中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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コロナ禍で顕著になる経営者の格差

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1228人、その内訳は東京186人、神奈川67人、埼玉43人、千葉42人、愛知110人、大阪210人、兵庫77人、北海道216人などとなっています。久しぶりに2000人を下回ったとはいえ3連休の最終日・休日のデータなので検査件数が少なく、安心できる数字ではありません。3連休の人出をみると今週待つくらいからまた急増するのではないかと懸念されます。北海道と大阪がGoTo適用除外となり、夜の街関連の飲食店の時短営業要請に乗り出しました。しかし、GoToトラベルの対象から外れるのは、大阪市・札幌市を目的地とする旅行で、大阪・札幌から他県に旅行するケースは含まれません。東京がGoToトラベルから除外されていた時とは異なります。また、京都や神戸に旅行に来てそのついでに大阪に立ち寄るのは除外されません。中途半端としか言いようがありません。政府はいまだにGoToに拘っているようです。

桜を見る会」問題で再び脚光を浴びることとなった安倍前首相、当時官房長官であった菅首相の肝いりで始められたGoToは失敗だったような気がします。似たような政策をとったのは中国とイギリスですが、中国は新型コロナがほぼ収束した段階で消費喚起策の一環として消費クーポンの発行を行っただけで、潜在的な消費需要の掘り起こしに成功しました。しかし、GoToトラベルのような旅行需要喚起策は取っていません。それでも、新型コロナの収束によって国内旅行需要の回復が見られています。一方、イギリスでは、GoToイート策をとりましたが、コロナが完全に収束する前だったので飲食需要は拡大したものの、再び感染拡大を引き起こし、費用対効果の観点から失敗の政策であったことが検証されています。まさに、日本もイギリスのケースに当てはまり、経済優先を急ぎすぎた結果、再び感染拡大を引き起こしました。

GoToが、新型コロナ禍で苦境に陥った旅行・観光・飲食の各業種を救済・支援するのに適切な政策であったかが検証されなければなりません。

第3波による感染拡大はGoToが原因ではないという人もいますが、少なくとも政府がGoToを推奨し、「政府が進めるから旅行・移動・会食しても大丈夫なんだ」という「気の緩み」が国民に生じ、その「気の緩み」が感染拡大を引き起こしたことは疑う余地はありません。

GoTo事業は、「その費用の一部を国が負担するものの国民のポケットマネーに頼って経済の活性化を図る」政策にすぎません。「旅行・宿泊・飲食の各業種が助かるかは国民の行動にかかっており、助からなくても国の責任ではなく国民の責任だ」と言い訳ができます。政府にとっては、「国民の自己責任」なので、「天のみが知る」と無責任な発言ができるわけです。

このようにGoTo事業は、国民が自らの健康を犠牲にして移動することによって成り立つわけですから、新型コロナ感染防止対策とは真っ向から対立することになります。菅首相が言うような「静かなマスク会食」や小池都知事の提唱する「5つの小」などやれと言われてできるものではありません。「そこまで国民に強いて進める政策ですか」といいたいです。少なくとも新型コロナが収束していない段階で行うべき政策ではなかったのです。

また、もしGoToを行うのであれば、始める段階で、再び感染拡大が起きた場合にどのように対応するのかをあらかじめ決めておくべきだったのです。これは危機管理の基本中の基本で、企業の危機管理にも当然言えることです。政府にこうした危機管理能力がないというのは呆れて開いた口がふさがりません。感染者拡大で医師会・分科会の提言であたふたし、知事への判断丸投げで責任逃れの道を作り、やむを得ず、渋々場当たり的に中途半端な大阪・札幌の適用除外を決めるなど、立憲民主党枝野幸男代表が言うように「泥縄的」です。しっかりとした危機管理の体制を作ってもらいたいものです。

確かに、旅行・観光・宿泊・飲食といった業種を支援・救済すべきという点は否定しません(コロナ禍で疲弊しているのはこれらの業種だけではありませんが)。国民の健康の犠牲の上で成り立つ政策ではなく、GoToに頼らない事業者に対する国の直接的な支援・救済を行うべきなのです。「国民のせい」にして国民のポケットマネーに頼るのではなく、政府が大幅な財政支出を行ってコロナ禍に苦しむ事業者を直接的に支援・救済すべきだったのではなかったかと思います。

