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菅政権で日本は衰退?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で637人、そのうち東京235人、神奈川79人、大阪76人、愛知21人、北海道19人、沖縄30人などとなっています。東京都の新型コロナ専門家会議では、「新規陽性者と感染経路不明者が連休前に一時的に減ったものの今週は連休前に戻った」との分析が出され、GoToトラベルに東京が参加することについて、「経済活動の活発化に伴い感染リスクが高まるので、厳重に警戒する必要がある」と警戒感をにじませました。感染状況の警戒レベルについては現在は2番目に深刻な「オレンジ」とされていますが、最も深刻な「赤」であった9月3日に示された新規感染者の1日平均が183.1人であったのに対し現在は183.6人と「赤」の状況を超えています。感染経路不明者も増え、家庭内、職場内の感染が増加しているようです。職場での感染が家庭に持ち込まれて感染が拡大していくという構図です。職場での昼食時や休憩時間での感染が報告されており、職場内での基本的な感染防止対策の徹底が必要です。仕事の合間のランチや休憩時間にも気を抜かないということが大事ですが、ほっと気を休めることもできずストレスが溜まりそうです。

さて、学者の国会ともいわれる「日本学術会議」の新会員について、菅首相は、同会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命しました。法律上は任命権者は首相ですが、「同会議の推薦に基づき任命する」となっており、これまで推薦者が任命を拒否されたことはありませんでした。任命されなかった6人は、芦名定道・京都大学教授(宗教学)、宇野重規東京大学教授(政治思想史)、岡田正則・早稲田大学教授(行政法学)、小沢隆一・東京慈恵会医科大学教授(憲法学)、加藤陽子東京大学教授(日本近代史)、松宮孝明立命館大学教授(刑事法学)です。小沢教授は、安保法制を巡る国会での中央公聴会で「憲法違反だ」との見解を述べ、岡田教授は普天間移転問題に行政法の立場から反対意見を表明し、宇野教授は特定秘密保護法に反対、加藤教授と松宮教授は「共謀罪」法案に反対の立場を表明していました。こうした点が任命拒否につながっているとすれば、学問の自由や思想の自由・表現の自由に対する侵害であり、到底許されることではありません。ここに菅義偉という人物の本性が垣間見れた気がします。政府に反対する立場の者は抑圧するという姿勢は、表向きの庶民の味方的な顔とは違います。したたかな政治家の顔と言っていいのでしょうが、やってはいけないことに手を付けたとしか言えません。世の中には様々な意見や見解があります。自分の意見に反対する者を排除していたのでは成長・進歩はありえません。あらゆる意見に耳を傾け取り入れるべきは取り入れて生かしていくことで成長・進歩していくものです。自分の意にそわないものを排除していたのでは器の小さな人間になります。このような器の小さな人間に一国の長は務まりません。

菅首相は「国民のために働く内閣をつくる」と言っていましたが、本当に国民のための内閣なのか、所詮は派閥の力学で生まれた内閣なのかを見極めたいと思います。今後も菅政権について目を光らせて批判的に書いていきます。

菅政権についての続きで、今日は、週刊朝日「ジム・ロジャーズ、最後の警告『菅政権で日本は衰退。国民は苦しむ』」という記事を取り上げます。

ジム・ロジャーズと言えば親日家で「世界3大投資家」の1人とされている人物です。独自の視点から、リーマンショック、トランプ当選、北朝鮮問題に至るまで、数多くの予言を的中させてきたことでも知られています。日本経済、日本社会についても多くの本を出しています。そのジム・ロジャーズが日本人に送る厳しいメッセージです。

ジム・ロジャーズは「安倍晋三前首相は一刻も早く辞任すべきだと言ってきた。安倍氏の行動原理は自分や自らの体制を維持することにあり、そのツケを払うのは日本の若者だからだ」と言っています。安倍首相の「アベノミクス」は株価上昇など見せかけだけの経済成長を生み、富める者と富まざる者に二分し社会を分断しました。ジム・ロジャーズが言うように「菅義偉首相が『アベノミクス』という間違った政策を引き継ぐことが問題」なのです。ジム・ロジャーズは「日本にとってこれほど不幸なことはない」と言っています。

私も、以前から、「アベノミクス」について「アホノミクス」だと批判的に書いてきました。アベノミクスの基本は金融緩和財政出動です。

まず金融緩和ですが、日銀が紙幣を刷りまくり、その金で株式や国債を買い漁れば株価が上がることは当然です。引き換えに日本円の価値が下がり、いずれは物価が上がり、国民生活を苦しめることになります。ジム・ロジャーズは「こうした通貨切り下げ策で、中長期的に経済成長を果たした国は歴史上一つもない」と言っています。確かにこれらによって恩恵を受けるのは一部のトレーダー、投資家や大企業だけです。こう言うジム・ロジャーズも日本への投資で儲けてきたのは皮肉なことです。

