中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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試練のSDGs

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で840人、うち東京197人、大阪123人でした。3連休の休日とあって検査数が少なかったことが原因だと思われますので予断は許しません。昨日書いた 島根県松江市の高校の寮や昼カラなどのほか、新たに大阪の大阪商業大学高校、千葉の私立認可保育園、神戸の有料老人ほーっむなど各地でクラスターが発生しています。最早「夜の街」「若年層」といったレベルではなく確実に市中感染が全世代に広がってきています。

全国の感染者数は累計で5万人を超えましたが、そのうちの1万人がここ1週間で増えた数字です。感染拡大を抑え込むことが出来ず、このペースが続けば、あっと言う間に10万人、20万人と増加します。政府が無為無策なので、各都道府県がしっかりとした感染防止対策を行い、私たちも一人一人が「うつらない・うつさない」ように十分な対策をとって行動しなければなりません。

今日は、朝日新聞の「コロナ禍 試練のSDGs」という記事を取り上げます。SDGsというのは、以前にも書きましたが、「持続可能な開発目的」のことです。これは2015年9月に国連で開かれたサミットの中で決められた国際社会共通の目標です。ここでは次のような17の目標が掲げられています。

1 貧困をなくそう       2 飢餓をゼロに

3 すべての人に健康と福祉を  4 質の高い教育を

5 ジェンダー平等を実現しよう 6 安全な水とトイレを世界に

7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに  8 働き甲斐も経済成長も

9 産業と技術革新の基盤をつくろう  10 人や国の不平等をなくそう

11 住み続けられる街づくりを  12 つくる責任、つかう責任

13 気候変動に具体的な対策を  14 海の豊かさを守ろう

15 陸の豊かさも守ろう     16 平和と公正をすべての人に

17 パートナーシップで目標を達成しよう

コロナ禍で、この「SDGs」が試練にさらされているというのです。

コロナ禍で貧困・格差は深刻となり、雇用は世界的に悪化しています。日本でも弱い立場の人がしわ寄せを受け仕事を失い、ハラスメントの問題も根深く残っています。

国際労働機関(ILO)のライダー事務局長は「世界経済ががけから崩れ落ちたようなものだ。労働市場で不利な立場にいる人たちが最も苦しんでいる」と危機感を示しています。ILOによれば、今年第2四半期に世界の労働時間が14%失われたとの試算の下に、フルタイム労働者の換算で4億人分の仕事が消えたというのです。

日本のみならず、世界中で、新型コロナウイルス感染拡大による経営難で従業員を減らす企業が多く、雇用が不安定になることで、仕事上のハラスメントはより深刻になってきています。こうした状況下で問われるのが、SDGsにおける目標の一つ「持続可能な経済成長と働き甲斐のある人間らしい仕事の促進」です。コロナ禍で、この目標の重要性と達成の難しさが確認されたと言ったところです。また、貧困や格差の是正、健康的な生活の確保などの目標も、実現が遠ざかっていると言うのが現状です。

日本でも人減らしは加速しています。厚労省によると、企業が出す「大量雇用変動届」の退職予定者は、直近の6月は前年同月の2.5倍になり、リーマンショック後の2009年6月の2万123人以来の高水準となっています。3カ月続けて前年水準を上回っており、企業が従業員を抱えきれなくなっていることを示しています。総務省の発表によれば、6月の完全失業者は前年同月より33万人増、そのうち「勤め先や事業の都合による離職」は19万人増となっています。このうちコロナ関連による解雇や雇い止めがかなりの割合含まれていると思われます。

雇用が不安定になる中、上司がハラスメントによる退職に追い込もうとするケースも増えているようです。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が6月に施行され、企業側に相談窓口の設置などの対策を義務付けています。現時点では大企業だけですが、2022年4月から中小企業も対象になります。被害者は企業の対応に納得できなければ、各地の労働局に申告することができ、労働局は問題があると判断すれば、企業側に助言や指導を行い、企業が従わない場合には名前が公表されます。

ただ、日本では企業者側からの抵抗もあり行為そのものを罰則付きで禁ずる規定は盛り込まれず、ハラスメント禁止条約が求めるレベルとは大きくかけ離れています。今後、SDGsの目標達成の観点から、パワハラに対し更なる規制が求められます。

こうした中、SDGsに賛同する企業も徐々に増え、積極的に働き方改革を掲げる企業も増えてきています。SDGsへの取り組みが遅れる企業に対しては消費者や取引先が敬遠するというようにもなりかねません。

コロナ禍で、SDGsの目標を達成することはなかなか困難ですが、コロナ禍だからこそ、SDGsの目標を達成すべく努力すべきではないかと思います。SDGsの目標達成に努力した企業は、ウイズコロナ・アフターコロナの時代に持続可能な経営を維持し生き残ることが出来ると思います。