中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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非正規労働者の雇止め

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おはようございます。

東京都の小池知事は、今日にも現在発動中の「東京アラート」を解除するとともにステップ3に緩和する意向のようです。東京アラートの3つの指標のうち2つの数値が目安が下回ったためですが、下回ったと言っても若干下回ったにすぎません(1週間の新規感染者平均20人未満→18.7人。感染経路不明者50%未満→49.6%。陽性者増加比1倍未満→1.1倍)。このように、いつその目安を超えてもいいような状況です。また、東京歌舞伎町の夜の街での感染者数が増加しているのに、ステップ3に移行させ、カラオケ店、パチンコ店などの休業要請を解除し、飲食店の営業時間をさらに緩和するというのです。時期尚早のような気がします。

WHOは中南米で続く新型コロナウイルス感染者の増加に強い懸念を表明するとともに、アメリカでは、経済活動を再開させる中、フロリダ州などで感染者数が増加し、第2波が起きつつあると発表しました。日本も例外ではありません。いつ第2波が襲ってきてもおかしくないように思います。

さて、日本では、新型コロナウイルスの影響により、大企業の景況判断指数はマイナス47.6と3四半期連続のマイナスとなりリーマンショック時以来最悪となってしまいました。また宿泊・外食のサービス業で経常利益は59.6%減となっています。経営不振に陥っているRIZAPグループの2020年3月期の決算は60億円の赤字となり2年連続の赤字で、新型コロナによる外出自粛で、フィットネスジムや子会社のジーンズメイトの来店客数が減少したことが原因です。

こうした経済状況で、新型コロナウイルスに伴う非正規労働者の雇い止めが増加しています。雇い止めとは、契約社員などの有期雇用の従業員について契約更新をせず契約期間満了を理由に契約を終了させることです。

契約期間満了を理由とする雇い止めは必ずしも違法ではありません。但し、雇い止めの理由が不当な場合には無効となることがあります。

2013年に改正された労働契約法では、「有期雇用の労働者について契約を更新した結果、通算5年以上の勤務となるような場合には無期雇用に転換するように求めることが出来る」ことになりました。

新型コロナの感染拡大に伴い、5月29日時点で解雇や雇い止めに会った労働者は1万6723人に上ったとされていますが、直近では2週続けて4000人以上が職を失い、1月以降で2万人を超えています。その6割が非正規労働者で、その8割が飲食業です。

会社が、雇い止めを行う場合、次の手続きが必要になります。

  1. 契約締結時の明示事項・・・更新の有無・判断基準を雇用契約書に記載
  2. 雇い止めの予告・・・1年以上継続雇用、3回以上更新されている場合には、契約を解除する30日前までに通知しなければならない。
  3. 雇い止めの理由明示・・・雇い止めの予告をした場合に、労働者から雇い止めの理由の説明書の交付を要求された場合、遅滞なく証明書を交付する必要がある。
  4. 契約期間についての配慮・・・契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできるだけ長くするように努めなければならず(厚労省:有期労働契約の締結、および雇止めに関する基準について)、1年を超えるような契約については契約期間について配慮しなければなりません。

非正規労働者の雇い止めの場合も、正規労働者の解雇と同じく、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には雇い止めは無効になります。したがって、雇い止めを行う場合もこうした要件の下でなされなければなりません。新型コロナウイルスによる経営不振という理由だけでは正当性や相当性は認められません。新型コロナ下での雇い止めや解雇は、一種の整理解雇です。整理解雇には①人員削減の必要があること➁会社が解雇を回避するための努力をしてきたこと③人選が合理的であること(恣意的でないこと)④手続きが相当であることの4つの要件が必要になります。安易に雇い止めや解雇を行うのではなく、これらの手続きがしっかりと取られているか確認してください。そうでなければ、解雇や雇い止めが無効となり多額の金員を支払わなければならなくなることに注意してください。

厚労省も、「非正規労働者労働者が多い飲食業での増加が目立っている。今後も増える恐れがある。雇用調整助成金を活用するなどして雇用の維持に努めてほしい」と呼びかけています。それなら、雇用調整助成金の手続きを簡素化しスムーズに支給できるようにすべきです。