中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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テレワークを阻害するハンコ文化

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おはようございます。

女優でタレントの岡江久美子さんが新型コロナウイルスでお亡くなりになりました。発熱後3日で様態が急変し緊急入院され人工呼吸器を装着され治療を続けられていたとのことですが、初期乳がんの治療で免疫力が低下していたことが重症化した原因のようです。ご冥福をお祈りします。最近軽症者が突然重篤化するケースが増えているように思います。こうした状況を受け、厚労省は軽症者について自宅療養よりもホテルなどの宿泊施設が原則と発表しましたが、そうした宿泊施設でしっかりとした治療が受けられる体制が出来ているかが課題だと思います(継承者には治療はいらないという意見もありますがいつ重篤化するか分かりません)。「東京都の『陽性率』高止まり、感染収束へ検査拡充急務」というニュースがありました。東京都で新型コロナウイルスのPCR検査数に対する陽性者の割合が高止まりしているのを危惧する声が出ているのです。市中感染が広がり潜在的な感染者を把握できていないことが推測されるからです。オーバーシュート(爆発的な患者急増)が起きた欧州では、陽性率が一定割合を超えると死者数が増えたという分析もあり、東京都も同じ傾向がみられるというのです。京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授も「都の陽性率が非常に高くなっている。検査数を増やさなければオーバーシュートがあっても見逃す」「必要な検査が行われないと、医療従事者の感染リスクが高まり医療崩壊が懸念されると危惧されています。ドライブスルー検査など積極的に活用して検査数を増やすべきですが、現在検査体制が十分ではないように思えます。また医療現場での院内感染が増えてきているように思います。医療崩壊だけは食い止めなければなりません。医療従事者の方には感謝と尊敬の念しかありません。

さて、今日は日本のハンコ文化がテレワークの障害になっているということに触れたいと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大で政府はテレワークの導入を企業に呼び掛け、それに応じる企業も増えてきています。しかし、テレワークを拒む要因として挙げられるのが、通信環境とともに日本のハンコ文化です。政府が目指す人との接触8割減には、社内文書のデジタル化が重大な課題となります。在宅勤務を行っている人でも、上司のハンコをもらうために週に何日かは出社しないといけないという事態が生じています。ハンコをもらうためだけに電車に乗って通勤しなければならないのです。朝日新聞によれば、在宅勤務中でも出社が必要な理由についてのアンケートで、「取引先から送られてくる書類の確認・整理」がトップで、それに「契約書の押印作業」「社内の紙の書類による申請・押印やサイン」が続きます。日本におけるハンコ文化は、意思を確認する手段として、押印するときに慎重に再考するという意味で有益な側面もありますが、重要性の低い文書にまで押印を要求するという悪習を生み出したことも否めません。今回の新型コロナウイルスのテレワーク推進によって、企業の中にはGMOインターネットグループのように「印鑑廃止宣言」をした企業もありますが、あくまでも少数で、今なおハンコが企業の書類上要請されています。今後は電子書類や電子押印が進むと考えられますが、まだまだ先のように思います。現段階で企業ができることといえば、取引先との契約文書以外の社内文書、中でも特に重要性の低い文書については押印を廃止することは可能ではないでしょうか。押印がどうしても必要な文書と押印が必要でない文書を分けることだけでも押印のためだけに出社するという異常な事態をかなり減らせるように思います。ハンコ文化は行政手続きにも根付いています。ここから変えなければなりませんが、ハンコの業界団体から支持を受けた自民党「ハンコ議連」の存在が厄介です。その「ハンコ議連」の会長が、電子書類・電子押印などIT化を推進しなければならない竹本直一IT相というのも皮肉なものです。

また、テレワークで通信容量の不足も課題となっています。パソコンを使ったウェブ会議は効率が悪く社内会議の3倍の時間がかかるという話もあります。しかし、それは初めてのウェブ会議で慣れていないという面もあるでしょう。在宅勤務の家族どうしてリビングの取りあい、会議中に家族や子供の声が入ってくるという問題もあるようですが、今はコロナという非常事態です。不平・不満を言わず我慢するしかありません。自宅だと通信が安定しない、社員のアクセスが集中してないシステムが一時ダウンしたという問題もあるようですが、今は働き方改革の実験段階だととらえ、今後に生かせるように対策を練りましょう。

新型コロナウイルスによって大きく働き方が変わり企業の在り方も変わるように思います。今はその実験段階、コロナは収束したのちに新しい社会が生まれるかもしれません。それに遅れないように中小企業もできることは取り入れ頑張ってこの危機を乗り切りましょう。