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大阪都構想否決から企業経営者は何を学ぶべきか?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で866人、そのうち東京209人、神奈川69人、千葉40人、埼玉30人、愛知85人、大阪156人、兵庫52人、沖縄19人、北海道71人などとなっています。第1波の時のように減少せず、高い水準で下止まりしたまま増加に転じているように見えます。特に関西地区、愛知、北海道というところで増加傾向が見られますが、北海道と東北の宮城での急増が心配です。新型コロナウイルスもウイルスの一種なので寒くなると感染拡大すると言われています。その理由は、①温度が低下するとウイルスの生存期間が長くなること ➁乾燥により飛沫が拡散されやすくなること ③暖房で換気回数が減少すること が挙げられています。また、インフルエンザ流行期に入ります。密を避け、マスクの着用、部屋の換気をしっかりと行いましょう。

今日は、経営コラムニストの横山信弘氏の「大阪都構想否決』から学ぶ経営改革の難しさ~反対するほうが100倍ラクの事実」という記事を取り上げます。

11月1日に大阪都構想住民投票が行われ、僅差で否決されました。大阪都構想が否決された要因についての分析がいろいろなされていますが、大阪維新の会の支持者の約3割が反対に投じたことが大阪維新の会の敗因のひとつです。これは政党で判断するのではなく政策の中身を見ているということで大阪市民もちゃんとしているということです。それ以外にも色々と要因はありますが、「人は概して現状を維持したがり変化を望まない」傾向にあることが挙げられます。

大阪都構想否決」と同じようなことが、企業の組織改革や経営改革についても起こります。この記事では、大阪都構想否決から企業経営者は何を学ぶべきかということが書かれています。

大阪都構想住民投票について言えば、賛成か反対かの2案です。つまり、賛成案というのは組織改革をする(大阪市を廃止して特別区にする)という案で反対案は何もしない(大阪市を廃止せず現状のまま)という案です。

こうしたことは企業の組織改革でもよくみられる光景です。この記事も言っているように、改革推進派は経営の現状、組織の問題点を説明し、どうすれば問題解決になるかを提起し、それにあった改革案を提示します。提示される改革案は一つだけで、それに賛成か反対かということだけが求められます。一方で、改革反対派はその問題提起に異を唱え解決策の穴を指摘します。反対派はまとまって一枚岩にならなくてもいいのです。ただ、反対と口走っていればいいだけです。こうしたことから、反対派の方が100倍ラクだと言っています。

10月31日に沼田幹氏著「組織戦略の考え方」を紹介した際に書きましたが、組織というは元来劣化していくもの、腐っていくものです。同書は、組織腐敗のメカニズムを「ルールの複雑怪奇化」「成熟事業部の暇」という2つのキーワードで説明してくれています。「ルールの複雑怪奇化」というのは、組織においてふいるいっルールや手続きが廃止されず、その上に新しいルールや手続きが付け加えられて複雑怪奇化して組織が硬直化してしまうということです。「成熟事業部の暇」というのは、全員が仕事に慣れ仕事遂行能力が余ってくるとその余った時間で内向きの無用な仕事が次々に生み出されていくということです。当然組織が腐敗しはじめると経営自体にも大きな影響を与えますから、組織改革が必要になります。その際、改革を行おうとしても当然ながら反対派が出てきます。しかも厄介なことに、この反対派は一枚岩でなく統一されておらず、銘々が口々に「反対」と大声で唱えるだけです。そこには明確な論理はありません。

昨日の「すべての仕事は『逆』から考えるとうまくいく」でも書きましたが、「ボートを揺らせば揺らすほど、人はその場にしがみ付いてしまう」ものです。変化を拒む反対勢力への対応策が必要になります。大きは変化を起こすには、失敗への不安をかき消すような強い光が必要で、動き続け目標を達成するあらゆる可能性を探り、挑戦を厭わないリーダーこそが成功を収めることができるのです。抵抗勢力に立ち向かうには、それを防ぐことができる明確な論拠と今述べたようなリーダーシップが必要なのです。リーダーがリーダーシップを発揮することによって、明確な論拠で反対勢力を説得することができるのです。敗北して「政治家冥利に尽きる」などと発言しているようでは駄目なのです。都構想も目的達成のひとつの手段にしかすぎません。目的は達成されずに残っています。目的達成のための新しい手段(解決策)を考えてそれに取り組むことが政治家・リーダー足る人物の使命です。大阪維新の会も、都構想という手段を政策の柱にしていたのを改め今一度「何のため(目的)の都構想」だったかを考え直して政策の柱を作りなおすべきです。大阪ではまだまだ大阪維新の会の人気は強いのですから。

企業が改革を行おうとする場合、そこにはその企業が抱えている問題や課題があり、その解決策として改革を遂行しようとするものです。そしてその問題の背後には企業が目指す目標(目的)や理念が存在します。改革というのは、企業が抱える課題を解決し企業が掲げる目標(目的)達成のための手段にしかすぎないのです。

企業経営というのは未来の行動を考えることでもあります。従って明確な事実や証拠に基づいて行動できるものではなく不確実性が存在します。それでも昨日も書きましたが「合理的な疑い」を超える程度には事実や証拠に基づく検証が必要です。とはいえ、経営問題や課題を解決するための解決案は複数ありそれぞれにメリットもあればデメリットもあります。完璧な解決策というものはありません。常に最低2つの代替案も念頭に置いておくべきです。

一般的には、ビジネスでも、大阪都構想と同じく、ただ一つの解決案を提示して賛成か反対かということが行われています。

しかし、ビジネスでは完璧な解決策というものはなく、どれもが一長一短なら複数の解決案を提示して議論することも必要です。反対派も「反対のための反対」ではいけません。反対するのであれば、対案を用意すべきです。そうした反対派の対案をも含めて議論を行うことでより良い解決策が見つかることもあるはずです。良い組織では、反対意見が出ても、それをたたき台にして解決策をさらに進化させることができ、既存の代替案がアップデートされることもあれば、全く新しい代替案が出てくることもあります。

しかし、大阪都構想でもわかるように、組織改革というのは難しいことです。かなりの覚悟を持って臨まなければ否決されるか骨抜きにされてしまいます。しかし、組織というのは腐敗していくものなので、いつかは手をつけなければ崩壊してしまいます。地方公共団体大阪市)は潰れることはありませんが、企業は最悪潰れてしまいます。

新型コロナ禍において多くの企業が疲弊しています。今こそ改革すべき時期かもしれません。しかし重要なのは、手段ではありません。目的です。各企業が抱える問題や課題を解決すること、その課題と企業の目的・理念がどう結びつくかを考えて、解決策を考えることです。改革の背後に企業の目的や理念が明確に提示されていれば反対者は減るはずです。社員がこぞって一丸となって企業の理念に向かい突き進んでくれるはずです。だからこそやりがいもあるのです。