社員が心理的安全性を強く実感できる環境を整えるには
おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で2764人で、東京618人、神奈川351人、埼玉251人、千葉291人、愛知89人、大阪273人、兵庫80人、京都91人、福岡154人、北海道88人などとなっています。もともと検査数の少ない休日の検査件数で新規感染者も少ない月曜日の数字ですが、ここまで減少するのは喜ばしいことです。ただ、全国7000人超、東京2000人超という数字に慣れすぎて麻痺しているようにも思います。感染者数が急激に増加し始めたほぼ1か月前の12月29日(月)の段階では、全国で2396人、東京481人で、その時の数字にも達していません。まだまだ気を引き締めていかなければなりません。
ネットでも「急激に増加するのも怖いが、急激に減少するのも不安」と複雑な心境が語られています。昨春にオリンピック中止が決まったとたんに急増したように数字の操作が行われているのではないかと危惧する声や、保健所が感染経路を追い切れていないことが原因で潜在的な感染者はもっと多いのではないかという声など様々です。
西村担当相は国会の答弁で、「1日当たり約500人という数字が出ていますが、これを下回ったからといって直ちに解除するというのではなく、病床の状況などを含めて総合的に判断していくことになります」「機械的な解除はしません。たとえ解除したとしても、飲食店への時短要請など対策解除は段階的に進めていきます」としていますが、妥当な判断です。早急に特措法の改正を成立させ、法的に自粛要請と補償のセットを実現すべきです。飲食店の方々は緊急事態宣言が延長されると更に経営状況が悪化し大変だと思いますが、それをカバーできるような公平かつ十分な補償を含んだ特措法の成立が急務です。ただ、現在国会で審議されている特措法の改正案は、罰則に重点が置かれすぎ(修正の可能性が高い)、補償の点から見れば十分とは言えません。
さて、今日は、東洋経済オンラインの「『解決策は』と訊く上司に決定的に欠けている視点 グーグルも重視する職場の『心理的安全性』とは」を取り上げます。
新型コロナの緊急事態宣言下であっても、職場では「問題解決」や「アイデア」「新たな取り組み」が求められます。この記事は、そういうときにチームメンバーの創造力を最大限に引き出すにはどうしたらいいか、優れたアイデアをたくさん生み出す組織の特性は何かについて触れています。
数年前、グーグルは成果の低いチームと優れた成果を上げるチームの調査に乗り出しました。その結果、分かったことは、「スター選手だけを集めても、優れたチームになるとは限らない」ということだったのです。つまり、グーグルのチームの特性は個々の才能ではなく、とりわけ重要なのは心理的安全性の状態だというのです。
ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授によれば、チームにおける心理的安全性とは「チームメンバー間による、このチームでは対人リスクをとっても安全であるという確信の共有」を指すものです。
エドモンドソンによれば、指導力の高い上長や良好な関係性をもたらす上長のいるチームほど、ミスの報告が多いことが分かっています。
リーダ-シップの高いチームほどミスが多いとはどういうことでしょうか? リーダーシップが高いチームに決してミスが多いわけではありません。リーダーが有能で良好な関係性を維持できているチームでは、安心してミスの話題を持ち出すことができるのです。それに引き換え、指導力が低く良好な関係性が築けていないチームではミスをしてもそれを隠してしまうのです。
優れたチームは、ミスについて話し合い、そこから学ぼうという意欲が高く、ミスの報告も増えるのです。
チーム内で意見やアイデアを出す、ミスを認める、疑問を投げかけるといったことを安心してできるとメンバーが感じているとき、学習は積極的になり、チームとしてもパフォーマンスが向上するのです。
想像力を働かせるうえで、心理的な安全性が確保されていると、常識にとらわれない策を提示できるようになり、周囲から少々おかしいと思われるようなアイデアであっても安心して口にできるようになり、バカにされる心配がなければ、さまざまな選択肢を提示できるようになるのです。
創造的なことを生み出そうとする過程においては、ミスを素直に話すことが絶対に不可欠です。試作と実験にはある程度の失敗はつきものです。実際にやってみて、失敗と成功を繰り返し、試行錯誤しながら学習する効果を高めていくことが重要です。
チームで作業をするとき、メンバーが失敗を恐れていたのでは、満足度の低い結果しか生まれません。皆無難に乗り切ることだけを考え、限界に挑戦しようと考えないからです。このようなチームでは、上司や役員の顔色ばかり伺い、顧客に目を向けなくなってしまいます。これでは新しい優れたアイデアが生まれるはずはありません。
社員が心理的な安全性を強く実感できる環境を整えるにはどうすればいいのでしょうか? この問いに対し、この記事では、「リーダーが新しいアイデアや厳しい現実を歓迎する姿勢を示す必要がある」と言っています。それは、
- 反対意見を歓迎する。
- 上司が自分自身の失敗について話す。
- 悪い知らせや正直な意見を伝えてくれた誠実さに感謝する。
ということです。そして、形になっていなくてもいいから提案や意見を挙げてほしいと伝えるとともに、否定的なことを口にしても出世や進退に影響しないと明言することです。
経営者やリーダーの中には、「答えがすべてそろっていないなら持ってくるな」「解決策を示せ」という人がいます。しかし、たとえ答えが分かっていなくても問題を口にしていいという安心感が大事です。「早く、頻繁に、見苦しく。完璧である必要はありません。その方が、格段に速く修正に取り掛かれます。どれだけ事実が見苦しくても、所詮は決断を下すための情報にすぎない」のです。
部下を持つ人は、自分が心理的安全性を脅かす存在であると自覚する必要があります。「上の立場の人は、多少弱さを見せた方がいい」と言っています。そうすれば、部下は大胆に思えるアイデアやイノベーションにつながる過ちを口にしやすくなり、そこに新たなアイデアやイノベーションの芽があるかもしれないのです。やってみて学ぶという姿勢は話しやすい環境の中で育ちます。
リーダーの一番の仕事は、「周囲が素晴らしい仕事ができる経営環境を生み出すこと」なのです。そこに必要なのは、「安心できる環境」「明確なグラウンドルール」「適切に設定された業務」です。
現状打破が求められると組織を変えようとするリーダーは少なくありません。しかし、創造力に関して言えば、組織編成をしても創造力が生み出されるものではありません。必要なのは、誰でも失敗を恐れず、失敗を口にしてそこから学べる心理的安全性という状況です。周囲が素晴らしい仕事ができる環境を創ることが重要です。そのためには経営者やリーダーが意識を変えて変わらなければなりません。