中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 マリガンという名の贈り物

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 おはようございます。

新型コロナウイルスの感染者が東京都で118人、大阪府で41人と連日過去最高を記録し、全国でも最多の368人となっています。日本においても適切な対応を取らなければ、欧米で起こっているような医療崩壊も次第に現実味を帯びつつあります。

医療崩壊で最も深刻な問題が人工呼吸器の不足です。欧米では人工呼吸器不足のために命の選別が行われようとしています。すでにスペインでは若い感染者の命を救うために80歳の老人の命が犠牲にされました。これはまさに先日紹介した「論理的思考力を鍛える33の思考実験」のトロッコ問題の応用です。人の命に優劣はないはずですが、若者と老人の2人がいてどちらか1人しか助けなければならないとしたら、医師はどちらを助けるべきか?悩ましい問題ですが、こうした状況に直面されている医師の精神的ストレスは大変なものでしょう。この問題に正解はないように思います。未来のある若者を助けるべきという考えもあれば、順番に助ける(老人が若者より先に入院したのなら老人を助ける)という考え方もあれば、くじ引きで選ぶのが公平という考え方もあります。どれが正しいということはありません。それを自らの判断で行わねばならない医師の心痛はいかばかりかと思いやられます。あらかじめこのような場合にどうするかというルールが決められていればそれに従えばいいので心労が少しは軽減されると思いますが、そうもいかないでしょう。日本においてこういう事態が起こらないように国民一人一人が感染を拡大させないように今一度気を引き締めて注意しましょう。

今日は、ケン・ブランチャード&ウォリー・アームストロング著「マリガンという名の贈り物 ”人生を変える究極のルール”」(創元社)を紹介します。昨日紹介した「チーズはどこへ消えた?」と同じく人生を変えてくれるのではないかと思える本です。

仕事の成功だけがすべてだったエリートビジネスマンが90歳の老ゴルフコーチ「オールドプロ」との交流・ゴルフレッスンを通して新しい生き方を手に入れる物語です。ゴルフ好きな人はもちろんそうでない人にも人生を改善したいと思っているなら大いに役立ちます。

「マリガン」というのは、ゴルフのプライベートルールで(公式ルールでは認められていません)ミスショットの打ち直しを認めることで、特に第1ホールの第1打に適応されるものです。

主人公ポール・マッカリスターは名門大学院を卒業後一流企業に入社し、常に人より一歩先を行く成功者になります。彼の関心事は自分の会社を発展させることで、彼にとって結婚は失敗であり妻も子供も人生の中で重要ではなかったのです。彼は離婚という選択をします。彼にとっての成功はどれほど富を築いたか、どれほど世間から称賛されたかで、常に次の高い山を登ることだけを考えていました。ゴルフは彼にとって仕事の次に情熱をささげるべき対象で単なるスポーツやレジャー以上のものでした。

ポールはゴルフトーナメントに参加します。目下の関心事は同じ組を回るプロゴルファーのデービス・ラブⅢ世と良い関係を築き上げること、そのために3週間にわたりゴルフレッスンを受けてきたのです。ところが、ポールはダブルボギーばかり叩き、他のプレーヤーと良い関係が築けないばかりでなく、自分自身もゴルフが楽しめないでいました。9番ホールでは自分の感情をコントロールできずパターを自分の膝で折ってしまいます。こうしたポールにデービスが声を掛けます。「正直なところあんなに怒るほどゴルフが上手ではないと思いますよ。9番ホールでのあなたの振る舞いは、あなたがこれまでどういう人生を歩んできたかを物語っているように感じましたがどうでしょう」

またデービスは「ゴルフコースでの行動が、その人の人生のあり方を示していることが多いのではないかと思います。私の父は、ゴルフと人生には多くの共通項があると言っていました。GOLFの4つの文字は、Game Of Life First、つまり『人生がまず第一』という意味であると教えてくれたことがあります」と言って、ポールに自分の父の友人であるゴルフコーチの「オールドプロ」を紹介しました。

