中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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身近にふれた知の世界 プロフェッサー・ビジット

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おはようございます。

今日は、朝日新聞の特集「身近にふれた知の世界 プロフェッサー・ビジット」を取り上げます。この記事は、国立大学の教員が、高校生に向けて自身の研究テーマを易しく解説しながら大学での学びの楽しさを伝える企画「プロフェッサー・ビジット」(朝日新聞社主催)を紹介するものです。分野は、情報・防災・バイオ・外国語研究など幅広く奥深い内容になっています。その中から、一橋大学西野和美准教授の「企業の新戦略が社会を変える」と小樽商科大学のカロラス・プラート教授の「国別に作戦 飲料売り込み」を取り上げます。これらは、高校生だけではなく、ビジネスマン・企業経営者の方にも役立つ話だと思います。

まずは、西野准教授の「企業の新戦略が社会を変える」です。ここで挙げられている例として、衣料品チェーンの「ユニクロ」と「しまむら」のビジネスモデルの違いがあります。ユニクロは、開発から流通、販売まで自社で管理するのに対し、しまむらは企画、流通、販売に重点を置いていると指摘し、「同じ業界でも、顧客に提供したい価値が異なれば戦略も異なる」「企業は顧客に選ばれるための仕組みを工夫を凝らして作っている」というのです。ここで重要なのは顧客ニーズを捉まえて自社が提供できる価値をその顧客ニーズにどのように結び付けていけるかということです。そのために自社にとっての最良の戦略を模索しなければなりません。顧客に提供する価値に違いがあれば戦略も異なるので他社と同じ戦略をとるわけにはいかないのです。

また、西野准教授は「技術が進歩を続けるなか、必要な情報をいかに取り入れ、自社の活動に活用できるかが企業にとっての今後の課題」と言われています。先日来述べています5GやAIなど新しい技術や情報が錯綜しているこの時代に、中小企業も時代の流れに乗り遅れないように情報網を張り巡らし、顧客ニーズに見合った情報を捉まえる努力をしなければなりません。

さらに社会貢献についてSDGs(エスディージーズ)というキーワードに触れています。SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(2030年までに持続可能なより良い世界を目指す国際目標)のことです。その具体的内容は①あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる②飢餓を終わらせ食料安全保障及び栄養改善を実現し持続可能な農業を促進する③あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し福祉を促進する④すべての人の包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し生涯学習の機会を促進する⑤ジェンダー平等を達成しすべての女性及び女児の能力強化を行う⑥すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する⑦すべての人々の安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する⑧包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の安全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する⑨強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る⑩各国内及び各国間の不平等を是正する⑪包摂的で安全かつ強靭な持続可能な都市および人間住居を実現する⑫持続可能な生産消費形態を確保する⑬気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる⑭持続可能な開発のための海洋・海洋資源保全し、持続可能な形で利用する⑮陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の促進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を回避する⑯持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する⑰持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する、の17の目標です。西野准教授は、持続可能な社会を作るために今後は企業もその責任を負う必要があるとされ、株主の意識も高まっていると言われています。企業の社会的責任については先日述べましたが、先日のグローバル・コンパクトの10原則とともにこのSDGsの17目標も今後は企業が社会的責任を果たす上で重要なキーワードのなってくるように思います。

次に、カロラス・プラート教授の「国別に作戦 飲料売り込み」です。これは「世界にコーラを売る戦略 ペプシの国際マーケティング戦略」をテーマにマーケティングについて講義したものです。マーケティングでは、競合他社と異なる価値を提供する「差別化」、商品を高く評価する顧客グループの年齢層や性別などの「細分化」のほか4P(Product =製品  Price=価格   Promotion=広告  Place=販路)が重要です。市場においてコカ・コーラに後れを取るペプシとしては、広告表現や起用するキャラクターを各国の文化に合わせて変えているというのです。ダイエットという言葉に抵抗感を持つ欧米ではダイエットという言葉の使用を避け、最近日本では強炭酸や強カフェインによるストレス解消という新たな価値を消費者に提供するなど、国によって異なったマーケティング戦略が採られています。また、米国では超能力を持つスーパーヒーローがキャラクターとなるところ、日本では少しおっちょこちょいなCGキャラクターを登場させています。このように「国ごとに戦略を変えていくのか、国際標準として同じ商品・同じCM・同じ価格・同じ小売店を使うのか」は国際マーケティングでは大きな課題です。しかし、このことは国際マーケティングだけの問題ではないように思います。日本国内においても地方によってそれぞれ文化や習慣が違います。例えば関東におけるマーケティング手法と関西におけるマーケティング手法は異なる場合もあるはずです。地域地域に見合った戦略があるはずで、中小企業でも、このことを念頭においてマーケティング戦略を組み立てる必要があるように思うのですが、いかがでしょうか。