次に、財政出動ですが、本来ならば国の借金だけを増やし、破壊へ道を進む政策と言わざるを得ません。

ただ、現在の新型コロナ禍では、国民生活や中小企業の支援・救済のために、財政出動は必要ですし、そのための金がなければ国債を発行して紙幣を刷るしかありません。新型コロナウイルスが収束するまでは金融緩和と財政出動は続けていくしかないのです。しかし、ここでの金融緩和と財政出動は富める者を益々富まさせるためではなく、弱い立場にある国民の生活を守り中小零細企業を支援するためです。このことを忘れてはいけません。

かつて(2017年11月)ジム・ロジャーズはアメリカのラジオ番組で「もし私が10歳の日本人ならば、自分に『AK-47』(ロシア製の自動小銃)を買うか、もしくはこの国を去るだろう」と発言しています。親日家とは思えないような発言ですが、この発言も日本の将来を憂いてのことだと思います。子供に銃を買って撃てというのではありません。このままの状態で日本が進むのなら、急激な人口減少で社会問題が深刻になり30年後には暴動が起きるかもしれない、自分の身は自分で守るしかないということです。そして、日本の将来に失望して若者に日本を出ていくことを勧めています。

ある日本の研究機関の発表によれば、2060年には日本の総人口は現在の1億2700万人から9300万人にまで減少し、14歳までの年少人口はその1割にも満たないというのです。

一方でアジアは飛躍的な発展を遂げ、21世紀の後半には中国とアジアの世紀になるといい、北朝鮮は国を開き北朝鮮への投資が集まれば韓国も発展すると言っています。日本だけが取り残されて衰退の一途をたどるというのです。ジム・ロジャーズは、現在も北朝鮮への投資に積極的なので北朝鮮が門戸を開放して発展すると言いたいのは分かりますが、革命でも起こり現体制が崩壊しない限りありえないことだと思います。中国が今後も発展するかは米中対立の行方にかかってきますが、アジアが発展するのは間違いのないことです。

日本が取り残されて衰退するという意見には反対したいところですが、悔しいですが反論する材料がありません。ジム・ロジャーズは「やるべきことは分かっている。大胆に歳出削減をする。移民を積極的に受け入れる。しかし、日本は変わることはないだろう」と言います。本当に日本は変わらないといけません。それは政治や経済だけでなく、国民の意識も変えなければなりません。だが、なかなか難しいことです。

菅政権にとって、新型コロナ対策、経済対策、中小企業支援と雇用対策、少子高齢化問題など課題が山積みです。中長期的な目で少子化問題に取り組む必要があります。このままでは研究機関の試算のように人口は激減してしまいます。子供を産んで育てられる環境の整備と支援が必要ですし、高齢化に伴う労働力の減少を補うため移民の受け入れも積極的に行う必要があります。これまであったような実習生・研修生に対する差別的な扱いに対しては厳罰で臨む必要も出てきます。海外からの移民者が日本人と同じように働ける環境の整備と支援が必要です。日本経済を下支えしてきた中小企業の支援も重要です。日本の中小企業には優れた技術があります。その中には十分に活かされていない技術も存在します。また新しい技術やテクノロジーの研究・開発も重要です。産学一体となり、また官民一体となって進めていかなければなりません。

今回の日本学術会議の人選問題のように政治が学問の自由を侵害することになれば、萎縮効果によって学問の発展が阻害されます。今回は人文系でしたが、これが科学工学系に及べば科学技術・テクノロジーの発展にまで影響します。最近は科学研究費などへの補助・助成が削減されてきています。安倍政権時代に、政府は山中教授のiPS細胞研究について支援を打ち切ろうとし反対にあい撤回したことがありました。国を挙げて行うべき研究事業については十分な予算をとり助成しないと世界での競争に打ち勝てません。デジタル化やDXについても然りです。デジタル庁の新設は良いことですがすぐにも設置して取り組むべきです。菅政権の目玉の1つ携帯電話料金の値下げも携帯電話会社の経営を圧迫せずでじたるかやDXに支障が生じない範囲で行うべきです。

菅政権にとってやるべきことは山積みです。やるべきことを地道に進めていくことが国民のために働く内閣となります。このことを肝に銘じて国民のために私利私欲に走らず利他の精神で仕事に取り組んでもらいたいものです。ジム・ロジャーズの予言が現実化しないことを祈ります。