中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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新型肺炎感染者が出た場合、どこまで情報開示すべきか?

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大阪駅前第3ビル 桜?ベニバスモモ(紅葉李)

おはようございます。

今日は、また新型コロナウィルス関連です。

経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディング)は、政府の新型コロナウィルスに関連する経済対策について「しょぼいというか、チマチマ出すのではなく、一気にやって一気に経済を取り戻すというやり方をしないと」とテレワークの環境整備への投資やインターネットを使ったオンラインでの診療など大規模な財政出動を求めました。全く同感です。すべての対策が後手後手に回り、汚名挽回・起死回生と何の科学的根拠もなく思い付きで行われた小中高学校の「一斉休校」。今日のワイドショーを見ると原宿竹下通りは中高生で溢れていました。昨日の梅田やミナミも同様です。「休校」なので昼日中から中高生がウロウロしても注意も補導もできません。中国も「休校」という処置をとっていますが、しっかりとオンライン授業を行っているようです。そうした準備もせずに思い付きだけで行われた一斉休校で、感染リスクが高まったり感染拡大につながったりしないことを祈るばかりです。

さて、こうした中、中小企業にとって朗報があります。厚生労働省は、テレワークを新たに導入する中小企業に対する助成金に特例を設けると発表しました。今年度の申込期間は終了していますが、特例として5月末までに従業員1人以上がテレワークを実施した場合、通信機器の導入・社労士への相談などにかかった費用の半額(上限100万円)が助成されます。特例をつくるのは「時間外労働等改善助成金」のテレワークコースです。2月17日以降の取り組みであれば、さかのぼって助成対象になります。

また、新型コロナウィルス対策として病気休暇制度などを新たに導入するなど、従業員が休みやすい環境を整えた中小企業に、その導入費用の4分の3(上限50万円)を助成する特例もあります。申込開始日は決まっていないようですが、厚労省は「速やかに開始する」としています。

日本の感染者数は、ダイヤモンド・プリンセスの乗船者を含め1000人を超え、死者は12人となっています。大阪ではライブハウスでのクラスター感染などで8人となっています。これから感染者が増えるかどうかわかりませんが、万が一自社に感染者が出た場合、どこまで情報開示すべきかという問題が出てきます。これについては、ダイアモンド・オンラインに詳しい記事が出ていますので、参考にしてください。

NTTデータ電通などしっかりとした広報活動経験の豊富な大企業の場合は、適切に対応されていますが、広報活動経験のない中小企業の場合、情報開示の仕方によっては自社の存続にも影響しかねません。感染者が出入りしていたスポーツジム、入浴施設、卓球施設、ライブハウス、あべのハルカスなど連日実名が報道されています。

行政側は、原則として、感染者については年代・性別・居住地域などの基本情報以外は開示せず、複数に感染者が同じ施設を利用していたり不特定多数者との濃厚接触の可能性があったりする場合に具体的な場所・施設を開示しています。

企業において感染者が出た場合、情報開示すべきかという判断に迫られます。まず、この場合、行政の対応に合わせるということが大事だと思います。行政側は個人が特定できるような情報開示は行いません。行政側が、社名・施設名を伏せている場合にあえて自分から名前を公表というのはいかがなものかと思います。NTTデータ電通は自ら積極的に情報開示を行いました。それは広報活動経験が豊富な大企業だからできたことだと思います。中小企業の場合、情報開示した場合、マスコミの取材等に追われ日常業務もできなくなります。行政の指示に従い行政の対応に合わせ、行政側が公表すれば速やかに自社も情報開示するというので良いのではないかと思います。この場合公表が遅れると致命傷になりかねませんから、行政と緊密に連携をとって公表が遅れないように注意してください。

また、情報開示や情報伝達の企業内組織について、しっかりと確立しておくことが重要です。情報が速やかに下から上に伝達されない企業もありますし、逆に上の情報が下に伝達されない企業もあります。スムーズに情報が流れるような仕組みを作るようにして下さい。大げさかもしれませんが、今は危機的状況です。新型コロナウィルスは政治・経済に甚大な影響を及ぼし、日本経済は壊滅的な打撃を受けるかもしれません。そうなれば中小企業は大企業と違い存続の危機に見舞われます。

中小企業においても、「新型コロナ対策本部」を設け、新型コロナに関するすべての情報(これは新型コロナが自社に与えるすべての情報)をそこに収束して、その情報をもとに新型コロナが自社に与える影響及びその対策を検討し、それを実行に移すようにしてください。抽象的な話になりましたが、存続の危機だけは避けるように努力してください。先日も書きましたが、新型コロナ関連の特別融資もあります。最悪それを利用するのも手です。なんとしてもこの危機を乗り切りましょう。