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休日の本棚 「インフェルノ」を読む

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おはようございます。

新型コロナウイルスの感染拡大は世界的に大変な状況になっています。英国のジョンソン首相が新型コロナウイルスの陽性反応が出たようですし、王室のチャールズ皇太子も陽性となって隔離されているようで、英国では1日の死者が100人を越えました。日本では東京都の小池知事が週末の自粛要請を出し大阪の吉村知事も外出自粛を要請しました。休日は外出を控えゆっくり読書でもしましょう。

今日は、ダン・ブラウンの「インフェルノ(上)(中)(下)」(角川文庫)を紹介します。ダン・ブラウンは「ダヴィンチ・コード(上)(中)(下)」(角川文庫)、「天国と地獄(上)(中)(下)」(角川文庫)などでも有名なアメリカの小説家です。この3作品はハーバード大学の宗教象徴学の権威ラングドン教授が活躍するシリーズとなっています。ネタバレしない範囲であらすじを書きます。

ダヴィンチ・コード」は、キリスト教の謎に迫る話です。ルーブル美術館でソニエール館長がシラスという人物に殺害されますが、警察は犯人をハーバード大学のラングドン教授として捜査を進めます。ラングドン教授がソニエールの孫娘ソフィーと犯人を追い詰めるという話です。ソニエールが殺害された理由が、キリスト教の秘密に深くかかわっており、キリスト教の存在を揺るがしかねないもの、それはイエス・キリストは神ではなく人でありその子孫が存在しているというものです。宗教象徴学の権威ラングドン教授はソフィーと共に様々な危険に遭いながら、キリスト教の秘密に迫り、警察に捕まる前に犯人に辿り着くことができるのでしょうか。

次は「天国と地獄」です。ラングドン教授は、セルン研究所の所長コーラーからアンビグラムの紋章についての説明を求められます。その紋章は研究所で殺害された科学者レオナルドの胸に焼印として押されていたものです。レオナルドは、核エネルギーを凌駕する反物質の生成に成功しており、その反物質も犯人に盗まれていました。ラングドンはその紋章を秘密結社イルミティのものと断定し、レオナルドの娘ヴェトラと共にローマに向かいます。一方ローマでは、新教皇選出のコンクラーベの真っ最中であり、4人の有力候補が失踪、前教皇の侍従カルロの元にイルミナティを名乗る者から1時間に1人ずつ殺害するという連絡が入ります。ラングドン教授は、殺害を阻止し、盗まれた反物質を取り戻すべく推理と行動を開始します。

さて、次は「インフェルノ」です。ある日、ラングドン教授が目を覚ますと病院の一室にいて数日間の記憶を失っていました。最後の記憶はハーバード大学のキャンパスを歩いているときのもの、今はフィレンチェの病室。そして何者かによる銃撃を受けたラングドンは医師シエラの手を借り病院を抜け出します。シエラのアパートで、ラングドン上着のポケットにバイオハザードの記号が刻印された円筒形の容器を見つけます。その中に古い骨でできた小型プロジェクターが入っており、そのプロジェクターからダンテの「インフェルノ」をモチーフにしたボッティチェリの「地獄の見取り図」の映像が映し出されますが、一部修正が加えられていて、その映像のもとに「真実は死者の目を通してのみ見える」と書かれていました。この小説にゾブリストという著名な大富豪の科学者が登場します。彼は人口爆発問題を解決する方法は一つしかないと考え自分が発明した生物兵器のようなものをある場所に隠して自殺します。それは水溶性の袋に入っていてある設定された時間がくると溶け出し、3人に1人の割合で不妊を引き起こすウイルスが蔓延していくというのです。ゾブリストの計画を察知していた世界保健機構(WHO)事務局長シンスキーはゾブリストの死後彼の貸金庫から奇妙なプロジェクターを押収します。そのプロジェクターを操作するとダンテの神曲ボッティチェリの地獄の見取り図が現れたので、この中に隠し場所のヒントがあると考えたシンスキーはラングドン教授に協力を要請し強引にフィレンチェに連れてきます。しかし、ラングドンを待ち受けていたのは暗殺者で、その暗殺者に狙撃され記憶を失ってしまうのです。ラングドンシエナと共に暗殺者から逃げ回りながら、必死に「地獄の見取り図」を読み解き、隠された生物兵器を探しウイルスがまき散らされるのを阻止しようとします。フィレンチェからヴェネチアイスタンブールまで移動しアヤソフィア大聖堂近くの貯蔵池に沈められていることを読み解きます。

ところが、ゾブリストが映像で示唆した期日は容器が溶解する日ではなくウイルスが全世界に蔓延する日だったのです。この生物兵器は地下宮殿の水中で1週間前に溶解し既に全世界は感染してしまっていたのです。

「病院が患者や瀕死の人たちで溢れ返ることもなければ、路上で死体が腐っていくことも、愛する人を失った人たちが悲嘆にくれることもない」「それはインフェルノと名付けられたウイルスで、そのウイルスは既に世界中の人が感染している。私もラングドンも含めて」とシエナは言います。シエナはゾブリストの恋人だったのです。

シエナとシンスキーはこのウイルスを無効化することをあきらめます。それはゾブリストのような天才をもってしても困難なことでしたし、人口爆発問題の危険性を認識していたからです。この小説は人口暴発問題について考えさせられます。そうした問題の解決に人工的に遺伝子操作を行ったウイルスを利用しようとすることにも怖さや恐ろしさを感じます。

今回の新型コロナウイルスについても人工的なウイルスであるという見解が多数ありますが(4つの部分で遺伝子編集が行われ自然発生的に生まれるようなものでないと言われています)、本当に生物兵器だとしたら恐ろしいことです。

これらダン・ブラウンの小説は、すべて映画化されています。すべて面白いですが、特にダヴィンチ・コードはお勧めです。

ラングドン教授を演じているのがトム・ハンクスですが、そのトム・ハンクス新型コロナウイルスに罹ったというのも皮肉なものです。ご夫婦ともに回復に向かっておられるようなので良かったですが。