新型コロナが今後も拡大を続けた場合、更に疲弊する中小・零細企業を救済する覚悟が菅政権にあるのか、はたまた、これ幸いと持論である中小企業淘汰を叫ぶのか、凝視したいところです。

さて、長々と新型コロナとGoToについて書いてしまいました。

今日は、ダイヤモンド・オンラインの「コロナ再拡大でますます顕著になる『経営者の格差』とは?」を取り上げます。

新型コロナ禍で、リモートワーク、在宅ワークが導入された企業も多く、働き方が変わったところもありますが、第2波が落ち着きを見せ始めた段階で、以前の勤務体制に戻ったというところも多いのが現状です。通勤風景も緊急事態宣言の頃と様変わりして通勤ラッシュが復活しています。

この記事では「コロナ禍で次々と経営者や管理職の『残念な力量』が露呈している」と言っています。

経営者や管理職は、業務の特性を分けて指示を出すのが仕事で、会議に留まらず業務全般についてリアルで行う場合とリモートが可能なものの業務をきちんと切り分けて指示するのが経営者や管理職の役割です。ところが多くの企業において、このような明確な指示が行われていません。リモートワークにしても新型コロナ禍で、感染拡大防止という目的で横並び的に行わざるを得なかったというのが事実です。しかし、やってみると、「意外にリモートワークは良い」、「リモートでも仕事は回る」、「効率は上がるしコストも下がり収益も向上する」ということが実際に実感されています。しかし、こうした実感を持つのは現場の人間で、経営者や管理職が分かっていないという企業も多いのです。コロナ禍のような危機的状況では経営者や管理職がリーダーシップを発揮して危機を乗り切るための戦略を立てて全社的に推し進めていかなければならないのに、現場の声が耳に届かず、現場と隔離された状況で現状認識がないまま場当たり的な戦略が出されるのです。政治の舞台でもありがちです。

第2波が落ち着き始めた段階で、「これで元に戻して大丈夫」と現場の声を聴かず、あるいは現場の声を無視して再び全従業員に出社を命ずるという企業が出てくるのです。確かに、出社しないとできない業務や業種もあります。その場合にはやむを得ませんが、そのような場合にも、時差出勤など新たな働き方がありますが、そうしたことを考慮する頭もありません。「コロナが収まったから」というだけで、元の全社員出社に戻すというのでは、経営者や管理職は何も考えていないのと同じです。

コロナ禍で、多くの企業が壊滅的な影響を受け疲弊している中でも、コロナ禍の生活環境の変化に対応して利益を伸ばした企業もあります。昨日書いた「オムニチャネル」や「巣ごもり消費」による「おうち経済」により恩恵を受けた企業もありますし、経営変化に伴って経営者自ら業務の見直しを行いコストを下げることで収益を確保するという努力をして成果を上げている企業もあります。それが経営者の力量であり、コロナ後に生き残れる企業と淘汰される企業の差を生むことになるかもしれませんし、経営者の力量の差によって、企業の格差も広がりそうです。

この記事では、これからのマネジメントに求められることとして

  1. 業務の定義づけができること
  2. 具体的なタスクの細かい指示が出来ること
  3. 成果物に対する評価が出来ること

の3つを挙げています。椅子に座って報告を聞き、深く考えることもせずに指示するだけの経営者や管理職は不要なのです。以前書いた穴熊社長・評論家社長・アイデア社長では駄目です。

その時にも書きましたが、デキる社長・経営者・管理職というのは「何でもかんでもやろうとするのではなく、何をやるか何をやらないかを考え、やるべきことを絞り込み、やると決めたことは全力で立ち向かう人」です。

周りに流されるのではなく、現状を適切に把握して分析し、自分の頭で考えて、やると決めたことには全力で立ち向かっていきましょう。

経営者の力量について書いたつもりですが、政治家はもとより、すべての人に当てはまるような気がします。