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脳科学を活かして考えるこれからの働き方と組織のあり方

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1704人で、東京434人、神奈川178人、埼玉172人、千葉127人、愛知80人、大阪141人、兵庫53人、京都21人、福岡110人、北海道92人などとなっています。重傷者は713人、昨日亡くなった方は78人と、相変わらず高い水準にあります。また、感染経路不明者が半数以上います。新規感染者は一時に比べれば減りましたが、1500人を挟んで硬直状態にあり、更なる減少が望まれるところです。女性蔑視発言で渦中の森会長の辞任が決定的になり、後任に元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏が就任するようです。引責辞任する83歳の森氏が後任に84歳の川淵氏を指名するという茶番劇です。若い世代に人材はいないのかと言いたくなります。本来であれば、「若い世代や女性に」と叫びたいところですが、森氏によって茶々を入れられ、開催も危ぶまれる東京五輪で、沈みかけた船の舵を取るのは難しく、汚れ仕事・敗戦処理といっていいような職務です。ここは老人にやらせていいでしょう。川淵氏はそれなりに人望もあるようですし、森氏のような思ったことをすぐ口に出すタイプではないので、無難にやってくれると思います。

さて、今日は、日本の人事部の「脳科学を活かして考えるこれからの『働き方』と『組織のあり方』」という記事を取り上げます。

在宅勤務やテレワークが浸透し、「働き方」が大きく変わり始めています。社員同士の関係性も組織のあり方も変わっていきます。この記事では、脳科学の視点から職場でのモチベーションやコミュニケーションのあり方について提言を行っている早稲田大学の枝川義邦教授によるプレゼンテーションと枝川氏と新しい働き方を推進するユニリーバの島田由香人事総務本部長との対談からの抜粋です。

島田氏は、「これからの働き方は、どこで働いても、いつ働いてもいいことになっていく」と指摘し、「ワーケーション」と「パラレルキャリア(副業・複業・福業)」がキーワードと言います。そして、組織のあり方は「個人のあり方次第」と言っています。組織が人の集合であり、組織の前にその構成員である個人がどうなるのかが重要だというわけで、これは当然のことです。新型コロナの感染拡大で、多くの人が「ウェルビーイング(Well-being 幸福)」を考えるようになってきています。「すべての人々が生き生きと働き、健康で、それぞれのライフスタイルを継続して楽しみ、豊かな人生を送る」という点から組織のあり方を考える必要が出てきます。以前書いた「戦略的健康経営」もこうしたところにつながっていきます。

枝川氏によれば、人間の脳の基本的な構造は大昔から変わっていません。しかし、使い方は大きく変わりました。使い方が変わると、それに応じ、脳自体も変化するというのです。こうした点からも、脳科学を活かして、これからの働き方を考えることが重要になってきます。

人間の脳は、何かのタスクをこなしている場合、「ワーキング メモリネットワーク」が働き、さまざまな情報処理を行っています。処理する情報が多いほど空くスペースが少なくなり、新たな情報が入りにくくなります。認知負荷(情報が入る際のハードルの高さ)は情報の多さや複雑さが原因で、認知負荷が高い情報はコミュニケーションにおいてデメリットにもなります。

テレワークなど、いくつもの作業を並行して進める環境下では、ワーキングメモリ上で頻繁にタスク処理の切り替えが必要になり、それが脳に疲労を与え、作業効率を低下させます。そのような場合には、睡眠や瞑想(ただ、ぼーっとするだけでもいい)でワーキングメモリを解放すると回復が期待できると言います。休憩中にスマホを弄ったり、ゲームをしたりすれば、それ自体がタスク処理になるので気分転換にはなっても脳の休憩・休息にはなりません。こうした点から、島田氏は「ワーケーションがよい」と言います。ワーケーションとは、ワークとバケーションを結び付けたもので、観光地やリゾート地でテレワークを活用し、働きながら休暇を取る過ごし方です。「ワーケーションの効用として一番大きいのは、自然があること。自然の中で働くと創造力・幸福度・集中力がアップし、景色を見たり温泉に入ったりで、身体だけでなく脳の回復も期待できるのです。

枝川氏は、「脳の認知負荷を下げると、情報が伝わりやすくなる」と言います。認知負荷を下げて相手に分かりやすいコミュニケーションを意識することが重要です。

脳内での情報処理の進み具合は、ワーキングメモリの残りの容量と脳に入ってくる情報の認知負荷の高さの対比で決まります。ワーキングメモリの余白よりも大きい情報に対しては認知負荷が高く、情報処理がしづらくなります。そのような処理を続けているとワーキングメモリを司る脳の部位の働きが低下し、感情が抑えられずにイライラしたり、うまくコミュニケーションが取れなくなります。

脳にはハードウェアの限界があり際限なく広げることは無理ですが、メモリの容量を増やす方法がないわけではないようです。それは「やる気」です。やる気があるとドーパミンが出てメモリ容量が増えるので情報処理がスムーズに進むと考えられています。逆に、睡眠不足だと、ワーキングメモリは狭くなります。

枝川氏は、脳科学的に良い在宅勤務とは、「同じところばかりを見るのではなく、なるべく視野を変えること」と言います。「小まめに椅子から立ち上がる」ことも大切だというのです。また、複数の仕事を同時並行に進めないで、「ある程度区切りがつくまでは一つの作業に集中する」のがよいと言っています。業務を終えた夜は、疲れすぎない範囲で「考える作業」をして煮詰めておくと、寝ている間にアイデアが整理でき、翌日からの仕事がスムーズにいくのです。これは寝ている間に「デフォルトモード ネットワーク」が機能するからです。色々悩んでいた問題や課題が寝ている間に浮かんだアイデアで解決できたという経験を持つ人も多いでしょう。「寝ている間にアイデアが整理できる」ということはそういうことでしょう。

また、作業をやめる直前にあったことは印象に残りやすいと言います。そうすると、作業をポジティブな状態でやめる方がネガティブな状態でやめるよりも良いということになります。

「働く場所、時間を自由に選べる」という新しい働き方ですが、現実的には、業種や金銭的な余裕、家庭の事情から不可能な場合もあります。また、自由に休めるよりも、決まった時に休みが取れる環境の方が嬉しいという声もあります。会社としては、色々な希望を実現できる働き方を整備していくことが求められます。

枝川氏は、最後に「どんな職場でも『主体性』を持って働くことが非常に大事だ」と言っています。ウェルビーイングと主体性が関係するからです。そして、枝川氏は「どうしてもやらないといけない場合、『あえて』考えてみることも効果的、『あえて自分はこれをやる』そう考えることで主体的になれる」と言っています。『あえて自分で決めたのだからやろう』と主体的に、ポジティブになることが重要だということです。