ポールはデービスに言われたとおりにクラブハウスに向かいオールドプロと会います。オールドプロは言います。

「ゴルフのように人生においても・・・

  • 努力に見合った良い機会を得ることがある
  • 努力しないでもよい機会を得てしまうことがある
  • 当然の結果として失敗がある
  • 不公平に思える失敗がある
  • ときには、実力以上にうまくやれてることがあるが、その成功に甘えてはいけない
  • 時には力があってもうまくいかないことがあるが、それでも失敗に対処しなければならない

ゴルフではコースを回る4時間半の中で、これらすべてのことが起こり、小さなボールがあなたをじっと見ている。そしてそのボールを打つのはあなたしかいない。人生においても、同じことが日々その瞬間瞬間に起こっている」

こうしてポールはオールドプロからゴルフレッスンを受けながら人生のあり方を学んでいきます。そして究極のマリガンを得たのです。それは別れていた息子とやり直すことができるという贈り物でした。

  • もし人生とゴルフの両方で成功したければ、ゴルフとはスコアではない、人生は自分の実績や他人の評価によるものではないということを、まずしっかりと理解しなければならない。自分の価値観や自尊心が、自分がどれだけうまくできたかとか、周囲の人から聞こえてくる称賛や批判に左右されてはならない。
  • 人生というものはすべて人間関係だ。ゴルフをするときも、楽しむことに気持ちを向けて、一緒にプレーする人と仲良くなり、コースの景色を味わうことだ。
  • あなたの価値はすでに確立されている。うまくやるとか、他人がどう評価するとかに影響されるものではない。だからといって自分が間違いをしないとか、変わる必要がないと言っているのではない。あなたの価値は神の愛の中にしっかりと確立されており、、あなたはすでに許されていて、受けられているのだ。
  • 神様がマリガンを発明したのだよ。神様はセカンドチャンス、つまり「やり直し」の機会を与えてくれるのだ。そのマリガンはゴルフのマリガンと同じように効果がある。マリガンはお金で買うことはできないし、自分が勝手に使えるものではない。一緒にプレーする人から与えてもらわなければならない。神はいつでもパートナーになってくれる
  • 神はどうでもよい人間は創らない。自分は無条件に愛されている。
  • 私の人生について改善するところがあっても私には価値がある
  • 一日をゆっくりとスタートする。静かに座り、リラックスする。ストレッチして神と会話する(祈り)。聖書を読む。それから一日をどのように良い日にするか計画する。
  • マリガンをいくらでも使えるということで学んだのは、失敗したことで自分を責める必要がなくなり、失敗から学べばいいということだ。次第に失敗から学べるようになりマリガンの数が減った。自信が増し、結果も良くなりプレーを楽しむようになった。このマリガンの考え方を自分の人生にどう取り込むかが大切なのだ。
  • ゴミを入れたらゴミが出る。ネガティブではなくポジティブな思考ができるように、自分の考えを変える必要がある。自分の頭をコンピュータだと思い、ポジティブなデータだけを入れるようにする。それがゴルフでも人生でも、いいショットを打つ秘訣だ。
  • ゴルフも人生も結果にこだわらない態度を持ちたい。結果に執着しないことだ。
  • 人生はステップ1,2,3という具合に考えればわかりやすい。頭でイメージし、練習し、そして実行する。この単純なプロセスが、打った球をいつもフェアウェイに乗せてくれる。

ポールがオールドプロに電話を掛けますがつながりません。オールドプロが亡くなったのです。オールドプロの葬儀に多くの人が参列していました、ポールはそこでティムという少年と出会い、オールドプロから学んだ教えを話します。

人生はマリガンだらけなのです。人生はやり直しができるのです。

失敗したり、間違ったことがあってもマンガンがあると思うと気が楽になります。そしてその失敗から学んでマンガンの数を少なくするようにすればいいのです。

この本も何度も繰り返し読む価値のある本だと思います。

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