中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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倒産爆発 重大局面に突入

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おはようございます。

昨日の新型コロナウイルス感染者は、東京127人、大阪74名、全国で547人となっています。東京はここのところ小康状態を保っているようですが、埼玉で過去最多の61人、北海道でも最多の28人の感染者が出て、地方に広がってきているように思います。コロナ帰省で、緊急事態宣言が出された地域から感染者数が少ない地域への移動が見られるようですが、外出自粛を守り移動は控えることが感染拡大を防止する有効な手段です。

昨日、また急に一律10万円現金給付案が出てきました。公明党の所得制限を設けずに国民全体に一律10万円支給するという案と自民党の二階幹事長が出した所得制限を設けて10万円の現金支給をするという案です。しかし、両者の間には大きな開きがあります。それは所得制限を設けるか否かだけでなく給付時期に絡んできます。公明党案は4月中に決定する補正予算で処理し早急に支給するというのに対し、自民党案は補正予算後の追加措置として行うというものです。当然公明党案の方が早急に(5月中に)給付されるでしょう。今必要なのは迅速性なのに、自民党案ではまた所得制限というハードルを設け支給時期もいつになるか分かりません。国会議員、特に閣僚・自民党議員は国民の窮状が分からない困った人たちです。

今日は、現代ビジネスの「コロナ危機 日本経済は『倒産爆発』の重大局面に突入した」を取り上げます。

緊急事態宣言がなされ、緊急事態宣言の対象となった7都府県で休業要請がなされました。休業要請の対象などで若干の違いがあるものの足並みは揃いました。しかし、休業補償に対しては各都府県の財政的な問題もあって足並みは揃っていません。

こうした中、新型コロナウイルス関連倒産は4月13日時点で50件を超えました。倒産という法的整理を伴わない廃業なども増えてきており、この記事は、「日本経済は『倒産爆発 重大局面』に入ってきた」としています。「倒産爆発」を防ぐために必要なことは「休業補償」を素早く実施することは論を待ちませんし、「休業補償なき休業要請」を続ければ「倒産爆発」が起きることは否定できません。東京都をはじめ各府県でも少しでも休業要請を行った事業者の窮状を救うべく協力金を支給しようという動きが出ていますが、これも早急に支給されなければ支給前に倒産する事業者が出てきます。しかし現状、政府は休業補償に消極的ですし、都府県も協力金の資金手当てに時間がかかりそうです。

この記事では、「休業補償を考えるうえで注目すべきは企業の利益率である」として「経費を減らしてやることは売上げを補填するのと同じ効果を生む」という発想で「家賃と借入金返済の猶予」という方法を提唱しています。確かに、テレビニュースを見ると休業すれば家賃支払いが大きな負担になるという中小零細店舗の発言が多いので家賃支払いが猶予されると倒産件数を抑えることにつながるように思います。しかし、家賃支払いを猶予されただけでは収入は入ってきません。自ら食べていかなければならないのです。安倍首相が休業補償しない理由として「働かざる者食うべからず」と言ったという話も出てきていますが、休業要請で働けないようにしたのは政府・安倍政権です。全く言語道断です。さて、経費支払いを猶予されただけでは食べていけません。ここで国民一律の現金給付が必要になるのです。現金給付がなされれば、それで食べることができます。とりあえず一時的に食いつなぐことができるのです。倒産せずに事業が残っていれば新型コロナが終息した後事業を再開できます。一部自民党の有力者が「持ちこたえられないなら潰れてしまえ」という発言をしたという話も聞きますが、まったくもって不見識な発言です。

欧米などでも新型コロナの打撃を受けた個人や事業者の家賃支払い猶予に向けた対策が取られようとしています。日本においてもできないわけはありません。確かに家主の中には家賃収入で食べている者もいます。しかし、家主も借主が倒産したり失業したりすれば家賃収入もなくなります。家賃の支払い猶予に応じた家主にも協力金を支給すれば家主の生活も困りません

また、この記事は「『ヘリコプターマネー』を検討すべき」と言っています。ヘリコプターマネーとは、中央銀行または政府が対価を取らず、国債買い入れで財政資金を供給して、大量の貨幣を市中に供給する究極の経済政策のことです。先日「命をとるか経済をとるか」で書きましたように、人の命を守るために財政均衡ではなく赤字国債を発行してでも財政出動を行うことが重要なのです。ヘリコプターマネーに関しては米国が前例を作っています。4月9日、米国中央銀行であるFRB米連邦準備制度理事会)は、これまで国債不動産担保証券に限っていた購入対象を、州政府などの地方債や高利回り債やローン担保証券、商業用不動産ローン担保証券の一部まで広げる緊急措置発動に踏み切りました。財政難の地方自治体が休業補償の財源がないなら米国を真似て「地方債」を発行して日銀がそれを引き受ければよいのです。基本地方債発行に必要な手続きは総務大臣との協議だけなので、政府と日銀、地方公共団体にやる気があればできるはずです。その通りだと思います。本来は国が赤字国債を発行してそれを休業補償の資金に充てるのが筋ですが、政府にその意思がないのであれば、地方公共団体が地方債を発行してそれを日銀が買い取り資金をねん出するという方法しかありません。しかし、これもこれも日銀・政府の協力がなければできません。困ったことです。

ここに挙げられている方法は「禁じ手」です。しかし、記事の最後に書かれているように、「平時において禁じ手であることを理由に躊躇し、『感染爆発』は回避したが『倒産爆発』は防げなかったという悲劇を招いてはならない」のです。今は、政治の胆力が求められています。政治の決断が求められています。休業補償・給付金の早急な支給が倒産を防止し、国民の命・生活の安心が守られるのです。