」は、目標を立てそれを実現するためのステップを論理的かつ合理的に設定し、1つずつクリアしていく戦略です。
 いずれの戦略が正しいのかは一概には言えません。それぞれにメリット・デメリットがあります。2つの戦略を組み合わせることで、変革のスピードを上げ、精度を高めていくことが大事なのではないかと思います。
 ゼロから何かを生み出すイノベーションにとって重要なのは「散弾銃戦略」で、生み出されたものを大きく育てるのに重要なのは「順繰り戦略」です。ゼロから何かを生み出すというのは、これまでの業界の常識からは出てきません。発想の転換が必要です。また、「散弾銃戦略」は「散弾銃をランダムに撃つ」と言っていますが、手当たり次第撃つというのとは違います。少なくとも撃つ方向性は見極めなければなりません。
 散弾銃は数多く撃つべきですが、「撃ちっぱなし」は良くありません。撃った後の成果をトレースし、PDCAサークル(Plan (計画)ーDo(行動)-Check(評価)ーAction(修正))を回して、どれが「順繰り戦略」に乗るかを見極めることが大切です。
 散弾銃戦略は、新しいことにチャレンジすることなので、組織の中に抵抗勢力がいると思うように進間ないことが多いのです。しかし、中小企業の多くはオーナー企業です。経営者自らの判断で推し進めていくことが出来ます。その代わり責任は社長自ら取るしかありません。
2.企業変革
 企業変革は野球と異なり1割の打率でいいと思います。10の「うち手」のうち、1つ当たれば成功です。1つの成功体験は9の失敗に勝るのです。
 新型コロナに伴う働き方改革でテレワークに切り替えた企業もいます。テレワークの問題点・課題も出てきました。それらが改革・修正され、新しい生活様式の1つになっていきます。休業を余儀なくされた店舗でも新たな試みが行われ、「お持ち帰り」や「デリバリー」に切り替え、コロナ後も業態を変えるところも出てきています。エンタメ界からもリモートやオンラインを通じた映像発信など新たなチャレンジがなされています。こうした新たな試みの中には、一時的なものではなくコロナ後も新しい生活様式の一部として受け継がれていくものもあるでしょう。
 変革には常に失敗はつきものです。失敗してもくじけることなく次の弾を撃つことです。そして重要なのは1割の確率でうまく当たった弾について、絶対に大きく育て上げることです。
 経営者自身が参加して確かな成功例を作り、その達成感をチーム全体で共有するのです。メンバーが囚われていた「変わることの怖さ」を「成功することの面白さ」に変えることが大切なのです。
新型コロナや物価高など経済社会環境の変化で新しい生活様式が模索されている中、今は企業が変革するチャンスです。どのような業界でもこれまでの常識が通用しなくなっています。これまでの業界の常識が当てはまらない今なら、発想を転換できるはずです。頭を柔らかくして、社会や顧客のニーズを改めて考えてみましょう。そして、「散弾銃戦略」である程度の方向を定めて手当たり次第撃ち、その中から当たった改革案を「順繰り戦略」で大きく育て上げましょう。そうすれば、それはコロナ後の新しい経済社会環境においても自社にとっての大きな武器になります。