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予言の自己成就とリーダーシップに必要な要素

おはようございます。
1.予言の自己成就
 「予言の自己成就」というのは、根拠のない噂や思い込みであっても、人々がその状況が起こりそうだと考えて行動することで、事実ではなかったはずの状況が実現してしまうことです。これは、「もし人がその状況を真実と認めれば、その状況は結果において真実である」という定理を基に、アメリカの社会学者ロバート・K・マートンが提唱した理論です。
 例えば、2020年春、新型コロナ感染拡大の中、トイレットペーパーが品薄になるという根拠のないデマが飛び交い、店頭で紙製品がなくなると、噂を信じていない人も焦りを覚えて店に殺到し、結果的に店から紙製品が消えてしまいました。これは、「予言の自己成就」のネガティブな面が現れたものです。また、勉強や仕事のパフォーマンスにおいても同様の事態が発生します。不安から「失敗するかもしれない」「失敗するだろう」と思い悩むことに時間が割かれ、実際に悪い結果が引き起こされます。会社の評価でもよい評価が出れば、自分自身への期待が高まりパフォーマンスが向上しますし、逆に悪い評価がつくと自分に落胆しパフォーマンスが低下します。
 組織が「予言の自己成就」のネガティブな流れに呑み込まれないようにするにはどうすればよいのでしょうか。また、査定面談で部下に低い評価を伝える場合どのように伝えればよいのでしょうか。ポイントは「相手への期待を伝える」ことです。
 自分が相手をいかに信用しているか、どんな可能性を信じているかを伝え、フィードバックを受けた人が前向きで主体的でいられるようにコミュニケーション取ることが重要なのです。リーダーが部下や従業員の未来を信じることがポジティブな結果を生むというわけです。
 以前から書いていますが、リーダーに必要なことは、透明性をもってメッセージを伝えることです。透明性のあるメッセージとは、誠意をもって現実を正確に正直に伝えることです。何を知っているか、何を予測しているか、それが人々にとって何を意味するかについて、人として可能な限り説明することです。人々が理解できる形でメッセージを伝えることです。希望のないメッセージは人々を自暴自棄にさせるので、メッセージのどこかに人々が希望を抱きエネルギーを注ぐことができる将来展望がなければなりません。菅首相の記者会見などこうしたことが全て欠けています。
2.優れたリーダーに必要不可欠な3つの要素
 個人プレーや部下に投げっぱなしの上司はダメなリーダーです。職位が上がれば上がるほど、限られた時間で発揮した言動の積み重ねが組織の命運を左右することになりかねません。リーダーシップのスキルレベルは数値化できるものもあります。リーダーシップは多様で、数値化できるものもあれば、数値化できないものもあります。
 リーダーシップのスキルレベルが数値化できるというのは言い過ぎですが、能動性・迅速性は高いが、正確性・理解力は高い人もいれば、その逆の人もいますし、正確性・理解力は高いが実行力が低い人もいれば、その逆の人もいるというのは事実です。
 優れたリーダーに不可欠な3つの要素として次の3つを挙げられます。
Ⅰ:成長性が高い・・・職位の高低・経験の有無にかかわらず、修正力を発揮する。
Ⅱ:能動性・迅速性が比較的高い・・・瞬時に行動発揮できる瞬発力が高い。
Ⅲ:能力発揮レベルのバランスが取れている・・・スキルレベル、成長性、能動性、迅速性、正確性、理解力、実行力の7つの能力領域の発揮状態において高低のバラツキがない。
 優れたリーダーというのは能動性・迅速性が比較的高めに出る傾向があるので、自ら能動的・迅速に行動すべき場面ではそうしますが、時と場合によってほかの人に任せたりと、慎重に対処しています。リーダーの中には、何でも自分がやらないと気が済まない人もいれば部下に丸投げする人もいます。
 優れたリーダーというのは、自らアクションすべきことは能動性・迅速性を発揮して実施し、的確に見極めたうえで、部下に任せるのです。方針をそのまま、その通り実施させたいときはトップダウンのマネジメントを繰り出し、部下に検討させてやらせるときにはある程度の許容範囲の中でボトムアップのリーダーシップを発揮するのです。
 リーダーシップが発揮できる優れたリーダーになれるかどうかは、ひとつひとつのタスクを他の人に任せることができるか、許容範囲をある程度広く持てるかどうかにかかっているのです。
 また、ほかの人に仕事を任せることを意識して、業務の優先順位をつけるということが、ほかの人のアクションを待って行う業務を見極めたり、ほかの人の業務との重複を回避するためにも重要で、チームワークを大事にして仕事を進めるためにも重要なことなのです。
 優れたリーダーは自ら何でもすべてやろうとするのではなく、優先順位をつけて自らがやるべき仕事、部下に指示を出しながらやらせる仕事、完全に部下に任せ切る仕事を分け、部下を信用すること、部下を育てていくことが重要になるのです。