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休日の本棚 宇宙人は存在するのか?

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今日も物理学の本を取り上げます。昨日は量子論に関する本でしたが、今日は宇宙物理学に関する本です。量子論がミクロの世界なら宇宙物理学はマクロの世界を研究対象としています。しかし、両者は全く別物ではなく、ニュートリノヒッグス粒子などの素粒子は宇宙の誕生に関わっているのです。

今日取り上げるのは、スティーヴン・ホーキング著「ビッグ・クエスチョン<人類の難問>に答えよう」(NHK出版)です。ホーキングは、学生時代に筋萎縮性側索硬化症を発症し「車いすの天才学者」として活躍し、昨年3月に亡くなられた物理学者です。

本書は、そのホーキング最後の書き下ろし本で、<人類の難問>10問にホーキングが答えるという形で書かれています。その問いとは、神は存在するのか?宇宙はどのように始まったのか?宇宙に人間のほかに知的生命体が存在するのか?タイムトラベルは可能か?よりよい未来のために何ができるのか?などなど。

さて、その中で、宇宙はどのように始まったのか?宇宙に人間のほかに知的生物が存在するのか?について話します。

宇宙は今から約138億年前にミクロの大きさで生まれ、ビッグバーン、インフレーションを起こし、膨張して今の大きさになったのです。そして宇宙は今も膨張し続けています。私たちの認識に反するのですが、宇宙は平坦で一つではないのです。この宇宙がミクロの泡の大きさで生まれたときに他にも多数のミクロの泡が存在し、それらの宇宙も膨張しこの宇宙のほかにも別の宇宙を作っているのです。これがマルチ宇宙論です。ビッグバーンの前に何があったのか?この点についてホーキングは虚数時間という概念を持ち出します。先ほども言いましたが、宇宙は膨張しています。この宇宙をを逆回しすると宇宙はどんどん小さくなり1点に収束することになります。この広い宇宙をその1点に詰め込まなければならなくなると、エネルギー密度は無限大、体積はゼロという理解できない状況になります。そこで、ホーキングは「虚数時間」という考えを提唱しました。われわれが認識している通常の時間には過去から未来へという時の流れがありますが、虚数時間にはそれがありません。昨日の「時間は存在しない」に似ています。

縦、横、高さの3次元に「虚数の時間」が第4の方向として存在し、その第4の方向である「虚数時間」が変質して実数の時間になって宇宙が誕生したというのです。

次は宇宙人ですが、フェルミのパラドクスというのがあります。フェルミというノーベル物理学賞を受賞した物理学者が「広大なこの宇宙には天の川銀座だけでも数千億個もの星が存在する。この地球が特別でないなら宇宙には生命体が多数いて、その中には宇宙旅行できるような高度の文明を持った生物がいても不思議ではない。彼らはこの地球にも宇宙旅行に来ているはずだ。それならかれらは一体どこにいるのだろう?」フェルミのパラドクスは、地球が特別でないなら広大な宇宙の中には知的生命体が多数存在することになるが、彼らはどこにいるのか?もし地球だけが特別ならそれはどうしてなのか?ということなのです。

ホーキングは、この問題に、①生命が自然発生する確率は非常に低く地球はそれが起こって唯一の惑星なのかもしれない②生命体が存在する確率は高いが知性を進化させていないかその前に小惑星や彗星の衝突で滅びる③知的生命体が生まれる確率は高いが生物系が不安定になり自らを絶滅させてしまう④知的生命体は存在するがこれまで見逃されてきたという4つの可能性について述べ、ホーキング自身は第4の可能性に期待しているというのです。

ホーキングは、本書の最後で、「顔を上げて星に目を向け、足元に目を落とさないようにしよう。それを忘れないでほしい。見たことを理解しようとしてほしい。そして、宇宙に存在するものに興味を持ってほしい。知りたがり屋になろう。人生がどれほど困難なものに思えても、あなたにできること、そしてうまくやれることはきっとある。大切なのはあきらめないことだ。想像力を解き離そう。より良い未来を作っていこう」と述べています。このことはビジネスについても言えることでしょう。

ホーキング博士からの最後の遺言と思い、この言葉を大切にしていきたいと思います。

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宇宙に関する本として、リサ・ランドール著「ダークマターと恐竜滅亡」(NHK出版)もお勧めです。著者はハーバード大学物理学部教授で、ダークマター暗黒物質)の一部が寄り集まり円盤化し天の川銀河の円盤内に収まり(二重円盤モデル)、周囲に強い影響を与え、そのダークマターが彗星を地球に飛来させ、その彗星が地球に衝突して6600万年前の恐竜絶滅を引き起こしたかもしれないと主張しています。著者の「ワープする宇宙」(NHK出版)と共に面白いです。

また、村山斉著「宇宙になぜ我々が存在するのか」(講談社ブルーバックス)、松原隆彦著「宇宙の誕生と終焉」(SBクリエイティブ)も興味のある方はどうぞ。

 

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