中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

自粛警察

f:id:business-doctor-28:20200428084733j:plain

おはようございます。

昨日の感染者数は東京で39人、大坂30人、全国で127人と大幅に減少しました。緊急事態宣言の効果が出ていると思いたいですが、気を緩めずにGWを乗り切りましょう。

「自粛警察」という言葉が生まれています。「自粛警察」とは、一般市民が正義感にかられ、自粛しない人や店舗に誹謗中傷その他行き過ぎた行為を行うことで、まるで自分が正義・警察であるかの如く振る舞うのです。例えば、無観客でライブ配信しているライブバーに「自粛してください。警察呼びます」と張り紙したり、自粛要請を守り営業している店舗に「いまだに営業しているのか」「バカ」などと落書きしたり、行き過ぎた行為が見受けられるようです。県外からの車に対し傷をつけたり投石したりというのもこれに当たります。

この新型コロナウイルスは、世界を分断するだけでなく日本をも分断しようとしています。新型コロナの感染拡大に伴う中国人やアジア人に対する差別的言動、入国制限で世界各国の流通は停滞し、アメリカやフランスでは外出自粛解除のデモが勃発し、日本国内では上記のような行動がエスカレートしています。これでは社会が分断されることになりかねません。

今日は、朝日新聞デジタルでの鎌田實医師の発言を取り上げます。

鎌田医師によれば、こうしたバッシングが起こるのは、「未知のウイルスとの戦い方がわからず、他者を非難することで自らの恐れやストレスから逃れようとしているせいだ」というのです。このようなことが続けば、若者と年配者、感染者が出た家庭とそうでない家庭、感染リスクの高い業種についている人とそうでない人などの間にひび割れ・分断が生じかねません。医療関係者に対するタクシーの乗車拒否などもこれに該当します。一方で、医療関係者に対する感謝や無料送迎しようとするタクシー会社などが出てきており、支援の輪があってまだまだ日本は捨てたものではありません。

いま必要なのは、分断ではなく団結です。国民が一致団結して新型コロナに打ち勝たなければ新型コロナとの戦いに勝利できません。コロナ後の社会を見据えて助け合うことが必要です。鎌田医師は「感染した人に厳しい社会は感染症に弱い社会だ」と言われています。感染したと分かった人には「協力したい」という気持ちになってもらい、自主隔離を丁寧にやってもらう必要があるからです。また、感染して抗体ができた人は第2波、第3波が起こった時に医療を担ったり物資を運搬したりする先遺隊になってもらわなければならないのです。そのためにも昨日書いたPCR検査や抗体検査を増やさないといけないのです。

また、一般社団法人日本産業カウンセラー協会「働く人の心ラボ」でも、「コロナより怖いのは人間」とし、「攻撃でフラストレーションを開放する」からだとしています。外出したいのにできない、先行きが不透明で経済的にも思いどおりに行かない、そうしたフラストレーションを怒りに変えていくというのです。ストレスへの耐性が弱い人ほど怒りを発しやすく、フラストレーションがたまらないうちに日々の生活の中でフラストレーションを解消する必要があるのです。また分断を生み出すものとして内集団と外集団という考え方があるとされています。人間は、仲間内である内集団よりも外集団に対して常に攻撃的になるというのです。すなわち、人は内集団に対して協力的に働く一方で外集団に対しては非協力的になり、また内集団に対しては潜在的脅威に対する恐怖感情を弱く感じる一方、外集団に対しては強く脅威を感じるということです。攻撃には周囲の目も影響を与え、周囲の他者が攻撃を適切だと考えているときには他者から見られることで攻撃がさらに過激になるというのです。

感染症に対する未知の恐怖が、人種や感染者と非感染者といった様々なラインを作り、内集団と外集団に分けるのです。こうした分断やそれを背景とした攻撃を防止するのは困難だと言われています。攻撃が内集団の「支援」から起こることを考え、そうした攻撃に組しないという態度が分断や攻撃の抑止力になるのです。われわれ自身が冷静になってこうした動きに組したり追随しないように気を付けなければなりません。